アマゾンCEOのジェフ・ベゾスは幼い頃から才能の片鱗を見せた。
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- アマゾンCEOのジェフ・ベゾスは、賢く、商売心に溢れた子どもだったとブラッド・ストーンは2013年に執筆した『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(原題:The Everything Store)に記した。
- ベゾスは6年生、12歳の時に、数学の統計分析の授業で生徒が教師を評価できるアンケートを設計した。
- しかし、教師たちはのちに、ベゾスは「リーダーシップでは、特に優れた才能はなかった」と語った。アマゾンのCEOとなった人物を指しているとは思えない奇妙な見解だ。
- 研究によると、頭の良い子どもたちは、成人後にリーダーシップを取るポジションに就く可能性が高い。しかし、学業で苦戦している子どもたちが成功できないわけではない。
ジェフ・ベゾスは、テキサス州のギフテッド教育プログラム(ベゾスはその生徒の1人だった)をテーマとした書籍『Turning on Bright Minds』の中で「ティム(Tim)」という仮名で呼ばれていた。
ブラッド・ストーン(Brad Stone)は2013年のベストセラー『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』(原題:The Everything Store)の中で、そう記した。
ベゾスの教師たちは『Turning on Bright Minds』の著者、ジュリー・レイ(Julie Ray)に、ベゾスは「リーダーシップでは、特に優れた才能はなかった」と述べた。
数十年が経ち、教師たちの言葉は奇妙なものになった。ベゾスは14の厳格なリーダーシップ原則に基づいてアマゾンを率い、宇宙旅行などアメリカのイノベーションの最前線に立っている。
何かが中学校以降で変わったに違いない。
だが、ベゾスは早熟さを別の形で示していた。例えば彼は、数学の統計分析の授業で、6年生を受け持つ教師たちを評価するアンケートを設計した。
ベゾスはアンケートを教師の「人気ではなく、教え方」で評価するように設計したとレイは記した。レイが学校を訪問した時、ベゾスはすでにアンケート結果をクラスメートに配り終えており、教師たちの相対的な評価をグラフ化していた。
ストーンは、レイの本から他にもベゾスの興味深いエピソードを取り上げた。
ベゾスは負けず嫌いだった。毎週、本を12冊読むと主張したクラスメイトに追いつこうとした。また、商売心に溢れていた。店で見かけた、トンネルがエンドレスに続いているように見えるおもちゃをより手頃な価格で作った。
そう、まさに我々が知っているベゾスだ。
頭の良い子どもたちは、リーダーになる可能性が高い
ベゾスが優秀な子どもだったという事実は、成人後の成功要因についての現在の研究結果とも一致している。
ヴァンダービルト大学の研究者が行った小規模な研究では、13歳になる前にSAT(大学進学適性試験)で1万人に1人以上のスコアを取った320人は、平均して他の人たちよりも、より一流の企業の、より高いポジションに就いていることが明らかになった。
また、イギリスのスターリング大学とユニバーシティ・カレッジ・ダブリンが行った研究では、1万7000人のデータを調査し、高い認識能力を示した10~11歳児は、成人後にリーダーシップを取るポジションに就く可能性がより高いことが明らかになった(ベゾスにリーダーとしての素質がないと主張した教師は、もはやこれまでだ)。
マイクロソフトの元CEO、ビル・ゲイツも同じように思春期前から才能を示した。ウォール・ストリート・ジャーナルは、ゲイツは幼い頃にワールドブック百科事典(World Book Encyclopedia)を全巻読破した伝えた。
11歳になる頃までに、ゲイツは両親に世界情勢やビジネスの話題について質問したとゲイツの父はウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。
これらの話の教訓は、子どもの頃から彼らのように優秀でなければ、彼らのように成功できないということではない。チャンスはある!
学業に苦戦した、あるいは子どもの頃に苦労した成功者はたくさんいる。また同様に、幼い頃や10代の頃に頭が良かったからといって、必ずしもCEOへの道を歩むわけではない。
だが、ベゾスやゲイツの例は注目に値する。
また、レイがベゾスに会った時に、ベゾスがギフテッド教育プログラムを受けていたことも忘れることはできない。
もし、教師がベゾスの才能に気付かず、ベゾスが「平均的な」同級生に囲まれていたら、世界有数の影響力を持つ人物にはならなかったかもしれない。
※敬称略
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)