ジェームズ・ボンドのアストンマーティンDB5と俳優のショーン・コネリー。
Aston Martin
- 「映画スター」と聞いてまず思い浮かぶのは、普通は「車」ではない。だが事実、ハリウッドの伝説になっている車もある。
- バットモービルなしのバットマンはありえないし、1964年型のアストンマーティンDB5に乗っていないジェームズ・ボンドもそうだ。
- Business Insiderは、映画史上、最も有名な10台の車をまとめた。
ピクサー映画『カーズ』を除けば、車が映画の主役になることはまずない。だが、劇中で重要な役割を担うことが多いのも事実だ。ジェームズ・ボンドの世界を股にかけた活躍は、イギリスの情報機関MI6の装備担当責任者Qが用意した重装備のさまざまな装甲車(いわゆる「ボンドカー」)がなければ、あれほど盛り上がることはないだろうし、バットマンが常に自分の足で走り回らなければならないとしたら、その魅力はずいぶんと減るだろう。
スティーブ・マックイーン主演の映画『ブリット』は、殺し屋の運転するダッジ・チャージャーが主人公ブリットの運転する1968年型フォード・マスタング ファストバックを追うという、あの印象的なカーチェイスがなければ、それほど記憶に残ることはなかったかもしれない。
ここにリストアップした10台の車は、それぞれの映画の魅力を増し、映画の枠を超えて注目されたことで、わたしたちの文化の一部となった。
テレビドラマ『爆発! デューク』の「リー将軍」や『ナイトライダー』の「ナイト2000」、『特攻野郎Aチーム』に出てくるバンなど、一部の車はリストから外した。これらの多くは映画にも登場したが、人気はほぼテレビ番組放映時のものだ。
以下、映画史上最も印象的な車をランキング形式で紹介しよう。
10位 1963年型 フォルクスワーゲン・ビートル「ハービー」
映画『ラブ・バッグ』に出てくる、ハービーの愛称で知られる1963年製のフォルクスワーゲン・ビートル。
AP
1968年にアメリカで公開されたコメディー映画『ラブ・バッグ』は、1963年製のフォルクスワーゲン・ビートルをメインキャラクターの中心に据えた。赤、白、青のレーシングストライプがペイントされた「ハービー」という名の感情を持つフォルクスワーゲンは、1作目から数十年に渡って6作品に登場している。
9位 1959年型キャデラック・ミラーメテオ ゴースト退治専用車「Ecto-1」
この映画のために大幅に改造された。
AP
Ecto-1は、ゴーストバスターズたちがこの車に付けた名前だ。今も本作のアイコンとして人々の記憶に残っているこのキャデラックは、1984年にアメリカで公開された映画『ゴーストバスターズ』に登場した。
車はこの映画のために大幅に改造されているが、追加したライトやサイレン、捜査用にルーフに付けられたファンタジックな装置がなくても十分変わった車だ ── 全長6メートル、重量約3トンの1959年型キャデラック・ミラーメテオは、大きなテールフィンと複数の巨大ライト、ピカピカの大きなフロントグリルが特徴。
8位 ロータス・エスプリS1「ウェットネリー」
映画に登場する潜水可能な水陸両用車。現在は、テスラのCEOイーロン・マスク氏が所有している。
Chris Jackson/Getty Images
ロータス・エスプリS1は、 1977年にアメリカで公開されたジェームズ・ボンド映画『007 私を愛したスパイ』に登場。車であり、潜水艦でもあり、本当に素晴らしかった。テスラとスペースXの創業者イーロン・マスク氏は数年前、この水陸両用車を購入。もう一度、これを潜水艦に戻すつもりだったと話していた。
もちろん、映画では2台の異なる車両が使われていた。1台は普通に道路を走る用、もう1台は水中シーン専用に作られた車だ。しかし「ウェットネリー」は劇中、海上でも海中でもかっこよかった。
7位 1973年型フォード・ファルコンXB GT「パーシュート・スペシャル」
これが「マッドマックス」の最初の車だ。
Movieclips/MGM
元祖「マッドマックス」の車 ── 世界の滅亡後を描いた1979年の映画で、ある整備士が「最後のV8」と呼んでいた ── が有名なマッドマックス「ブラック パーシュート スペシャル」だ。
予想に反して映画『マッド・マックス』はカルト的人気を誇る名作となり、複数の続編、リメイク、ゲームを生み出し、メル・ギブソンの出世作にもなった。そしてこの映画に登場した1973年型フォード・ファルコンXB GTは、カルチャーとしてもその名を刻んだ。
6位 1961年型フェラーリ250GT SWB「カリフォルニア・スパイダー」
フェラーリの最期は、映画「フェリスはある朝突然に」の最も印象深いシーンの1つ。
Copyright and courtesy of Gooding & Company. Photo by Brian Henniker.
この美しい、チェリーレッドの1961年型フェラーリ250GT SWBカリフォルニア・スパイダーは、1986年にアメリカで公開されたコメディー映画『フェリスはある朝突然に』に登場。まさに象徴的で、その最期はこの作品の中でも最も印象深いシーンの1つだ。
5位 1977年型ポンティアック・ファイヤーバード「トランザム」
映画『トランザム7000』に登場するトランザム。
Barrett-Jackson
バート・レイノルズとサリー・フィールドが出演した1977年にアメリカで公開された映画『トランザム7000』はのちに3部作になった他、いくつかのスピンオフ作品も作られる大ヒット作品となった。しかし、多くの人がこの映画で一番よく覚えているのは、俳優たちの演技ではなく登場した車だろう。
1977年型ポンティアック・ファイヤーバード「トランザム」は、黒い塗装にゴールドのアクセントが効いていて、ボンネットには翼を大きく広げた巨大なファイヤーバードがデザインされている。初登場シーンから、名声への道を轟音とともに駆け上がって行った。
4位 1968年型フォード・マスタング「ファストバック」
カーチェイスは『ブリット』を最も象徴するシーン。
Warner Bros.
車抜きには、スティーブ・マックイーン主演の映画『ブリット』(アメリカで1968年公開)は、これほど評判にはならなかっただろう。カーチェイスがこの作品をアクション満載の最高傑作にし、深いエメラルドグリーンの1968年型フォード・マスタング「ファストバック」はこの作品の"ヒーロー車"だった。この車は有名なカーチェイスシーンに登場。マックイーン自身が多くの場面でハンドルを握り、サンフランシスコの街中をタイヤをきしらせながら走った。
3位 デロリアンDMC-12「タイムマシン」
デロリアン・モーター・カンパニーは1982年に倒産。
REUTERS/Andrew Kelly
1985年にアメリカで公開された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がもう少し早く製作されていたら、デロリアン・モーター・カンパニーは生き残れたかもしれない。残念ながら、この新興自動車メーカーは1982年に倒産した。
2位 ジェームズ・ボンドの1964年型アストンマーティン「DB5」
映画007シリーズには、さまざまなタイプのアストンマーティンが登場した。
REUTERS/Chris Helgren
1964年型アストンマーティン「DB5」は、芸術品のような車として自ずと有名になったかもしれない。しかし、映画『007 ゴールドフィンガー』の伝説のスパイ、ジェームズ・ボンドが乗るマシンとして登場したことで、この車は銀幕を彩るアイコンとなった。
2台のアストンマーティンDB5が『007 ゴールドフィンガー』の中で使われた。エフェクト用と運転シーン用だ。他にも多くのアストンマーティンが、その後、数十年にわたって007シリーズに登場している。
1位 バットモービル
バットモービルは、リンカーン・フューチュラのコンセプトカーがベース。
Chris Pizzello/AP
映画に登場する車の中で史上最も象徴的な1台だが、初めて登場したのはさまざまなバージョンのバットモービルがスクリーンに登場する何年も前、1930年代のバットマンの漫画シリーズだ。
1966年、バットモービルはテレビ番組『バットマン』のファーストシーズンでゴッサム・シティの市民を救うためにバットマンが乗るマシンとして重要な役割を果たした。バットモービルはリンカーン・フューチュラのコンセプトカーをモデルに、フロント部分に「スラッシャー」ブレード、15インチ(約38センチ)のシングルリブのレーダーホイールや飛行機の操縦桿に似たU字型のハンドルを備えている。
初登場以来、バットモービルは2016年にアメリカで公開された最新作 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』など、アニメ、実写版ともにあらゆる種類の作品に登場している。
[原文:Here are the 10 most famous cars in movie history]
(翻訳:Hughes、編集:山口佳美)