世界最強のネット企業、Amazonで成長している事業トップ5をご存知ですか?

2018年4〜6月期の決算が、アメリカの企業を中心に発表され始めました。

今日の記事では、Amazonの決算をあらためて詳しく見ていきたいと思います。

Amazonといえば、過去には利益を出さないで大規模な投資をし続ける、という戦略を取ってきたことで有名ですが、最近ではしっかり利益も出るようになっているだけではなく、事業の多角化に大きく成功している事例とも言えるでしょう。

Amazonの各セグメント事業別の売上高の規模と、その成長率を一覧にしてみたいと思います。

Amazon Q2 2018 Financial Results Conference Call Slides

フリーキャッシュフローの、ここ12ヶ月間の累計のグラフ。

初めに、AmazonがKPIとして最も重要視しているフリーキャッシュフローの、ここ12カ月間の累計ですが、$10B(約1兆円)を超え、YoY+9%となっています。

このスライドの下にある通り、本業から生み出される営業キャッシュフローはYoY+22%で成長しています。

本業から生み出される営業キャッシュフローのグラフ。

続いて売上高ですが、四半期当たり$52B(約5兆2000億円)を超え、YoY+39%で成長しています。四半期当たりの売上が5兆円を超える会社が、YoY+約40%で成長しているというのは、驚異的かつ大規模な成長スピードだと言えるでしょう。

売り上げ高。

利益を出さない会社、という理解をされがちなAmazonですが、最近はしっかり利益も生み出しており、営業利益は四半期当たり約$3B(約3000億円)で、YoY+375%と大きく利益が出るような体質になってきています。

Amazonの5つの事業セグメント

冒頭でも書いた通り、今日の記事では、Amazonの主要な5つのセグメントの、それぞれの売上高と売上成長率(前年同期比)を見ていきたいと思います。

AMAZON.COM ANNOUNCES SECOND QUARTER SALES UP 39% TO $52.9 BILLION

アマゾンの決算資料。

Amazonの決算資料で公開されているセグメントは、以下の5つになります。

EC・直販

EC・マーケットプレイス

Amazon Prime

AWS

その他(広告)

厳密に言うと、昨年買収したホールフーズが中心となるオフラインストアというセグメントもあるのですが、今回の半期時点ではまだ前年同期比が算出できないため、今回は除外しておきます。

それでは、これらの事業セグメントのそれぞれを、売上の前年同期比が大きい順に、ランキング形式で取り上げてみたいと思います(なお、前年同期比の計算をする際には、為替の影響を除いた数字を用いていることをあらかじめお断りしておきます)。

では、第5位から見ていきましょう。

第5位:EC・直販

第5位は、Amazonのメインビジネスである、直販のECになります。

直販のECサイト画面。

売上: $27.2B(約2兆7200億円)

YoY成長率: +12%

四半期当たりの売上が$27B(約2兆円)を超えるという、とてつもない規模でありながらも、前年同期比2桁成長を続けているマンモス事業です。

第4位:EC・マーケットプレイス

第4位は、eコマースの中でもマーケットプレイスの部分を切り出したビジネスになります。

マーケットプレイスサイト画面。

売上: $9.7B(約9700億円)

YoY成長率: +36%

売上規模は約$10B(約1兆円)と、直販に比べると見劣りするようにも見えますが、実際にはマーケットプレイス型のビジネスは取扱高ではなく、取扱高にテイクレートをかけた手数料部分のみが売上計上されていますので、取扱高の規模としては直販とほぼ遜色ないレベルまで大きくなっていると言えるでしょう。

もしかすると、マーケットプレイスの取扱高が直販部分を超えている可能性も十分あり得ます。

規模感だけではなく、前年同期比の成長率も+36%と、直販の3倍速いペースで成長しているのが、マーケットプレイス型のEC事業です。

第3位:AWS

第3位はクラウド事業、AWSです。

クラウド事業、AWSのサイト画面。

売上: $6.1B(約6100億円)

YoY成長率: +49%

こちらはYoY+50%程度のペースで成長し続けており、ここでは記載していませんが、利益率も非常に高いビジネスで、Amazonの連結ベースでの利益が大きく出るようになってきたのは、間違いなくAWSの貢献が大きいと言えるでしょう。

クラウド市場はこれからも早いペースで成長が期待されており、その中で間違いなくマーケットリーダーであるAmazon AWSは、今後もAmazonのキャッシュカウ事業になっていくことは間違いないと言えます。

第2位:Amazon Prime

第2位は、サブスクリプションビジネスであるAmazon Primeです。

Amazon Primeサイト画面。

売上: $3.4B(約3400億円)

YoY成長率: +55%

売上規模は、サブスクリプションだけで$3.4B(約3400億円)もある上に、前年同期比の成長率が+55%と、EC・直販やEC・マーケットプレイスよりもはるかに早いペースで成長していることに、ただただ驚きます。

やはりユーザーから見ると、物流サービスのクオリティが高い、というのが重要であることの表れだと思いますし、プライムビデオといったコンテンツ系のサービスも、この数字の成長率に大きく寄与しているものと思われます。

第1位:その他(広告)

成長率第1位は、その他と記載されている広告ビジネスです。

サイトの広告画面。

売上: $2.2B(約2200億円)

YoY成長率: +129%

以前も何度か取り上げたことがありますが、Amazonの広告ビジネスは、実は四半期ベースで売上が$2.2B(約2200億円)もあるだけではなく、YoY+129%と、毎年倍以上のペースで大きくなっている急成長事業でもあります。

これまであまり露出をしてこなかったAmazonの広告事業ですが、この規模、この成長スピードを見るに、これからは露出が増えてくるかもしれません。

また、広告事業はEC・直販などと比べると圧倒的に粗利益率、そして利益率の高いビジネスであり、Amazonの連結での利益を押し上げている要因は、ここにもあると言えるのではないでしょうか。

まとめ

以上、Amazonの5つの事業の成長率ランキングを簡単に整理すると、以下のようになります。

1位: その他(広告) $2.2B(約2200億円), YoY +129%

2位: Amazon Prime $3.4B(約3400億円), YoY +55%

3位: AWS $6.1B(約6100億円), YoY +49%

4位: EC・マーケットプレイス $9.7B(約9700億円), YoY +36%

5位: EC・直販 $27.2B(約2兆7200億円), YoY +12%

Amazonの各事業をポートフォリオとして見た場合、これだけ規模の大きな異なる事業を、それぞれ非常に速いスピードで成長させているという点で、インターネット企業としては最も多角化に成功している会社だと言えるのではないでしょうか。

通常、ポートフォリオ経営や多角化経営と言うと、本業の周辺分野で新しい事業を起こそうとしますが、Amazonの場合はeコマースもあればサブスクリプションもあればクラウド事業もあるという具合に、まったくバラバラな事業をいつも抱えているのが特徴だと言えるでしょう。

これだけ巨大な規模になりながらも、このスピードで成長し続ける会社というのは世界中探してもほぼないと思いますので、我々がAmazonから学べることはまだまだたくさんあるのではないでしょうか。

(参考までに、売上の大きい順に並べたものは以下です)

1位: EC・直販 $27.2B(約2兆7200億円)

2位: EC・マーケットプレイス $9.7B(約9700億円)

3位: AWS $6.1B(約6100億円)

4位: Amazon Prime $3.4B(約3400億円)

5位: その他(広告) $2.2B(約2200億円)


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中。

決算が読めるようになるノートより転載(2018年8月14日の記事

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