健康への意識がより高まり、「仕事も暮らしも楽しむには、睡眠が大事」という考えから、AIアシスタントを活用するのが日常。
2025年、テクノロジーで「自分らしい人生」が手に入る——キャッシュレスがつくる新しい未来とは
2025年、私たちの暮らしはどう変わっているのだろうか。働き方は、個人の幸せは—— 。東京・渋谷区に一人暮らしをする斉藤翔太(28歳男性・仮名)のある1日を追うことで、近未来の暮らしを体験してみよう。
■シーン1:朝からAIアシスタントのサポート。準備は短時間で完了!
早すぎず遅すぎず、自然に気持ちよく目覚めた朝。「眠くてボンヤリ」なんていう日は滅多にない。前夜、AIアシスタントの“ルフィ”に「明日は出社日なので、6時30分〜7時30分のちょうどいいところで起こして」と話しかけておいたのだ。
愛用のIoTベッドは睡眠状態を常時モニタリングし、スッキリ目覚められるタイミングで起こしてくれる。面倒な設定はいらないから楽ちんだ。
着替えるとき、ルフィに少し改まったシャツとパンツを提案されて気付いた。 「そうだ、今日はクライアントとの打ち合わせが入っているんだ」。
スケジュールと連動した服のリコメンドサービスをオンにしているので、洋服選びも間違いがない。 AIアシスタントは月8000円の定額契約。健康管理や洋服選びだけでなく、さまざまな商品、サービスが含まれている。
各サービスのAIアシスト機能のオン、オフは、忙しさや気分によって自分で選べる。先週は服のリコメンドはオフモードにして自分で選んでいたが、今週は仕事が立て込んでいるので、仕事に集中できるようオンモードにして、すべてお任せにした。
身支度を終えたら、最寄りの中目黒駅すぐの場所にあるピックアップ型コンビニへ。僕が到着すると、店員がさっとヘルシードーナツとコーヒーを手渡ししてくれる。
家を出る前、アプリで注文したのだが、その時点で支払いも完了しているので、レジを通る必要もない。商品を受け取って会社へ。
■シーン2:ランチは家計と健康状態に合わせてリコメンドされる
メニューを自動的にオススメされるサービスと並行して、店員にこれまでどおりのやり方でオーダーする方法も選べる。注文や支払いがテクノロジーで効率化されるため、店員もよりお客様との対話に集中することができる。
クライアントとの打ち合わせは無事に終了。僕は1社に正社員として勤務しているわけではない。数年前に副業解禁と言っていたのが嘘のように、今では自分のスキルを活かしていくつもの仕事をプロジェクトごとに関わるワークスタイルが主流だ。
クライアントと顔を合わせなくても仕事は進められるが、だからこそタイミングによっては、あえて直接会ってのコミュニケーションを取る重要性も感じている。
「このプロジェクト、必ず成功させよう!」なんて同僚と話しながら、ランチへ。健康管理はしっかりしたいので、最近の食生活の傾向などを分析した上でいくつかのメニューを提案してもらう。
今日はアドバイスモードをオンにしていた。今月は少々支出がかさんでいたのか、「予算は〇〇円以内がいいですよ」というメッセージも出てきた。好みのものをAIアシスタントに伝える。
入店時、入口で顔認証が済んでいるので、支払いは自動決済。混雑しがちなランチタイムもキャッシュレスでスイスイ、時間を短縮でき、レジで待つストレスはもはやない。
■シーン3:グローバルとのMTGは、VRグラスで
離れた拠点にいても、まるで対面しているかのようなコミュニケーション。移動時間が短縮され、空いた時間は趣味や新しいプロジェクトを企画するために使える。
「東京オフィスのプロジェクト進捗はどう?」 —— 午後は、世界12カ国にある拠点とつなげてのミーティング。会議室にある360度モニターに参加者全員が映し出される。VRグラスをかけると、まるで目の前でプレゼンしているような臨場感がある。
言語も自動で同時通訳されるので、まったく違和感がない。テクノロジーのおかげで、各国から高度なスキルを持った多様な人材が一同に集まり、よりグローバルに仕事を展開することができるのだ。
夕方は半年前から月1回のペースで通っているインプロビゼーション(=即興力を鍛える)スクールへ。テクノロジーの進化によって利便性が高まりすぎ、その反動で集中力やコミュニケーション力の低下も心配になる……。そんな僕みたいな人が多いのか、2025年には直感的に自分を表現したり、臨機応変に対応する力を鍛えたりするスクールが大流行している。
スタンフォード大学やMITでは、すでに2010年代から注目され効果を上げてきた“インプロ教育”が、日本でも取り入れられるようになってきているのだ。
■シーン4:帰宅後はVRでコンサートを視聴。買い物を楽しむ
コンサートを視聴しながら、買い物ができる。しかもリアルタイムに値段が決まるというライブ感も楽しめる。
夕食は届いたミールキットを使って自分で料理。外食もいいけれど、やっぱり自宅でくつろぎながらの食事は格別だと僕は思う。キットを使えば手間もかからず、手を動かすことで息抜きにもなる。
今日は「20分で調理できるコース」を選択。こちらも月額1万円で契約しているので、メニューを考えるストレスがないし、何より購入と支払いの手間がかからないのがいい。20分料理するという手間をかけるのが僕のこだわりだ。
食事の後は、海外アーティストのライブをVRで視聴。会場にいるような迫力に圧倒される。あ、あのアーティストの着ているシャツ、いいなあ……。手元のボタンを押すと、ヨーロッパのブランドだって。ちょっと高いけど、今月は頑張って働いたから、自分へのご褒美に買っちゃおう。
ダイナミックプライシング(=データと支払いがすべてつながっている)になっているので、何かを買う場合、適切に値段が決まり、“時価”で手に入れることができる。
■シーン5:夜、自宅にいながら“自動運転車”で商品が届く
オンラインショッピングではなく、自宅にいながらリアルに商品を手に取って買い物ができるように。
明日は仕事がオフ。「久しぶりにトレッキングに行かない?」と、友人から誘いの連絡があった。せっかくだからトレッキングシューズを新調しようかな……。
もう23時を回ったところだが、24時間いつでも買い物できるアプリを速攻で立ち上げ。まもなく箱型電気自動車が自動運転でやってきて、複数の商品を届けてくれた。自宅にいながら試着できるので、ウェアに合うデザインや履き心地がフィットする商品をじっくり選べて便利だ。もちろん自動決済。
気に入った商品を選び、残りは自動車の中の棚に返すと「今月はあと◯◯円です」とルフィ。1カ月の出費も管理してくれる頼もしい存在だ。
「ありがとう。明日はトレッキングに行くから、いつもより1時間早く起こして」「わかりました。では、そろそろ就寝したほうがいいですね」。
硬さや温度を自動調整してくれるIoTベッドに横たわると、自然な眠りが訪れる。明日もまた充実した1日になりそうだ。
テクノロジーが発達して、「人間的な生活が失われるのでは?」という不安の声も数年前には上がっていたが、最近ではむしろ逆だと感じている。
顧客の了解を得てサービスを提供する“パーミッション・マーケティング”が細かくできるようになり、リコメンドなどの各機能は自分で選べるようになる。便利だけれども押し付けがましくない、柔軟なサービスが発展していくだろう。
働き方も変わる。本業、副業という区別はなくなり、プロジェクト単位で自由に仕事に関わるようになる。オンとオフの垣根も低くなり、仕事も暮らしも楽しむ “ハイブリッド”な生き方が現実のものに。
テクノロジーによって効率化され、それによって生まれた時間は、人と人とのコミュニケーションや趣味の時間など、その人がよりやりたいと思うことにあてられていくだろう。近未来には一人ひとりの個性や選択がより反映される世界が待っているのだ。
アメリカン・エキスプレスについて
原作、監修・田中道昭(立教大学ビジネススクール教授):シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略及びミッション・マネジメント&リーダーシップ。上場企業取締役や経営コンサルタントも務めている。主な著書に『アマゾンが描く2022年の世界』『2022年の次世代自動車産業』(共にPHPビジネス新書)、『「ミッション」は武器になる あなたの働き方を変える5つのレッスン』(NHK出版新書)がある。BIJ寄稿記事・https://www.businessinsider.jp/post-170765