ピーク・ペガサスの航路
Samantha Lee/Business Insider
- 2000万ドル(約22億円)相当の大豆を積んでアメリカから出港した貨物船「ピーク・ペガサス」は1カ月以上、中国沖で旋回を続けていた。
- 貨物船は中国のSNSで話題になった。アメリカに対する中国の報復関税が発動される前に積み荷を届けようと、急いで中国に向かっていたからだ。
- 貨物船は報復関税の発動前に到着することができず、中国北東部の都市、大連市の沖で旋回を続けていた。
- ピーク・ペガサスは、アメリカと中国の貿易戦争の犠牲者となった。
2000万ドル(約22億円)相当の大豆を積んだ貨物船が、アメリカと中国の貿易戦争で板挟み状態になり、1カ月以上、中国沖で旋回を続けていた。
ピーク・ペガサス(Peak Pegasus)はJPモルガン・アセット・マネジメントが保有する貨物船。6月8日にシアトル港を出港し、1カ月かけて中国北東部の都市、大連市に向かった。
出港直後にアメリカと中国の貿易戦争が勃発、トランプ大統領は中国製品に何十億ドル相当もの関税をかけると表明した。
ガーディアンによると、ピーク・ペガサスは7万トンの積荷を7月6日の報復関税発動前に届けようとしたが間に合わなかった。到着したのは、大豆を含むアメリカ製品に中国政府が報復関税を課した約5時間後だった。
それ以降、ピーク・ペガサスは、大連市沖で旋回を続けた。時速0.1ノット(約0.19キロ)で。
ピーク・ペガサスは4万7400トン、全長750フィート(約230メートル)のばら積み船。この貨物船は、中国とアメリカの貿易戦争が生んだ混乱の象徴となった。ガーディアンによると、中国のSNSウェイボーで話題になっていた。
積み荷は穀物メジャー、ルイ・ドレフュス(Louis Dreyfus)のもので、同社はピーク・ペガサスをチャーターし続けるために1日約1万2500ドル(約140万円)を支払い続けているとみられる。つまり、船が大連沿岸に到着してからすでに、約40万ドル(約4400万円)の追加費用が発生していることになる。
商品取引の専門家はガーディアンに対して、それでも船を海上に留めておくことには合理性があると語った。貨物船が到着する直前に中国政府が大豆に課した関税は25%、大豆の輸入に関して発生する追加費用は約600万ドル(約6億6000万円)にのぼる。
アメリカと中国の貿易戦争は続いている。アメリカは新たに160億ドル(約1兆8000億円)相当の追加関税を8月23日に発動すると発表。
中国商務省はこれを「極めて不合理な措置」とし、同じく23日からアメリカ製品333品目に対して25%の追加関税を課すと発表した。
ロイターによると、貨物船は8月11日、大連港に入港した。
(翻訳:R. Yamaguchi、編集:増田隆幸)