仮想通貨取引所の「金融機関化」じわり—— 金融庁主導で進む再編

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つい半年前、仮想通貨業界は創業数年以内のスタートアップの世界だった。しかしこの数カ月で、少しずつ大手企業が仮想通貨の交換業者に資本参加する事例が積み上がっている。

背景には、交換業者に対して「金融機関並み」の運営体制を求める金融庁の方針があるようだ。

「金融機関からの出資を受けては?」

金融庁

撮影:今村拓馬

きっかけとなったのは、コインチェックから巨額の仮想通貨が流出した事件後の立入検査だ。

金融庁は2018年2月以降、登録業者16社のうち7社と、当時は16社あったみなし交換業者全社に立ち入り検査した。

同庁はこの結果、多数の業者で確認された実態として、「技術には詳しくても金融業に対する知識を欠いた経営者が多い」「役職員にも金融業としてのリスク管理に知識を有する人材が不足」と指摘している。

「金融機関からの出資を受けてはどうか」

ある取引所の関係者は、金融庁側から、こんな指導があったと明かす。

2018年の春以降、証券大手やネット証券大手など、複数の大手企業が、登録業者やみなし業者に対して、買収や資本提携を持ちかける動きが活発化している。

マネックスグループのコインチェック買収会見

4月6日に行われた、マネックスグループのコインチェック買収会見。

撮影:木許はるみ

コインチェックの買収を巡っても、複数の証券大手やネット証券大手の具体名が取り沙汰され、最終的にネット証券大手のマネックスグループの傘下に入った。

大手金融機関としては、いつまで時間がかかるか見通しの立たない金融庁への登録手続きに注力するよりも、登録済みの業者を買収する方が、最短距離で仮想通貨に参入できる。

さらに、このところの仮想通貨市場の低迷で、登録業者やみなし業者の企業価値が割安になっているとみる関係者もいる。

今も浮かんでは消える買収・資本提携

仮想通貨イメージ

撮影:今村拓馬

8月20日には、ネット証券最大手SBIホールディングスが、日本発の仮想通貨c0ban(コバン)を展開するLastRoots(東京都中央区)に出資すると発表した。SBI側からLastRootsに役員も派遣するという。

LastRootsはみなし業者の1社。4月には金融庁の業務改善命令も受けた。

LastRootsが、金融庁から指摘を受けた問題点について改善を進め、交換業者としての正式な登録を目指す過程で、証券業としての経験と実績のあるSBIとの連携強化が浮上したようだ。およそ半年で16社から3社にまで淘汰が進んだみなし業者が、生き残りを賭ける資本提携という面もある。

コインチェックやLastRootsにとどまらず、現在も、交換業者を巡る買収や資本提携の話が浮かんでは消えている。

LastRoots

LastRootsが8月20日に発信したリリース文。

金融庁から業務改善命令を受けた業者は、改善計画を提出する。複数の関係者によると、改善計画を提出した企業は、計画を確実に履行しているか、金融庁のモニタリングを受けることになる。このモニタリングの過程で、金融機関からの出資を受けたり、役員を受け入れたりといった改善策を指導されるケースがあるようだ。

金融庁が、「金融業の知識を有する人材」の確保を交換業者に求めていることから、各業者は、金融機関でリスク管理やコンプライアンス(法令遵守)などの経験のある人材の雇用を進めている。

登録業者の関係者のひとりは「ヘッドハンティングの会社にも相談しているが、きちんとした経験のある人を確保するのはなかなか苦労している」と話す。

(文・小島寛明)

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