高給「うんちパトロール」発足、サンフランシスコの排泄物問題が深刻に

サンフランシスコのミッション・ディストリクトにあるトイレ、ピット・ストップの外に立つ係員。

サンフランシスコのミッション・ディストリクトにあるトイレ、ピット・ストップの外に立つ係員。

Eric Risberg/AP

  • サンフランシスコの「うんちパトロール(Poop Patrol)」の給与は年間7万1760ドル(約800万円)、さらに11万2918ドル(約1300万円)の手当が付くとサンフランシスコ・クロニクルは報じた。
  • 市はこの清掃プログラムのために、83万977ドル(約9200万円)の予算を捻出。今問題となっている、路上の排泄物を一掃することが狙い。
  • サンフランシスコの排泄物問題は、増大する一方のホームレス危機の産物。手頃の価格の住宅が不足していることがその要因となっている。

サンフランシスコで、排泄物を清掃する仕事に就けば、給与と手当を合わせて、年間18万4000ドル(約2000万円)以上を稼ぐことができる。

市の「うんちパトロール(Poop Patrol)」のスタッフには、年間7万1760ドル(約800万円)の給与と、医療保険や退職金積立など11万2918ドル(約1300万円)の手当が与えられるとサンフランシスコ・クロニクルは報じた

2018年8月、市は公共事業局から5名を派遣、テンダーロイン地区をパトロールさせ、排泄物をチェックすると発表した。テンダーロイン地区には、市のホームレスの半分近くが暮らしている。消毒用のスチーム・クリーナーを持ったスタッフは、毎日午後から活動を開始する。

2018年のはじめから、市の非緊急サービス用電話番号「311」には、増え続ける排泄物に関して1万4500件以上の電話が寄せられた。総予算83万977ドル(約9200万円)のこの取り組みは、問題を解消しようとする取り組みと言える。

この問題は、ペットの飼い主が糞を拾い忘れているということではない。サンフランシスコでは、手頃な価格の住宅が不足し、7400人以上のホームレスが住む場所を見つけられずにいる。

市が抱えるホームレスの人数は減少しているものの、慢性的にホームレスとなっている人の割合は、他の多くの都市よりも依然として極めて高い。サンフランシスコに過剰に集中する富と極めて対照的。サンフランシスコ市民の平均年収は約9万6677ドル(約1100万円)、アメリカの世帯年収の中央値の2倍近い

サンフランシスコの排泄物問題は、市が抱える貧富の差を目に見える形で象徴している。ロンドン・ブリード(London Breed)市長は選挙中、街のクリーンアップを公約に掲げていた。市長は2018年6月の就任以降、排泄物をチェックするために予告なしに市内を歩き回ることで、その懸念を表明している。市長は7月、かつてないほど多くの排泄物を路上で見かけるようになったとNBCベイエリアに語った

テンダーロイン地区は依然として、サンフランシスコにおけるホームレス危機の中心地となっている。だが、市の中心部から移動するホームレスが増えてきており、市の中心部の外側に住む住民も近隣で見かける排泄物の増加に苦情を上げ始めた。

この清掃ミッションの一環として、市は既存のプログラムにも追加予算を組み込んだ。

新予算から100万ドル(約1億1000万円)以上が、さまざまな地域に移動式トイレと犬の糞を処理する場所を提供するプログラム「ピット・ストップ(Pit Stop)」の改善に割り当てられ、トイレが5つ増設され、5カ所での稼働時間が延長されるとサンフランシスコ・クロニクルは伝えた。

現在、サンフランシスコで毎日稼働しているピット・ストップは、22カ所のうち12カ所のみ。最も遅くまで利用できるものでも、夜8時以降は使えない。つまり、ホームレスの人たちがこれらのトイレを利用できない時間がかなりあることになる。

またサンフランシスコ・クロニクルによると、市はピット・ストップを補完するために、ホームレスキャンプ付近のエリアを清掃する「ホット・スポット」チームに300万ドル(約3億3000万円)近くの予算を割いた。

だが市は状況をうまく改善できておらず、いくつかの地域は世界最貧のスラム街のような状況となっている。

清掃スタッフへの高給は、インセンティブになるかもしれない。だが市がこの問題の解決を願うなら、最終的には住宅価格の高騰問題に取り組まなくてはならない。

つまりそれは、手頃な価格の住宅開発を困難かつ高コストにしている厳しい都市計画法に取り組むことを意味する。また流入が弱まることのないテック系ワーカーが、市の公共交通機関が充実していないことも一因となって、中心部に集中している問題にも対処しなくてはならない。

ブリード市長は、就任から3カ月以内に街をクリーンアップすると公約していた。だが真の問題の解決には何年間もかかるだろう。

[原文:San Francisco has a 'Poop Patrol' to deal with its feces problem, and workers make more than $184,000 a year in salary and benefits

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み