「タイの水かけ」「無人島」…ミレニアルが熱狂する音楽フェス2018夏は「自然&チルアウト」

「タイの水かけフェス」「無人島でチルアウト」「サイケデリックパーティフェス」……。2018年夏に開催された音楽フェスは、奇抜で目を引くコンセプトのものばかり。アーティストの音楽を聞くに留まらない「体験型」フェスが続々と誕生する理由とは?

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S2O

8月4日から5日にかけて、タイの水かけ祭りをモチーフにした「ずぶ濡れEDMフェス」S2Oが日本に初上陸した。

写真:西山里緒

水かけ、サイケ、無人島。増える体験型フェス

爆音でかけられるダンスミュージックと、打ち上げられる水しぶき。8月5日のお台場は、熱狂に包まれた。タイの伝統的な水かけ祭り「ソンクラーン」をモチーフにしたEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)フェス「S2O JAPAN SONGKRAN MUSIC FESTIVAL」が2018年、日本に初上陸したのだ。

S2O

タイの伝統的なお祭りとEDMが融合したS2O。フォトスポットには、トゥクトゥクの姿も。

写真:西山里緒

「(S2Oは)インスタの広告で知りました。目当てのアーティストは特にいなかったけれど、水かけフェスというコンセプトがおもしろそうだなと思って」

会場を訪れていたハルキさん(仮名、20)はそう語る。

S2Oに限らず、2018年は「好きなアーティストの音楽を聴きにいく」だけではないフェスの存在が目立っている。

国内最大規模の夏フェス、サマーソニックの前夜祭「ソニックマニア」ではスペイン発、世界37カ国で展開されているサイケデリックな音楽パーティ「elrow」が初めて上陸。2016年に始まった音楽フェス「Tropical Disco」は、今年はじめて無人島・猿島での開催となった。

9月下旬に開催され、今年10周年を迎える野外音楽フェス「The Labyrinth 2018」はラインナップの事前発表を控えると発表した。公式サイトでは「ネットの情報が飽和する中、初心に戻ってよりミステリアスな体験を皆さんにお届けしたい」とその理由を説明する。

前年比14%増のフェス市場に「飽き」も

なぜアーティストのラインナップありきではない「体験型」フェスが増えているのか。

音楽ニュースサイト「iFLYER」編集長の木下理(あや)さんは、ダンスミュージックフェスの数が増加し、一般に浸透したことで「飽きが来ちゃっている部分もあるのかな」と語る。

ぴあのグラフ

ぴあ総研が発表した、音楽フェス市場規模と動員数の推移。音楽フェスの動員数は、2008年から2017年にかけておよそ倍増している。

出典:ぴあ

フェスの市場はここ数年で拡大の一途をたどっている。ぴあ総研が発表した音楽フェスの市場動向に関する調査によると、2017年の音楽フェス市場規模は、前年比約14%増の283億円。動員数も前年比約10%増の283万人となった。

フェスの数は増える一方で、アーティストのラインナップが似通ってきてしまう、という課題が出てきてもいる。

アメリカのエンタメメディア「Uproxx」によると、2018年、アメリカの6つの著名なフェスに出演した12人のヘッドライナーのうち、9人が前年にもツアーをしている。ザ・チェインスモーカーズ、ケンドリック・ラマーなどそのうちの一部は、2018年に日本でも公演している。有名アーティストがライブをすることの「レア感」が薄れてきているのだ。

「iFLYER」を運営するセブン・セブン・ハーツ社でブッキングマネージャーを務める丹羽沙織さんは、フェスが乱立することでアーティストのブッキングが難しくなってきている点も指摘する。

フェス疲れから「チルアウト系」もブーム

サマーソニック

ディズニーランドに行く感覚で、フェスに行く人も。

写真: Asako Yamazaki

代わって台頭してきているのが、コンセプトをはっきりと打ち出した体験型のフェスだ。丹羽さんは、若い世代を中心に「音楽フェス」に求めるものが変わって来ているのでは、と分析する。

「音楽を楽しみたいという子だけではなく、友だちとおそろいのかわいい服を来てディズニーランドにいく感覚の子や、飲みやバーベキューにいくノリでフェスに行く子たちも多いですね」

カラーラン

全身にカラーパウダーを浴びながらマラソンする「カラーラン」は、2010年代前半に一大ブームを巻き起こした。

Shutterstock / PhotoStock10

フェスのPRを多く手がけるPRディレクターの石山明日香さんは「新しいフェスに行っていることを発信したい」というインスタ文化の影響も指摘する。

より奇抜なコンセプトで「エンタメ化」しつづける、昨今のフェス事情。その一方で、新たなトレンドが生まれてもいる。それが「チルアウト系」そして「自然を取り込んだ」フェスの流れだ。

丹羽さんは「ガーン!というフェスや、ケミカルなものではない(フェスが人気)。やっぱり疲れちゃったんでしょうね」、とその静かなブームを分析する。

近年の「自然でチルアウト」傾向を象徴するフェスとして、2018年9月に横浜で初開催されるLocal Green Festivalを石山さんは挙げる。

チルアウト系フェスの代表格、Tropical Disco。2018年は「都内から1時間で行ける無人島」猿島で開催している(動画は2016年のもの)。

動画:avex

「山の緑をきれいにすることで、海の水をきれいにする」をモットーとするLocal Green Festivalには、音楽だけでなくオーガニックなフードマーケットが出展されたり、ヨガができたりもする。ラインナップは、Def TechやMONKEY MAJIKなど、「チルアウト」な音楽に定評のあるアーティストだ。

過激な体験型フェスが次々と上陸する反面、自然に戻ってゆく人たちも多い昨今のパリピ事情。平成最後の夏、狂乱の果てにミレニアルが見出すのは、チルな心の安らぎなのかもしれない。

(文・西山里緒)


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