2台のレノボ新Yogaシリーズ実機に見るモバイルPCの「進化」—— 挑戦者は今や日本メーカーではない

Lenovo Tech Life '18

レノボは世界最大規模の家電ショー「IFA 2018」に先駆けて、新製品発表会「Lenovo Tech Life '18」をドイツ・ベルリンで開催した。

PCメーカー大手のレノボは、既報の通りドイツ・ベルリンで開幕した家電ショー「IFA」に合わせて、世界初となるSnapdragon 850を搭載した2in1 PC「Yoga C630 WOS」と、液晶+電子ペーパーの2画面PC「Yoga Book C930」を発表した。

関連記事:レノボが2画面や最長25時間駆動のWindows PCなどを発表——2つの“世界初”を実現

どちらの製品も軽量かつ薄型のモバイル。日本導入は未定ながら、国内でも十分受け入れられる製品に感じられる。会場で触れた実機は、なかなか魅力的だ。

最大25時間使える「Yoga C630 WOS」

Yoga C630 WOS

ヨーロッパ、中東、アフリカ地域で11月に発売予定。価格は999ユーロ(約13万円)~。

上記のモバイルPC2機種のうち、Yoga C630 WOSは現実的な実用性を持ったモデル。最大の特徴は、心臓部のプロセッサーにインテル製ではなく、多くのスマートフォンに搭載されるチップメーカーとして知られるクアルコム製の最新SoC(System On a Chip、1チップでコンピュータを実現する統合半導体)「Snapdragon 850」を搭載している点だ。Yoga C30は、このチップでWindowsを動作させる。

スマホゆずりの「省電力性」と4Gでの「常時接続性」を両立しているとし、Yoga C630の公称連続駆動時間は、最大約25時間だ。

処理性能は未知数だが、オフィスソフト向きのスペック

Yoga C630の指紋センサー

キーボード面の右下にはWindows Hello対応の指紋センサーを搭載。

一方、Yoga C630 WOCはSnapdragon 850を搭載している以外は、ある意味で非常に「普通」の2in1 PCだ。13.3インチフルHD解像度(1080×1920ドット)のタッチ対応液晶、重さは約1.2kg。

Yoga C630 WOSのOS

会場の実機ではWindows 10 Proが動作していた。

心臓部のSnapdragon 850が、Windows10の動作にどの程度の性能を持っているのかは気になるところだ。

発表会場ではベンチマークソフト等の起動が不可能だったため、今の時点で汎用的な数値で比較するのは難しい。感覚的には、ワードやエクセルといったMSオフィスを利用するには十分なように感じる。実機はWindows 10 Proで動作しており、ブラウジングや各種ソフトの起動を試した限りでは、動作のひっかかりなどは感じなかった(もちろん、注目は非マイクロフトのアプリがどれくらいちゃんと動作するかなのだが)。

なお、製品出荷時は、Microsoft Storeで公開されているアプリのみを起動できる「Windows 10 S」がインストールされている。展示機と同様にWindows 10 Proへの無償アップグレードは可能だが、現地で聞いたところでは、10 Proから10 Sには戻せないという。

Yoga C630のSIMスロット

4Gなどのモバイルネットワークに接続するためにはナノSIMカードが必要。

なお、メモリー容量が最大8GBまでのため、アドビの「フォトショップ」や「プレミア」といった写真や動画編集ソフトを利用するには向いていない。

「紙書類」をゼロにする(かもしれない)「Yoga Book C930」

Yoga Book C930

10.8インチの液晶+電子ペーパーディスプレーを搭載。ヨーロッパ、中東、アフリカなどで9月末から999ユーロ(約13万円)で販売予定。

一方の「Yoga Book C930」は、Yoga C630 WOCとは対極の、極めて独創的なPCだ。PCを開いたときに広がる液晶(通常の表示画面)+電子ペーパー(キーボード面)の2画面仕様は、レノボのチャレンジを感じさせる。

Yoga Book C930

電子ペーパー側は3つの役割を切り替えられる。

写真では単に奇をてらったようにも見えるかもしれないが、実機を見ると「作り込み」がそのレベルを軽く超えていることがわかる。

電子ペーパー側は、“キーボード”、“メモ”、“電子ブックリーダー”の3つの役割に切り替えながら使える。

Yoga Book C930を電子ブックリーダーとして使う

やや大きいが電子ブックリーダーとしても使える。表示できるファイルフォーマットは現状PDFのみ。重さは約775g、厚さはわずか9.9mmと薄型軽量。どちらの画面で使おうとも片手十分持てるサイズ感だ。

つまり、液晶に表示するよりはるかに省電力で(電子ペーパー自体は表示切替時のみ電力を消費する)、メモ取りや白黒の書類などを手元に表示させられる。メモ取りのためのノート、手元で見たい紙の書類などをひとつの端末に集約できるというわけだ。

ノートPCの機能的な進化が止まったように感じている人は多いだろうし、普及機に関しては確かにその通り。しかし、ノートPCをただの「仕事に使う文房具」にしないためのチャレンジを、いまや手がけるのは日本メーカーではない。中国メーカーだ。

キーボードは前機種より“本物”に近い

Yoga Book C930のキーボード

電子ペーパーのキーボードはもちろん平面だが、見た目や振動によるフィードバックにより“押した感”はある。電子ペーパーを採用したことで、“キーボードを押したアニメーション”が実装されている。

実は、筆者は初代「Yoga Book」のユーザーだ。初代Yoga Bookも、C930と同様に、仮想的なキーボードを搭載したチャレンジングな製品だった。両機の入力しやすさを比べて見ると、キーボードの使いやすさは断然よくなっている。

認識精度については厳密なテストではないものの、どうやら、キーを押したときの“ちょうどいいバイブレーションの強さ”と、“キータッチ時のアニメーション”によって、打ちやすさを感じるようだ。

新旧Yoga Book比較

左から初代Yoga Book(Android版)、Yoga Book C930 WOS。キーボードの視認性も上がっている。

Yogaの機構

どちらもヒンジが360度回転するYogaシリーズのCモデルなだけに、共通する特徴は多い(写真はYoga C630 WOS)。

レノボ・ジャパン広報によると、両製品ともに「日本での発売は未定」とのこと。しかし、Yoga Bookは過去にも国内で発売され、またSnapdragon搭載PCは競合他社の参入もまだない。早期の国内導入に期待したいところだ。

(文、撮影、小林優多郎 取材協力、レノボ・ジャパン)

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