去りゆくボーイング747、リプレースしている5機とは

ボーイング747-8

ルフトハンザ航空のボーイング747-8ジャンボジェット。

Lufthansa

  • ボーイング747ジャンボジェットの旅客機としての日々は残りわずか。事実ボーイングは、747は今後、貨物機として運航されると認めた。
  • 過去数年間で、多くの航空会社が747を退役、あるいは退役予定とした。
  • 各社エアバスやボーイングの、より小型の航空機をリプレース機として選択した。

ジャンボジェットの旅客機としての日々は残りわずか。かつて世界中の航空会社の主力機だったボーイング747は、今後、貨物機としての日々を過ごす運命にある。

「747の将来は貨物事業にある」とファンボロー国際航空ショー2018において、ボーイングのマーケティング担当バイス・プレジデント、ランディ・ティンゼス(Randy Tinseth)氏はBusiness Insiderに語った

ボーイングによると、今後20年間の新造機需要は4万2730機の見込み、だが747と同サイズの航空機の需要は60機のみ。つまり、ボーイング747-8、あるいはエアバスA380の需要は年に3機に過ぎない。

そしてさらに、そのほとんどがVIP専用機になると思われると同氏は語った。

2018年7月時点で、ボーイングが抱える747の受注残は22機のみ、そして、そのすべてが貨物用。

過去10年間で、ボーイングはなんとか47機の747-8を旅客機として販売した。それらは中国国際航空、大韓航空、ルフトハンザ航空で現在も運航中。

大韓航空とルフトハンザ航空は、ボーイング747とライバル機のA380スーパージャンボの両方を運航している。

ルフトハンザ・グループのCEOカーステン・シュポア(Carsten Spihr)氏によると、より小型の旅客機ではなく747を運航するのは、プレミアムシートを提供するためのスペースが関係している。

「ルフトハンザほど多くのプレミアムシートを提供している航空会社は世界のどこにもない」とシュポア氏は最近のインタビューで語った。

「747とA380について言えば、当社は他のどの航空会社も持っていない、100席のファーストクラスとビジネスクラスを必要としている」

「これが他社がボーイング777を運航している路線で、当社が747-8を運航している理由」と同氏は付け加えた。

残念なことに、747を増やすよりも退役させる航空会社の方が多い。2017年、デルタ航空とユナイテッド航空は老朽化し​​た747を退役させた。過去50年近くの中で、アメリカの航空会社がジャンボジェットを旅客機として飛ばさない初めての年となった。

ボーイング777のような、より小型で手頃な価格の双発機が、主力旅客機の座を引き継いでいる。747の運用コストの一部で、優れた航続距離と性能を発揮するため、実質、太刀打ちできない。

旅客機タイプのボーイング747-8Iの価格は4億290万ドル(約448億円)、貨物機タイプの747-8Fは少し高価で、4億360万ドル(約449億円)。

悲しいことに、これでもう決定的。“空の女王”は徐々に消えていくだろう。各航空会社が、ボーイング747をリプレースしている航空機を見てみよう。

1. ボーイング777:1995年に登場したボーイング777-200が、ジャンボジェットの終わりの始まりを告げた。

ボーイング777-200

Boeing


そして、2002年の777-300ERの登場が決定打となった。300ERの座席数は最大550席、航続距離は8500マイル(約1万4000キロ)。

ボーイング777-300ER

AP


ユナイテッド航空、

ユナイテッド航空の777

United Airlines


ニュージーランド航空、

ニュージーランド航空の777

Air New Zealand


キャセイパシフィック航空、

キャセイパシフィック航空の777

Flickr/BriYYZ


日本航空、

日本航空の777

Flickr/Masakatsu Ukon


エールフランス航空、

エールフランスの777

REUTERS/Marcus Donner


KLMオランダ航空は、747が運航した路線を777-300ERでリプレースした。

KLMオランダ航空の777

KLM


2. ボーイング787ドリームライナー:ドリームライナーは炭素繊維強化プラスチックを使用した新世代航空機の代表格。最大座席数は330席で、747よりかなり少ない。だが、優れた燃費性能により、航空会社はより頻繁に運航できる。

ボーイング787ドリームライナー

Boeing


ドリームライナーで747をリプレースしたのは、カンタス航空、

カンタス航空の787

Boeing


KLMオランダ航空。

KLMオランダ航空の787

KLM


3. エアバスA350XWB:A350は、787ドリームライナーと同様、炭素繊維強化プラスチックを使った新世代旅客機。だが787とは違い、A350はボーイング777と同じくらいの大きさを誇る。

エアバスA350XWB

Airbus


デルタ航空は、747で運航していた路線の多くをA350-900でリプレースした。

デルタ航空のエアバスA350

Airbus


ヴァージン・アトランティック航空は、747をA350-1000でリプレースする予定。

ヴァージン・アトランティック航空のエアバスA350

Airbus


4. エアバスA380:エアバスA380は、それ自体がリプレースの危機に晒されている。A380スーパージャンボはここ数年、新規受注に苦戦している。だが当初は老朽化した747-400の新しいリプレース機としての役割を担った。

エアバスA380

REUTERS/Pascal Rossignol


エールフランス航空と、

エールフランス

Airbus


シンガポール航空は、747-400の路線をA380でリプレースした。

シンガポール航空

Singapore Airlines


5. ボーイング777X:777Xは、ボーイングの次世代フラッグシップ機。事実、747の後継機として同社のラインナップの最上位に位置づけられている。

ボーイング777X

Boeing


「航空業界にとって、将来の大型機はボーイング777-9Xとなる」とボーイングのティンゼス氏は語った。「座席数は400席。747やA380よりも航続距離が長い」。

ボーイング777X

Boeing


ボーイング777Xは2020年に就航予定。

ボーイング777X

Boeing


[原文:Airlines are using these 5 planes to replace the Boeing 747 jumbo jet (BA)

(翻訳:Hughes、編集:増田隆幸)

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