カーシェアは、自動車業界の救世主になるのだろうか?
「若者のクルマ離れ」は、(実態には諸説あるものの)いまや当然のものとして語られるようになった。最近でも、人気家具メーカーの郊外小売店の集客が振るわなくなった理由として「若者が車を持たなくなった影響」を挙げたとの報道もあった。
クルマとの付き合い方の変化が、日本人のライフスタイルに影響を与えていると見る向きは少なくない。
クルマを「所有」から「共有」へと再定義するカーシェアリングサービス。この実態について、J.D. パワーが調査した資料がある。
カーシェアサービスはどの地域で使われているか
J.D. パワーの調査「2018年 カーシェアリングサービス顧客満足度調査」によると、カーシェアの主要3社で「よく利用するステーションの地域」としてユーザーが回答したのは、「関東」が50%で最多。次いで「関西」「東海」と続く。
利用者の年齢比率についても興味深い。全体では30代以下が過半数を占め、学生時代(大学生、高校生)からスマートフォンと身近に触れてきた世代が支持していそうなことが見て取れる。
カーシェアでは、自動車業界のブランドヒエラルキーも変わる?
利用動向を見ていくとさらに気になるデータもある。
出典:J.D. パワー 2018年 カーシェアリングサービス顧客満足度調査
「利用する車種クラス」は、軽自動車が45%で最多、次いでエコカー(29%)、セダン/スタンダードタイプ(13%)。高級車を示すアッパークラスが占める割合は全体で3%にすぎない。
アッパークラスの需要についての見方はさまざまだが、「旅」などの非日常を盛り上げる用途でも使われるレンタカーに対して、カーシェアは日常の足という認識が強いのかもしれない。J.D. パワーが過去に行なったレンタカーの調査では、「今後拡充してほしい車種」(今後の意向)として、国産高級車14.8%、輸入車13.3%など、アッパークラスのニーズや関心の高さがうかがえるデータが出ている。
巨大自動車市場・中国はカーシェア時代に「所有」をやめる?
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ここまでは国内の消費者調査からの結果(又は反応)だが、日米独中の各国にカーシェアが普及したときに所有意識がどう変わりそうかを聞いた調査の結果は衝撃的だ。
日本とドイツでは過半数、アメリカでは7割以上が、カーシェアが普及しても「自動車を所有したい」と考えている。その一方、中国は7割の人が「所有する必要がない」と答えた。
出典:J.D. パワー Mobility Disruptors 第一回パルス調査
アメリカと中国の調査には「よく分からない」という回答が含まれないため厳密な比較はできないものの、巨大自動車市場・中国の人たちのカーシェアに対する意識は、自動車関係者なら注視しておくべきだと言えそうだ。
あなたの「カーシェアリング」に対する気持ちを教えてください
J.D. パワーとBI Japanの共同意識調査企画 第2弾は「カーシェア」。読者の皆さんの「カーシェアへの意識」をぜひ教えてください。
調査データは後日、記事として公開します。