エティハド航空初のエアバスA380。
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- エアバス(Airbus)A380スーパージャンボは、史上最大の民間航空機。
- A380はかつて、空の旅に革命を起こすと考えられていた。
- だが、これまでに販売された331機のエアバス・スーパージャンボが果たすのは、大混雑エリアでのフライトという、よりニッチな役割。
- A380の初飛行は2005年、就航は2007年。
- 先日、エティハド航空(Etihad Airways)のA380のツアーに参加する機会を得た。
総2階建てのエアバスA380は航空史上、最も印象的で、最も議論を呼ぶ飛行機。そして、世界最大の旅客機であり、テクノロジーが生み出した奇跡であることは間違いない。
エアバスは30年ほど前にA380の構想を描いた。空の旅に革命を起こすような飛行機であり、乗客にはかつてない贅沢さを、航空会社には大きな収益をもたらすものだった。
だが、エアバスが望むようには進まなかった。A380は世界の航空会社の主力機にはならず、利用者数の多い空港や混雑の問題を抱えるマーケットでのニッチな役割に陥落した。
2000年代はじめ以降、エアバスが苦戦してセールスしたA380は300機を超えた程度。うち半数以上はドバイのエミレーツ航空が占めた。
ティール・グループ(Teal Group)のアナリスト、リチャード・アボウラフィア(Richard Aboulafia)氏のような人物の中には、A380をエアバス史上、最大の失敗とまで呼ぶ人もいる。
アボウラフィア氏によると、A380は実際には存在しないマーケット向けに設計された、残念な飛行機。結局、エアバスがA380の開発に投じた250億ドル(約2兆8000億円)は他の優れた機の開発 ── ボーイングの次世代機777Xのライバル機、あるいは老朽化している757のリプレース機などに生かされることになったと同氏はBusiness Insiderに語った。
A380が直面している課題にかかわらず、A380が依然として印象的な飛行機であることに変わりはない。A380はエアバスの最も高価な旅客機で定価は4億4560万ドル(約500億円)。2番目に高価なA350-1000と比べると7900万ドル(約89億円)以上高い。
ボーイングの機体と比べると747-8より約4300万ドル(約48億円)、次世代機の777-9より1980万ドル(約22億円)高い。
Business Insiderは先日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港でエティハド航空のA380を見学する機会を得た。
エティハド航空のエアバスA380を見てみよう。
A380の初飛行は2005年。
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2007年、就航前のシンガポール航空の機体。
Singapore Airlines
その後、エミレーツ航空、
Emirates
ルフトハンザ航空、
Lufthansa
ブリティッシュ・エアウェイズ、
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中国南方航空、
Airbus
エール・フランス、
Airbus
大韓航空、
AP/Airbus, C. Brinkmann
そして、カンタス航空で就航。
Qantas
エティハド航空では2014年12月、1機目のA380が就航。現在、10機を運航している。
Hollis Johnson
我々が見学したA6-APAは、まさにその1機目のA380だった。
Hollis Johnson
A6-APAの引き渡しセレモニー。全長約73メートル、全高約24メートル、翼幅約80メートル。巨大。
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実際、A380はその巨大さのため、機内食を積み込むトラックにも特別なカスタマイズが必要。
Hollis Johnson
後方のトラックにも。
Hollis Johnson
機体の下には素晴らしいランディング・ギア。5脚に合計22個もの車輪が付いている。
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エンジンは、エンジン・アライアンス(Engine Alliance)のターボファンエンジン「GP7200」4基。エンジン・アライアンスは、プラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)とGEのジョイント・ベンチャー。
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ロールスロイスのエンジン「トレント900(Trent 900)」を選ぶ航空会社もある。
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乗ってみよう。
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1階はすべてエコノミー・クラス。
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エコノミークラスは415席。シートの横幅は約45センチメートル、シート間隔は約79センチメートル。
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最近、11インチのタッチスクリーン付きシートにアップデート。仮に2階もすべてエコノミー・シートにすれば、一度に800人以上を乗せることができる。
Hollis Johnson
らせん階段で、1階メインデッキから2階へ。
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階段を上がっていくと、
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ビジネス・クラス。
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ビジネス・クラスは70席。シート間隔は約1.85メートル。ボタン1つでフラットなベッドになる。
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各シートには18.5インチのエンターテイメント・ディスプレイ。
Hollis Johnson
2階アッパー・デッキの前方に向かうと、
Hollis Johnson
ファーストクラスのラウンジ。エティハド航空によると、ラグジュアリーなホテルのラウンジをイメージしている。搭乗客同士が交流したり、スポーツの生中継を観戦できる。
Hollis Johnson
飲み物や軽食も充実。
Hollis Johnson
エミレーツ航空のA380はアッパーデッキ後部にラウンジがある。一方、大韓航空のA380は前後にカクテルラウンジを設けている。
REUTERS/Fabian Bimmer
ラウンジの先にはエティハド航空が誇るファースト・クラス「ファースト・アパートメント」。
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各機に8つの「アパートメント」スイート。
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広さは約4.2平方メートル。
Hollis Johnson
アームチェアと、
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約2メートルのベッドになる長椅子。ディスプレイは24インチ。
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大きな鏡に、
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スライディングドアを閉じれば、よりプライベートな空間になる。
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アッパーデッキ前方にあるシャワーも使える。
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だがエティハド航空には他社のA380とは一線を画する、さらに特別なシートがある。「ザ・レジデンス」だ。各機に1つのみ。価格はニューヨーク-アブダビの往復で4万ドル(約440万円)以上。
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なぜ、そこまで高価なのか? ザ・レジデンスはいわば、飛行機の中にある約12平方メートルのもう1つの家だから。リビングルームと、
Hollis Johnson
シャワー付きの専用バスルーム、
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そして、ベッドルームにはダブル・ベッド。
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ディスプレイは27インチ。リビングには32インチのディスプレイ。
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ザ・レジデンスの搭乗客にはフライト中、専属の執事がサービスを提供する。さらに空港のプライベート・ラウンジも利用できる。
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コックピット。
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最新式のコックピットには、フランスの大手企業タレス・グループ(Thales Group)の高解像度液晶ディスプレーが8つ。
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驚くべきことに、巨大なA380の操縦に必要なパイロットは2人のみ。
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スロットル。
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エアバスの他の新鋭機と同様、A380の操縦桿はサイドスティック方式。伝統的な操縦桿ではない。
Hollis Johnson
見学終了、良い旅を!
Hollis Johnson
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)