農業の自動化を推進する中国 ── 2億5000万人の仕事がなくなる?

中国の養豚ビルで飼育されている豚

中国の南東部、広西チワン族自治区にある養豚ビルで飼育されている豚。

Thomas Suen/Reuters

  • 中国はこれから7年間、農業の自動化、ロボット化に向けての実験プログラムに取り組む。
  • このプログラムでは、無人トラクター、田植え機、農薬散布機を主に利用する。
  • 農業の自動化は、収穫量の増加や生産コストの低下につながる。
  • だが2億5000万人の農家の多くが仕事を失うリスクに晒される。

中国は農家をロボットに置き換える実験プログラムを開始。数百万人が仕事を失うリスクに晒される。

江蘇省で行われている7年間の実験プログラムは、無人トラクター、農薬散布機、田植え機を主に利用するとブルームバーグは伝えた。中国ではまだほとんど普及していないテクノロジーだ。

ブルームバーグによると、こうした取り組みによって、非生産的で汚染された数百万の農場が近代化される可能性がある。中国の農村部の大半では、農地は分割されており、各農家は1つか2つの小さな農地を耕している。研究者らは、こうした構造が収穫量を低下させており、非効率的と述べている。

農業の自動化が進めば、収穫量を大きく増やし、生産コストを下げることができるだろう。また複数のデータによると、自動化は肥料や農薬の消費量を減らすことにもつながる。ロボットが肥料や農薬を散布する場所を正確に把握しているからだ。

農業の自動化はまた、高齢化による生産性低下の緩和にもつながるだろう。

しかし、自動化の進展は、仕事を失う農家が増えることを意味する。中国では農業従事者の割合は、1991年の51%から、2017年の18%まで低下した。だが、まだ約2億5000万人が農業に従事しており、自動化が進めば、その多くは仕事を失うリスクに晒される。

所得の上昇によって、中国の都市部では、牛乳や乳製品がこれまでよりもはるかに多く消費され始めている。また、都市化の進展とともに、何百万エーカーもの農地が失われており、中国14億人への食料供給は複雑な問題にもなっている。ブルームバーグによると、残された農地の約20%は工業開発による重金属で汚染されている。

アメリカにおいては、農業の自動化は少なくとも16年前に遡る。世界最大級の農機メーカー、ディア・アンド・カンパニー(Deere & Co.)がGPS機能をトラクターに搭載するシステムを公開した時だ。

それ以前、トラクターは多くの土地と燃料を無駄にしていた。畑に種を蒔いた後、同じ場所に蒔いてしまうことがあった。GPSシステムの導入により、そうした重複を避けて、種を撒き続けることができるようになった。

またGPSシステムは、害虫が発生している場所や土壌の種類が変わる場所をマーキングすることにも使われるようになった。農家はデータに基づいて決断を下せるようになった。

搾乳ロボットを使用している農家もある。アメリカでは現在、約2000台の搾乳ロボットが稼働。ヨーロッパでは1992年から販売されているが、アメリカにおける需要が増え始めたのはここ数年のことと、オランダの農機メーカー、レヴィ(Levy)で、北アメリカのセールス・マネージャーを務めるスティーブ・フリード(Steve Fried)氏は以前、Business Insiderに語った。

中国における農業の自動化は、他の分野で新しい仕事を生み出す可能性がある。ロボットが多くの仕事を奪っていく一方で、プログラミング、調整、メンテナンス、修理に携わる人はまだ必要となる

そして農業に携わり続ける者は、次々と登場する新しいテクノロジーを使うための、新しいスキルを身につけなければならないだろう。

[原文:China is moving ahead with a huge robot farming pilot that could one day put many of the country's 250 million farmers out of work

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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