ニューヨーク、高温対策として屋根を白くペイント、効果は?

屋根を白く塗装する男性

Matt Rourke/AP

  • ニューヨーク市は過去9年で、少なくとも670万平方フィート(約62万平方メートル)の屋根を白く塗装した。
  • 太陽光を反射することで、建物内部の温度を下げ、空調費を削減することが狙い。
  • ロサンゼルスもより広範囲で同様の対策を講じている。1マイル(約1.6キロメートル)あたり4万ドル(約440万円)を投じて道路を白く塗装している。
  • 科学者は、屋根を明るい色にすることにより、気候変動による最悪の影響を緩和することができると考えている。
  • だが、これが気温を下げるための最善策ではないだろうと述べる専門家もいる。環境に悪影響を及ぼす可能性があるためだ。

ニューヨークの夏はとても暑い。そこで市は、建物内部の温度を下げる対策を講じている。だが、ほとんどのニューヨーカーは、目にすることもない。

2009年以降、ニューヨーク市は少なくとも670万平方フィート(約62万平方メートル)分のペンキを使用し、非営利団体、病院、低所得者向けアパートの屋根の塗装を無料で行っている。

「クールルーフス(CoolRoofs)」プログラムは2017年、70人を雇用し、白い塗料で屋根を塗装した。プログラムを運営する市の小企業サービス局(Small Business Services)によると、建物内部の温度を大幅に下げ、空調費を削減することができる。

一般的に、都市は農村地域よりも暑い。アスファルトの道路やコンクリートのビルが、熱を吸収するためだ。都市の温度は、最大で約2.8度も高くなる。気温の上昇で大気汚染が進んだり、熱中症による死者が出たり、エアコン代が跳ね上がる可能性がある。

屋根を明るい色にすることは、都市の気温を下げ、気候変動による最悪の影響を緩和する可能性がある。初歩的な地球工学、つまり、地球の気候システムに介入し、温暖化を逆転することにつながり得る ── 太陽放射をコントロールするソーラー・ジオエンジニアリングのような方法に潜む危険性もない。

例えば、都市の屋根に関する2014年の研究によると、屋根の温度を下げると、ワシントンやニューヨークのような都市では約1.7度、気温が下がる。カリフォルニアの都市では、1.7度未満下がる。

気温を下げるために白い塗料を使っているのは、ニューヨークだけではない。ロサンゼルスも1マイル(約1.6キロメートル)あたり4万ドル(約440万円)を投じて道路を白く塗装している。トラックが白いペンキを路面に落とし、市の職員がワイパーで均等に広げる。

黒、あるいは暗い色のアスファルトは、最大95%の太陽光を吸収する。ロサンゼルスの道路の温度は約65度にもなっている。白く塗装すると、約5.5〜8.3度、低くなる。

ニューヨーク・タイムズによると、屋根を白く塗装することは、都市の気温を下げる最善策ではないと懸念する専門家もいる。例えば、屋根で太陽光を反射することが植林より効果的かどうかは分かっていない。

アリゾナ州立大学の教授で、2014年の研究の筆頭著者であるマテイ・ゲオルゲスク(Matei Georgescu)氏は、屋根で太陽光を反射させることは、フロリダのような場所では悪影響を引き起こす可能性があると記した。同氏とそのチームは、白く塗装することは、フロリダでは雨量を減少させることを明らかにした。

雨は一般的に、地面に落ちた後、気化することでさらなる雨を降らせる。このプロセスは熱が引き起こすため、屋根を白く塗装して熱を下げると、水分の蒸発と雨の生成を妨げてしまう。

科学者たちはまた、太陽光を反射させても温室効果ガスの排出を抑制する必要性がなくなるわけではないと考えている。

だが、どんなに小さな取り組みでも、地球の気温上昇に対する効果はある。2000年以降、世界では12万8000人以上が、酷暑で命を落としている。

科学者たちの批判をよそに、ニューヨークの「クールルーフス」プログラムは拡大を続けている。市のメイヤーズ・オフィス・オブ・サステナビリティ(Mayor's Office of Sustainability)によると、屋根を2500平方フィート(約230平方メートル)白く塗装するごとに、市の二酸化炭素排出量を1トン、削減することができる。

[原文:New York City has painted over 6 million square feet of rooftops white — and it could be a brilliant heat-fighting plan

(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)

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