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「人格」のある企業だけが生き残る——元WIRED編集長と考える、アートとビジネスの未来

平澤さんの作品

「trialog vol.2」(2018年7月28日開催)のテーマは「ヴィジョナリー・ミレニアルズ」。映し出されているのは平澤氏のサーモグラフィー作品。マダム・タッソー館で撮影されたシリーズで、手前の緑の影はブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー。

ライブ配信で最大約7200人が同時視聴し、3時間全体での累計視聴者数は約45万人を誇る、注目のトークイベントがある。「trialog」(トライアログ)だ。『WIRED』日本版の元編集長でありコンテンツメーカー「黒鳥社」を立ち上げた若林恵氏がソニーと仕掛ける新プロジェクト。「本当に欲しい未来は何だ?」をキーワードに、さまざまな領域の最先端で活躍する3人が意見を交わす。

<スピーカーのプロフィール>

平澤賢治/写真家

1982年生まれ。2006年に慶應義塾大学環境情報学部卒業後、スタジオ勤務を経て渡英。2011年、写真集『CELEBRITY』を発表。2016年には新作『HORSE』シリーズがISSEY MIYAKE MEN秋冬コレクションに起用される。同年、Royal College of Art 写真専攻修士課程修了。

ムラカミカイエ/SIMONE INC.代表、クリエイティブディレクター

三宅デザイン事務所を経て、2003年、ブランディングエージェンシー「SIMONE INC.」を設立。国内外企業のデジタル施策を軸としたブランディング、コンサルティング、広告キャンペーンなどを手掛ける。

福原寛重/ソニー株式会社クリエイティブセンター、チーフアートディレクター

1975年生まれ。ソニーのコミュニケーションデザイン領域を担う。ソニーのコーポレートタイプフェイスの制作を起案しモノタイプ社と協業してSST®フォントを開発。過去にウォークマン、ブラビアなどの多くのブランドロゴのデザインに従事。現在はソニーコンピュータサイエンス研究所においてビジネス開発も行う。

作品は「サーモグラフィーカメラ×蝋人形」

平澤氏の作品シリーズ「FIGURE」

平澤氏の作品シリーズ「FIGURE」。サーモグラフィーの対象温度数値を一つひとつ数字で記述し、数字によってポートレートが浮かび上がる。

ブルー、オレンジ、黄色……。セッション2が始まると、スクリーンには見たことのない写真が次々に映し出された。サーモグラフィーカメラでの撮影が注目される、写真家の平澤賢治氏の作品だ。サーモグラフィーカメラで撮影を始めたきっかけについて、ウォークマン®、ブラビアなどの多くのブランドロゴのデザインを手がけた福原寛重氏が尋ねる。

「大学時代、研究室にあったので」と、平澤氏は特別なことでもないといった調子で答えた。

「人間の輝きを写したい、というのが動機です。サーモグラフィーカメラは、温度を捉える。対象の存在、命を記録できます」

著名人の蝋人形が並ぶマダム・タッソー館(ロンドン)で撮影したシリーズはユニークだ。蝋人形を懸命に撮影する観光客の体温が際立っている。その後、議論は現代におけるアートの意義に移った。

報道、広告には思惑がある。アートこそ批評性を持ったメディアに?

ムラカミカイエ氏

企業のブランディング、広告キャンペーンなどを手掛けるムラカミカイエ氏。

「個人がスマホで撮影したコンテンツをSNSで発信する。皆が日常を写すと同時にフィクションが盛り込まれ、真実とフィクションの境界があやふやになっている」と、ムラカミ氏は説明する。

「報道や広告には思惑があると、懐疑的な目を向けられる時代に生まれたのがミレニアルズ。アートこそが批評性を持ったメディアという見方もあり、そのときアートは何を表現していくべきなのかを突きつけられている」と指摘した。

アマチュアも撮影できる時代、アーティストの存在意義は?

平澤賢治氏

2002年、初めてサーモグラフィー作品を撮り始めた平澤賢治氏。

後半はライブ視聴している視聴者と、登壇する3人とのQ&Aセッションに移った。Twitterの投稿から寄せられた質問は、「ハイクオリティな機材がなくてもアマチュアが表現できる時代に、人はアートに何を求めるのか」。

平澤氏は「1枚のクオリティでは判断できないと思う。Instagramだけで言えばプロよりうまい人があふれているけれども、そのイメージ(写真)が、どういう過程で積み上げられてきた1枚なのか。その1枚を撮るに至った作家のそれまでの生き方が、イメージに対する見方に反映される」と、その違いを語った。

存在意義がなければ、作品は“消費”されていく

福原寛重氏

ソニーの福原寛重氏。ウォークマン、ブラビアなど、多くのブランドロゴデザインを手掛けてきた。

セッションを終えて、福原氏は振り返る。

「今回はミレニアルズがテーマで、写真はその入り口。社会意識が高いことはミレニアルズの特徴だが、それが如実に出ていると思わせる面白い活動をしているのが写真家だった」

さらに、ミレニアルズがアートと向き合うに注目する理由について、ソニーと「共通点があるかも」と示唆。

「今はモノが飽和しており、企業はその存在意義を問われる時代。意味がなければ消えていく。それはアートも同じ。スマホを使って作品のようなものができ、SNSで話題になっても、次の瞬間消滅してしまう。消えないようにするには、アーティストの中に存在意義がないと。登壇した世代は、自分が情報を発信する意義は何なのかと突き詰めて、最終的にアートという手段を選んだのだと思う」

ソニーも企業としての存在意義が問われている

天王洲のコミュニケーションスペース「amana square」

イベントは東京・天王洲のコミュニケーションスペース「amana square」で開催された。天王洲はアートと文化を内包する街へと、進化中。

「ソニーは高度経済成長期に支持された。失敗しながらチャレンジし続けるソニーにシンパシーを感じてもらえたのだと思う。では、ミレニアル世代にはどう映るのか? 単にプロダクトが好みかでなく、企業としての存在意義が問われているんです」(福原氏)

ソニーは、いわゆる白モノ家電などの生活必需品を作ってきたメーカーではない。では、需要が見えにくい時代に何を生み出していくべきか。

「社内では昔から『“今”人々がほしいものを提示するのではなく、その先の、それ自体新しい価値やカルチャーを生み出す商品を提示しなければならない』と言われてきた。そこを改めて考えていきたい」

「trialog vol.2」では、そのほかロシア生まれの写真家のマリア・グルズデヴァ氏、若き写真家の小林健太氏、『IMA』エディトリアルディレクターの太田睦子氏による「なぜ、いま、彼らはカメラを手にするのか?」。上海の出版社「Same Paper」のファウンダーで写真家のシャオペン・ユアン氏、「Be Inspired!」編集長の平山潤氏、trialog代表の若林恵氏による「ポストSNS時代のパブリッシャーたち」と、計3つのセッションが行われた。今後も多彩な登壇者を迎え、時代に切り込む予定だという。

「trialog_project」について、詳しくはこちらから

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