2017年のIT業界で起こりそうな11のこと

2016年のエンタープライズ・テクノロジー市場は激しい変化を経験した。爆発的なIPOや大型合併、驚くような買収に至るまで、およそ退屈する暇がなかった。この記事では2017年のIT業界におけるわたしたちの11の予想を紹介する。

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ドナルド・トランプ大統領と投資家ピーター・ティール氏

Getty/Drew Angerer

Amazonは勝ち続ける

Amazon Web Service(AWS)は売上120億ドル(約1兆2000億円)を誇る。クラウドサービスはAmazonでもっとも収益性の高いビジネスだ。しかし、AWSはまだ(ビジネス上の)ピークに達しておらず、今後ともあらゆる競合に勝ち続ける。

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Mario Tama/Getty Images

Googleとマイクロソフトは引き続き、手強いライバルであり続ける

Amazonの競合として広く認知されているマイクロソフトとGoogle(クラウドサービス市場においては2番手、3番手)は2016年を通じて、実に多くの人材を採用した。もちろん、提携や買収も積極的に行った。Amazonはクラウド・コンピューティング業界において誰もが認めるリーダー的存在だが、マイクロソフトとGoogleはおそらくまだ、それを認めるつもりはないだろう。クラウド・コンピューティング市場はいまだに成長を続けており、激しい競争は今後も続く。

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Googleのクラウドサービスのトップ、ダイアン・グリーン氏

Google

セールスフォースは売上100億ドル(約1兆円)に達する

企業向けにクラウドソフトウェアを提供した最初の企業の1つであるセールスフォースは、2017年に売上100億ドル(約1兆円)を達成する見込み。これは同社において大きな節目となるが、それと同時に世界全体がクラウド・コンピューティングに照準を合わせていることの証でもある。この激烈な競争市場において、セールスフォースは頭1つ抜け出している。

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Salesforce CEO マーク・ベニオフ氏

Salesforce

Siri、Alexa、Cortanaのようなスマートアシスタントがどんどん賢くなる

2016年、人々は機械に向かって話すことにだんだんと慣れていった。「Amazon Echo」はゆっくりと、だが、着実に、リビングルームに浸透していった。2017年はこのトレンドが仕事場にも及ぶのではないか。わたしたちはすでに「Amazon Echo」と、それに搭載されるAlexaがオフィスで使われ始めたことを見ている。

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Microsoft

人工知能がより“知的”になる

上記のトレンドに関連して、「人工知能」の人気は上昇し続けるだろう。2016年は 「人工知能」「機械学習」「深層学習」などに関連したテクノロジーが話題の中心になった。90億ドルのスタートアップであるStripeは、人工知能ベースでクレジットカード詐欺を発見するStripe Radarを発売した。Amazon、マイクロソフト、Googleは人工知能の機能をクラウド・プラットフォームに実装した。巨大IT企業がより多くの人工知能の専門家を雇い、サービスを改良していくにつれて、Salesforce CRMやMicrosoft Officeのような(クラウドで動作する)アプリケーションも進化していく。

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REUTERS/Kim Kyung-Hoon

拡張現実(AR)が一気に市場に進出する

“ホログラム”を視界に映し出すマイクロソフトのホロレンズ(HoloLens)が登場したのは2016年。同社はThyssenKruppと提携し、エレベーター修理の従業員に数千ものヘッドセットを提供することで、より正確に、早く、スマートなメンテナンスを実現した。DellやAsusのような企業がWindowsのホログラフィック機器を開発・販売し始めると、少しずつだが確実にその他の企業がホログラム市場に進出するようになるだろう。同様に多くの企業が工場の作業場や発電所といった“危険な現場”で従業員の生産性が上がるように、拡張現実(AR)を導入することになるだろう。

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Microsoft

すべてがスマートに

すべてが接続される。工場の設備から、セキュリティシステム、サーモスタット、机まで文字通りすべてのものにIPアドレスが割り振られ、オンラインでつながるようになる。Amazon、Google、マイクロソフトがクラウド・インフラの技術革新を続けることで、IoTの可能性を広げていく。

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jurvetson / Flickr

いかにアプリを構築し、実装するか、新たな議論が巻き起こる

2014年「Docker」というスタートアップがアプリ開発のゲームのルールを書き換えた。同社の登場により、コンテナの技術が身近になった。オーバーヘッドが小さく、一瞬で立ち上がるといった特徴に加えて、差分ディスクイメージをシェアできたり、Dockerfileでインフラのコード化が可能となった。そんなコンテナ型仮想化のDockerを管理するフレームワークとして、GoogleはKubernetesをオープンソースとして公開、PaaSを基盤としたアプリケーション開発の新しいパラダイムの登場を後押しすることになった(Kubernetes自体はPaaSではないけれど。ユーザー管理やログ収集の仕組みはない)。

Amazonは、サーバーをプロビジョニングしたり、管理しなくてもコードを実行できるコンピューティングサービス「AWS Lambda」を発表、サーバーレスコンピューティングという新しい技術パラダイムを切り開く野心をみせた。Amazonにおけるサーバーレスコンピューティングには「VM」「コンテナ」「サーバーレス」という3つのアプローチがある。EC2、ECS、AWS Lambdaに対応するそれぞれのアプローチは「スケーリング単位としてのマシン/ハードウェアの抽象化」 「スケーリング単位としてのアプリ/OSの抽象化」 「スケーリング単位としての機能/言語ランタイムの抽象化」という用途に応じて切り分けられる。

PaaSなどのクラウド環境で構築されるアプリケーション開発のトレンドが「Docker」という小さなスタートアップをきっかけに大きく変わろうとしている。

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REUTERS/Stringer

IT業界とホワイトハウスとの新しい関係

アメリカに変化が訪れている。そして、IT業界はその時流に乗っている。 シリコンバレーにおいてドナルド・トランプ大統領のもっとも有名な支持者に「伝説の投資家」ピーター・ティール(Peter Thie)氏がいる。トランプ氏がティール氏の発言に聞く耳を持てば、スタートアップとホワイトハウスとの間に新しい関係ができる。多くのIT企業が公共部門と大きな取引を結ぶ足がかりになるかもしれない。

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Getty/Drew Angerer

市場全体でより多くの合併、買収が行われる

2016年にDellとEMCは670億ドル(約6兆7000億円)の歴史的な合併を成立させた。 クラウド・コンピューティング市場がシスコやインテルのような、“時代に合わない企業”を揺さぶり続ける。スタートアップにとっては資金調達がしずらくなる。2017年は大小様々な統合や合併があるだろう。

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Dell

十億ドル規模のスタートアップが上場する

2016年はTwilioNutanixCoupaのような企業が株式市場にデビューを果たした。この流れは2017年も続く。OktaやDropboxのような10億ドル以上の企業が注目を浴びるIPO候補になるだろう。 

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Twilio/Twitter

〔原文:11 things we think will happen in business technology in 2017

(翻訳者:一柳優心)

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