「#平成ラストサマー」でつながる平成生まれ —— この世代にしかない出会い求めて

夏

平成最後の夏が終わる。

写真:西山里緒

「平成」という時代が、終わりに向かっている。

幼いとき、大人に「平成生まれです」と自己紹介すると、いつも驚かれた。昭和生まれの人にとって「平成生まれ」というのは、それだけでなにかを感じさせるものだったらしい。

平成とともに生まれた世代は、今年(2018年)30歳になる。平成3年(1991年)に生まれた筆者は今、27歳。平成とともに年を重ねた世代は、もう立派な大人になっている。

平成最後の夏。「平成」に生まれ、「平成」とともに大人になった世代が、ゆるやかに、でも世代の意識をもってつながろうとする動きを取材した。

「平成が終わルンです」でコラボ

平成生まれをアイコンで見える形にして、新しいコミュニケーションを生みませんか?

7月、そんなウェブサイトが現れ、リリース1週間で800シェア以上、生成された画像の枚数は1万1000枚(8月24日時点)を超えた。

これは、1991年生まれの稲沼 竣さんが仕掛けた「平成ゆとりTシャツ」のプロモーションだ。

「平成ゆとりTシャツ」は、フリーランスのデザイナーとしても活動していた稲沼さんが、高校の同級生と2人で2016年から行なっている「会話のきっかけとなるTシャツ」(喋るTシャツ)プロジェクトの第3弾だ。

稲沼さんと峯尾さん。

「平成ゆとりTシャツ」プロジェクトを進めた稲沼 竣さん(左)と峯尾雄介さん。高校の同級生。

写真:西山里緒

サイトにはまず「平成の生まれ年」を入力するフォームがあり、平成生まれだけがサイトに入れるしくみになっている。ロゴはシンプルな胸元の「1989-2018」、サイズはゆとりを表す、Lサイズ以上のみだ。

3日間限定のECサイトで販売を開始し、その直前にツイッターアイコン上に平成の生まれ年を入れられるサイトを開設すると、「エモい」と話題が殺到した。

3820円のTシャツは1000枚以上が売れ、再販も決まった。さらに、富士フイルムの「写ルンです」とコラボして、合同で「平成が終わルンです」という写真展を開催することに。

稲沼さんは、Tシャツを購入してくれた人に、プレゼントとしてアサガオの種を一緒に送っている。花言葉は「固い絆」だ。

言い訳にしたい「#平成ラストサマー」

平成ラストサマー

「平成ラストサマー」のチケットは、CAMPFIREを通じて発売された。

画像:CAMPFIRE

「平成最後の夏」をテーマにしたイベントも開催される。

8月31日にHOTEL SHE, OSAKAで開催される「平成ラストサマー」は、ツイッターで集めたリクエストを元に、オールナイトで平成30年分のヒット曲を流す音楽イベントだ。

仕掛けたのは、平成世代の龍崎翔子さん(22)が取締役を務めるL&G GLOBAL BUSINESSだ。

本当は、平成最後の夏だから、って言い訳して、気になる人を誘いたかったんですけどね

野里和花さん(24)は、「平成ラストサマー」のイベントに参加することにした。普段はITベンチャーの会社員として働きながら、ライター・ブロガーとしても活動している。

「平成ラストサマー」には、野里さんがツイッターでつながっている人たちも多く参加する。イベントは、オンラインではつながっているがまだ会ったことのない人たちと、改めて対面するきっかけになった。

野里さんはツイッターで「『平成ラストサマー』、誰か一緒にいきませんか」と声をかけてみた。

すると関わっている「田舎フリーランス養成講座」のかつての教え子の男性から、「オレも行きたいです」とリプライが。「きっと、何もないとは思うんですけどね」。

野里さんは、「平成最後の夏」に関わる小さなプロジェクトも立ち上げている。記事広告の仕事で、「平成最後の夏なので、恋人募集始めました。」というサイトを開設した。仕事とはいえ「最後の悪あがき」。1週間で複数人からオンラインデートのお誘いが来たという。

平成世代の「出会い方」

WIRED合宿

WIRED合宿のようす。参加者のほぼ全員が平成世代。

画像:Wired合宿

国産デニムの販売をしている山脇耀平さん(25)も「平成ラストサマー」のイベントに参加する。

山脇さんは、WIRED HOTEL 浅草で「WIRED合宿」というイベントも主催している。山脇さんが仕事やプライベートで会ったり、会いたいと思っていた同世代の男女6〜8人を招待して、みんなで一泊し、飲み会とまち歩きをしてもらう。

街コンのようだけれど、目的は違う。「男女の交際の垣根を超えた、新しい出会い方がおもしろいかな、と思って」。

L&G GLOBAL BUSINESSの広報でもある金井塚悠生さんも、WIRED合宿に参加した。

「平成一桁生まれは、合コンだったり、異業種交流会だったりといった“出会い”に疲れてるところもあると思います。友だちの友だちのようなゆるいつながりがあれば、彼女つくらなきゃ、名刺交換しなきゃ、といったプレッシャーなく、心地よく集える」

平成最後の夏、なんてなんの意味もないことは、本当はよくわかっている。

でも会社のあり方も、家族のあり方も、絶対的なものではなくなっている今、平成世代はそれでも心の拠りどころを求めて、「平成最後」を合言葉に、ゆるくつながり合っている。

初出時の稲沼さんの漢字指名に誤りがありました。正しくは、稲沼 竣さんとなります。お詫びして訂正いたします。2018年8月26日 14:15

(文・西山里緒)

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