予算はオーバー、でも「価値はあった」 —— 約340万円を貯め、ニカラグアに移住したあるアメリカ人一家の"ミニリタイア"生活

テューさん一家

ニカラグアでミニリタイア中のテューさん一家。

Courtesy of Mark Tew

  • マーク・テューさん、アマンダ・テューさん夫妻とその4人の子どもたちは、ミニリタイアをしてニカラグアで1年を過ごした。
  • 倹約と副業によって、テューさん夫妻は6年をかけて借金を完済し、いざというときのための蓄えをし、3万ドル(約340万円)を貯金した。
  • この3万ドルは、ニカラグアで1年暮らすには十分な金額のはずだった。だが実際は、健康保険や車、子どもたちの学費など、思った以上の大きな出費が重なった—— さらに、出発直前にはマークさんが「がん」と診断された。
  • ニカラグアでの滞在延期など予期せぬ出費もあったが、一家の生活費はアメリカで暮らすよりも安く済んだ。
  • マークさんは「投資するだけの価値がある経験だった」と話している。

テューさん夫妻にとって、4人の子どもたちとともにニカラグアで1年間のミニリタイア生活を送ることは、正しい選択に思えた。

夫のマークさんはラテンアメリカが大好きで、伝統的な定年退職という考えそのものに欠陥があるのではないかと、Business Insiderに語っていた

「健康面を含め、ずっとやりたかったことが実現できなくなっているかもしれない65歳になるのを待つなんて、自分にはよく理解できない」とマークさんは言った。「今すぐリタイアするつもりはないからこそ、ミニリタイアは、家族として豊かな時間を過ごし、これまでにない貴重な経験を積むのに、素晴らしい方法だと思ったんだ」

彼は続けた。「1つ分かっていたことは、思い切って家族と一緒にこれを経験しなければ、自分は一生悔やむだろうということだった。明日車にひかれるかもしれないし、42歳でがんで死ぬかもしれないと思ったら、ミニリタイアを迷う必要なんてない。さっさと計画を立てて、実行に移すべきだ」

テューさん夫妻は6年をかけて、5万ドルの学生ローンを完済し、いざというときのための半年分の生活費を蓄え、ミニリタイアのために3万ドルを貯めた。そして2017年、一家はニカラグアに渡った。家を借り、車を買い、子どもたちを学校へ通わせ、湖や火山、ビーチ、遺跡などを訪ねてニカラグア中を旅した。

「異文化にどっぷり浸かって生活してみたかったんだ」とマークさんは言う。「国を1年間離れることで、いろいろな機会を逃すんじゃないかという不安も多少あったけれど、自宅に戻ってきたとき、基本的に以前と変わらない友人や同僚の姿を見て、ぼくたちは何も逃していないと分かった」

そして、彼は付け加えた。「人生を振り返って、あともう1年あの激しい出世競争の中で働きたかったなどと考える人はいない」

テューさん一家のミニリタイア生活を振り返ってみよう。


テューさん夫妻は常に倹約をし、質素に暮らしてきた。副業もしてきた。

卒業式

Courtesy of Mark Tew

経理財務部長としてフルタイムで働いている夫マークさんは、副業として税務や会計の仕事をする一方、妻アマンダさんは臨時の大学講師として働き、バイオリンの個人レッスンでも教えていた。

計画的にお金を貯め、頻繁に家計をチェックし、夫妻は2年足らずで大学院進学にかかった5万ドルのローンを返済できた。

夫妻

Courtesy of Mark Tew

マークさんは就職祝い金と毎月の給料から1500ドルを貯蓄に回して、2012年5月から2014年1月までに総額3万5000ドルを貯めた。

夫妻はそれぞれの副業から合計1万5000ドルを貯めて、2014年1月までに学生ローンを払い終えた。

借金完済後、夫妻はいざというときのための蓄えに集中した。

一家

Courtesy of Mark Tew

2015年5月までに、夫妻はマークさんの給料から少なくとも毎月1000ドルを、アマンダさんのバイオリンのレッスン料から8000ドルを、それにマークさんの公認会計士としての仕事から7000ドルを貯めて、3万ドルを貯蓄した。

いざというときのための蓄え(6カ月分の生活費相当)が貯まると、夫妻は2万ドルを貯めるために働いた。

子どもたち

Courtesy of Mark Tew

夫妻は予測可能な緊急事態のために「使える資金」として1万ドルと、ミニリタイアのための1万ドルを貯めるため、これまで同様、倹約と副業という戦術を使った。2015年12月、彼らは目標を達成した。

2016年、マークさんはより高収入の仕事を得たが、予期せぬ費用がいくつか発生した。

一家

Courtesy of Mark Tew

育児や出産休暇、家づくり、そしてニカラグアに向けて出発する約6カ月前にマークさんががんと診断されたことで、特別な出費が発生した。

それでも、彼らは月に1000ドル強を貯金し続けることができたので、その年の貯蓄総額は1万5000ドルだった。前の年に貯めた1万ドルと合わせて、夫妻はすでにミニリタイア資金として2万5000ドルを貯めていた。

2017年の最初の4カ月で、マークさんの給料とそれぞれの副業から、夫妻はさらに5000ドルを貯金。

ランチを食べる一家

Courtesy of Mark Tew

また、ミシガン州の自宅を売却して5万ドルを得た。貯金もしくは、家をまた買うときの頭金にする予定だ。

2017年5月、一家はニカラグアへ出発。

出発前の一家

Courtesy of Mark Tew

予算はオーバーしたが、それでもニカラグアでの生活にかかった費用は、アメリカでかかる費用よりも少なかった。ニカラグアでは月に平均4000ドル、アメリカに戻った後は平均5000ドルだった。

月の費用が思ったよりかかった理由の1つは、出発前にマークさんにがんが見つかったことだ。

マークさんと子ども

Courtesy of Mark Tew

マークさんは海外旅行保険に入れなかったため、退職後の健康保険の継続にかかる500ドルを含め、総額6500ドルを支払わなければならなかった。

残りの家族の健康保険の費用は、はるかに少ない。

子ども

Courtesy of Mark Tew

妻アマンダさんと子どもたちのラテンアメリカでの年間健康保険料として、夫妻は2000ドルを払った。医師への相談料は、1回25ドルだ。

また、もともとの計画以上に学費がかかった。

子ども

Courtesy of Mark Tew

当初、通わせていた学校が良くなかったため、引っ越しをし、インターナショナル・スクールに転校。1人あたり月額200ドル、総額で月に800ドルかかった。

夫妻は住居費を36%削った。

散歩する家族

Courtesy of Mark Tew

当初、夫妻は毎月の住居費をアメリカでかかっていた月額1250ドルから500ドルに、60%削った。

しかし途中で、インターナショナル・スクールに近い場所へ引っ越したため、その費用は800ドルになった。初めの家では家具を購入しなければならなかったが、結局、帰国前に地元へ寄付した。

電気、水道、ガスといった公共料金は、アメリカとほぼ同じだった。プリペイド式携帯電話も2つ購入し、インターネットの利用料金として月に約40ドルを払っていた。

戻ってこないだろうなとは思いつつ、家を借りるのに保証金も支払ったとマークさんは言う。

ニカラグアでは家政婦も雇った。

庭で遊ぶ子どもたち

Courtesy of Mark Tew

家政婦には週2日、4時間半来てもらい、時給2ドルを支払った。これはニカラグアの家政婦の一般的な報酬の2倍だと、マークさんは言う。

庭師も雇ったが、料金は週に7ドル以下だった。

ニカラグアでは、自動車の値段やガソリン代はアメリカより高かった。

自動車

Courtesy of Mark Tew

夫妻は8000ドルでジープを買った(プラス、購入をサポートしてもらうため、弁護士に20ドル払った)。ガソリンは1ガロン約4ドルで、整備費は40ドル弱。多くの移住者同様、ジープは購入した価格で売るつもりだったが、彼らの帰国前には、政情不安のため、観光業と経済が大きく落ち込んでいたと、マークさんは言う。そこで、信頼できる友人にジープは預けてきた。

予想以上に食費がかかった。

ハンモックに揺られる子ども

Courtesy of Mark Tew

一家は、高価になりがちな輸入食材を食料品チェーン店で購入していた。青空市に立ち寄ったほうが安かっただろうとマークさんは言う。

一家は結局、ニカラグアでの滞在を1カ月延長し、見積もっていた以上の金額を使ったが、マークさんはその価値は十分にあったと語る。

テュー一家

Courtesy of Mark Tew

「お金に細かい自分のような人間にとって、追加費用に対する自分の考え方を変えるのは少し辛かった」とマークさんは言う。

「もっと費用を抑えることは、間違いなくできただろう。でも、この経験は投資に値するものだった」と彼は付け加えた。「望んだ経験をするためには、予算の調整もしなければならなかった。そして、わたしは思った以上に働き、自分の会計ビジネスを成長させている。予期せず多くかかった費用を相殺する以上に稼ぐことができた」

[原文:An American family who moved to Nicaragua for a year to live cheaply ended up blowing their $30,000 budget thanks to unexpected costs — but still spent less than life at home in the US]

(翻訳:Hughes、編集:山口佳美)

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