SBI、仮想通貨「c0ban」のLastRootsに出資—— 生き残り賭けるみなし交換業

日本発の仮想通貨c0ban(コバン)を展開するLastRoots(東京都中央区)は、ネット証券最大手SBIホールディングスの出資を受けた。SBIホールディングスが2018年8月20日午前、正式に発表した。SBIは出資額を開示していないが、LastRootsに役員を派遣する。

SBIは2017年12月に子会社を通じてLastRootsの第三者割当増資を引き受けており、今回の追加出資でLastRootsとの連携をさらに強化する方針だ。

一方のLastRootsは、2017年9月に仮想通貨交換業者としての登録を金融庁に申請したが認められず、「みなし業者」として運営を続けてきた。同社は、淘汰が進む交換業者の中で生き残りをかけて早期の登録を目指すうえで今回、SBIとの資本業務提携に踏み切ったとみられる。

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撮影:今村拓馬

みなし業者は淘汰進み16社→3社に

2018年1月にコインチェックから巨額の仮想通貨が流出した事件を受け、金融庁が仮想通貨業界に対する監督を強化した。その結果、2018年2月の時点で16社あったみなし業者は、コインチェック、LastRootsを含む3社にまで淘汰が進んでいる。

金融庁は現在、みなし業者を含む交換業者に対して、「金融機関並み」の運営体制を求めていると言われる。資本力の増強、セキュリティの強化、役員構成の強化なども含まれる。

金融庁は2018年4月6日にLastRootsに対して、経営管理態勢の構築や、利用者から預かっている財産の分別管理などについて、業務の改善を命じている。

LastRootsが、金融庁から指摘を受けた問題点について改善を進め、交換業者としての正式な登録を目指す過程で、証券業としての経験と実績のあるSBIとの連携強化が浮上したとみられる。

多くの交換業者は、起業家やエンジニアらが立ち上げたベンチャー企業で、単独で監督当局の求める体制を整備するのは極めて難しい。このため、すでに正式な登録が完了している業者を含め、水面下で再編を模索する動きが活発になっている。

2018年の春ごろから、証券大手やネット証券などが、既存の業者に対して買収や資本提携を持ちかける動きが激しくなっている。背景には、「監督を強化した結果、登録業者の価値が上がっている」(金融庁関係者)ことがあるという。

SBIグループはこの数年、仮想通貨関連の事業に力を入れており、グループ内にも交換業者のSBIバーチャル・カレンシーズがある。国内外の仮想通貨、ブロックチェーン関連のスタートアップ企業にも相次いで投資をしてきた。

PR動画視聴すると仮想通貨を付与

LastRootsは、野村総合研究所やグリーを経て起業家に転じた小林慎和氏が2016年6月に立ち上げた。

動画広告のプラットフォームと仮想通貨c0banを組み合わせて、企業や店舗などが商品やサービスをPRする動画を配信。視聴した人にc0banが付与される仕組みだ。LastRootsは、2018年7月までにc0banの付与回数が500万回を超えたとしている。

少額でも送金が可能な仮想通貨の仕組みを基盤に、利用者が広告を視聴することでc0banを貯め、レストランで食事をしてc0banで支払いもする、といったサイクルの確立を目指している。

2016年7月には、仮想通貨で資金を集めるICO(Initial Coin Offering)を実施し、日本円換算で約6億円を調達している。当時、日本ではICOが知られていなかったことから、「クラウドファンディング」として実施したという。

(文・小島寛明)

(編集部より:SBIの発表内容を加え、記事を2018年8月20日11:20に更新しました)

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