仮想通貨交換業の登録、順番待ちはいまも百数十社

仮想通貨の取引所などを運営する際に必要となる金融庁への登録について、同庁は2018年8月10日、現場での検証や役員へのヒアリングなどを強化する方針を明らかにした。

金融庁はこの日、みなし業者を含む仮想通貨交換業者に対する検査やモニタリングで浮かんだ問題点などを整理した「中間とりまとめ」を公表。登録に向けた審査については現在、百数十社が順番を待っているが、同庁の担当者は「新規登録を目指す方は、この『とりまとめ』を見てもらって、まずは自社の状況と比較していただきたい」と話す。

仮想通貨イメージ

撮影:今村拓馬

立入検査に追われ、新規の登録は滞っている

金融庁によれば、コインチェックから巨額の仮想通貨が流出した事件を受けて、登録業者16社のうち7社に立ち入り検査し、みなし業者は全16社を検査した。その後、みなし業者は撤退が相次ぎ、現在は3社になっている。

金融庁は「リソースは限られているが、一応新規の審査もしている」としているが、コインチェック事件以降は既存の交換業者とみなし業者の検査に追われ、新規の登録を目指す業者の審査は滞っていたのが実情だ。

順番待ちの百数十社は、メガバンクや大手IT企業、証券大手など、さまざまな企業が含まれるとみられる。ただ、すでに申請書案を提出している企業から、一度の相談だけにとどまる企業まで、進度にばらつきはあるという。

金融庁は今回、「中間取りまとめ」の公表に至ったことで、これまで既存業者の検査に取られていた人員を一定程度、新規の登録審査に回すめどもあるとしている。

今後の新規の登録に向けた審査では、次のような事項の審査を強化するという。

  • ビジネスプランの聴取
  • ビジネスプランに応じた実行的な内部管理態勢
  • 利用者保護を優先したガバナンス
  • 現場での検証
  • 役員へのヒアリング

さらに、登録が完了した後も早い段階で立ち入り検査を実施し、登録審査の際に企業側が説明した内容どおりの管理がなされているかなどを確認する。

交換業者の登録を目指す企業から、早期の登録を望む声も聞かれる。金融庁の担当者は「タイミングについて確たることは言えないが、要件に合致すれば登録はする」と話している。

(文・小島寛明)

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