大学生たちは早婚願望を持っている?
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大学生の2人に1人が「早婚にメリットを感じている」。学生の7割は、交際中の彼氏彼女と「結婚を視野に入れたお付き合いをしている」 —— そんな調査結果が発表された。
Business Insider Japanは2018年1月、20代の早婚願望を紹介。この早婚願望が、すでに大学生の男女まで浸透していることが、調査から明らかになった。
彼、彼女たちは、なぜ早婚を求めるのか。大学生の恋愛・結婚早婚願望を5つのポイントから、紐解いてみたい。
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半数近くの大学生が、早婚にメリットを感じていた。
出典:ウエディングパーク「若者の恋愛結婚観」の実態調査
今回の調査は、結婚式場口コミ情報サイトのウエディングパークが大学生の男女496人を対象に実施。テーマは「若者の恋愛結婚感」。2018年8月30日に公表した。
まず、「25歳前後で結婚することにメリットを感じているか」という質問に、ほぼ半数が「はい」と回答した。全体の7割以上の大学生も、「将来結婚したい」と結婚に前向きな意見。現在交際中の彼氏彼女がいる回答者のうち、7割近くは「現在付き合っている人と結婚を意識している」と答え、早婚願望が顕著だった。
交際中の7割の男女が、結婚を視野に入れた付き合いをしていた。
出典:ウエディングパーク「若者の恋愛結婚観」の実態調査
25歳前後の結婚にメリットを感じる理由を見てみると、愛情や支えといった精神的な理由よりも、「養育負担が減る」「老後に余裕が持てる」など、計画的な理由が見て取れた。
今の大学生は、高校時代にライフプラン教育が始まった世代だ。社会人生活や長い老後生活を現実的にとらえ、早婚を選択肢に入れているようだ。
1.結婚は早めの投資、子育て後を充実
25歳前後の結婚にメリットを感じる理由に、出産・子育てを早く終え、リスクを分散するような傾向がある。
「子どもを早めに産んでおきたいから。一戸建てのローンが心配だから」(女性24歳)
「子どもが大きくなるまでの間、現役で働くことができるのでお金がある」(男性19歳)
「養育負担が減るから」(女性21歳)
と金銭的な計画を回答した人たち。
子育ての後を見据え、老後を充実させたいという意見もあった。
「子どもが育った後も、まだ働ける年齢だし、遊べるだろうし、老後に余裕ができると思うから」(女性20歳)
「老後のことを考えると子どもが成人する年齢が早い方がいい」(男性22歳)
「早く子どもが巣立ち、夫婦の時間を多く作れる」(男性22歳)
2.老後や孤独死、現実的な世代
老後、孤独死を心配する大学生たち。
撮影:今村拓馬
子育てに関わらず、「老後」に漠然とした不安や期待を持つ意見も、早婚理由に並んだ。今の大学生は、“現役を引退”した後にも長い人生が待っている。
「老後一人だと寂しいから」(女性20歳)
「価値観の合う人と老後も一緒に暮らしたいから」(女性22歳)
「将来は結婚したい」という人の理由にも、「孤独死したくないから」(女性19歳)という切実な回答があった。アンケート全体の自由記述には、「孤独死はイヤ」という回答が10人ほど寄せられた。
3.すでに結婚を視野に。「身を固める時期」
交際中の大学生の7割近くが、現在付き合っている人との結婚を視野に入れていた。
「大学卒業後にいい人と出会うのは難しそうだから」
調査に参加した20歳の女性はそう答えている。さらに、別の20歳の女性は、
「実際に双方で結婚の話題を出しているから」
と回答。より結婚が具体化していた。
このほか、現在の彼女との交際歴が6カ月〜9カ月未満という22歳男性は、「そろそろ身を固める時期なので」と保守的な回答。この男性は、早婚に対し「貯金も2人でできる」との理由からメリットを感じていた。
4.結婚希望年齢は、30歳、25歳、28歳の順に
結婚の希望年齢は、30歳が最多、25歳、28歳の順番。
出典:ウエディングパーク「若者の恋愛結婚観」の実態調査
「いつまでに結婚したいか」という希望年齢は、30歳が4割近く最多、続いて25歳、28歳の順番。希望年齢は25〜30歳の層に集中し、31歳以降は大幅に減少、35歳との回答も若干見てとれた。
国のデータで見ると、初婚の平均年齢は、男性が30.7歳、女性が29.0歳(厚生労働省が2018年に発表した婚姻に関する統計より、夫婦とも初婚)。今回の調査に参加した大学生たちはそのデータよりも早婚願望の傾向だった。
5.ただし、3割強が交際経験なし
出典:ウエディングパーク「若者の恋愛結婚観」の実態調査
上記のように、結婚に対し前向きな姿勢の一方、全体の7割が「現在付き合っている人がいない」という実態が浮かんだ。うち、6割近くが「恋人がほしい」と願いながらも、交際相手に巡り会えていないのが現状。
今までに一度も付き合ったことがないという人は、3割強。交際経験のある人でも、これまでの交際人数は1人が最多で、人数が増加するごとに減少傾向に。
3割超が、交際経験はなし。人数が増えるごとに、該当者は減少した。
出典:ウエディングパーク「若者の恋愛結婚観」の実態調査
恋人がほしい人たちは、生活の充実、精神的な支えを期待。他方、恋人がいらないと答えた人の中には、「相手を養えない」と答えた19歳男性もいた。結婚に消極的な回答をした人たちの中にも、経済的な理由を挙げる人は少なくない。
結婚には「お金がかかる」という回答が多く、
「結婚するほどの収入を得られると思えない」(21歳男性)
交際人数10人を経験した23歳男性も、「金銭面」を理由に将来的な結婚願望がなかった。こうした意見は男性に多く、女性を養うという意識があるようだ。
大学生にとって、社会人、老後と長い“余生”が待っている。
Business Insider Japanは、2018年3月の記事で、20代女性の早婚願望を伝えた。結婚は「リスク分散」「彼ありきのライフプラン」を語る女性たちが登場した。中には、男性に「守ってほしいなんて思わないんだけど」という女性もいた。
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「(早く結婚をすると)2人で人生の計画を立てやすそう」(女性19歳)
「若い時に結婚をすると、その分、いい関係を築き上げられる」(男性20歳)
今回の調査でも、「パートナーありき」の人生計画を望む意見は多かった。さまざまなリスクを生き抜く時代に、相手を探し続けるよりも早めに“手を打って”、1人の人と関係を深め、安定を求める傾向がより若い世代にも広がっているようだ。
(文、木許はるみ)