IoT/5G時代のビジネス“共創”拠点「KDDI DIGITAL GATE」が虎ノ門にオープン

KDDI DIGITAL GATE

KDDI DIGITAL GATEオープニングイベントにて。KDDIの髙橋誠社長(最前列左から3番目)はじめ、センター長の山根隆行氏(同右から3番目)、KDDI ∞ Labo長の中馬和彦氏(同左から2番目)ら。

KDDIは9月5日、顧客企業との共創により、IoT/5G時代の新たなビジネスソリューションを生み出すための開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を東京・虎ノ門に開設した。

アジャイル開発(※)のノウハウを持つKDDIの専門チームと、IoTやクラウドなど各領域で高度な専門性を持つパートナー企業から成るプロフェッショナル集団が、新拠点を活用して顧客企業とコラボすることにより新たなビジネスを生み出す。

アジャイル開発とは:短い期間でサービスをリリースし、社内外からフィードバックをもらいながら、素早く改善を繰り返していくことでサービスを仕上げていくシステム開発の新たな手法。

IoT/5G時代は「顧客とずっとつながっている世界」

KDDI髙橋誠社長

2018年4月に社長に就任。「ワクワクを提案し続ける会社へ」をスローガンに掲げたKDDIの髙橋誠社長。

オープニングイベントに出席したKDDIの髙橋誠社長は、近年注目を集めるデジタルトランスフォーメーション(DX)を「顧客とずっとつながっている世界」への移行と位置づけ、従来的なモノを買ってもらって終わりの「フロー型」ビジネスは、IoT/5Gを介した通信によって顧客との関係が恒常的に続く「ストック型」に変わっていくと指摘。

そうした変化に対応して企業はビジネスモデルを変革していく必要があり、KDDI DIGITAL GATEをそのための拠点にしたいと述べた。

また、虎ノ門に開発拠点を置いたことについて、記者から「(NTTドコモの本拠である)溜池山王と(ソフトバンクの本拠である)汐留のちょうど中間点」との指摘を受けた髙橋社長は、再開発により新しいイノベーションの中心になりつつあることが最大の理由とした上で、IoT/5G時代の競合企業は、ビジネスモデルの変革により(記者が念頭に置くドコモやソフトバンクのような)通信会社だけではなくなるだろう、と切り返した。

最先端のテクノロジー機器が充実

KDDI DIGITAL GATE

オープニングイベントにはメディア各社の記者、カメラマンが殺到。経済産業省「イノベーティブ大企業ランキング」第1位のKDDIへの関心の高さが伺われた。

新設されたKDDI DIGITAL GATEのコンセプトの一つは、「アイデアを“カタチ”に変える開発空間」。

ワークショップやプロトタイピング(試作)を通じて、新たに開発するサービスの利用者となるエンドユーザーの体験を分析して課題を発見し、最先端のテクノロジーを用いて課題を解決するソリューションを生み出す。また、ワークショップで生み出したソリューションの検証と改良を素早く繰り返すことにより、短期間で効率的にプロトタイプを構築する。

そのためのツールとして、5G、LTE-Mといった最新の通信規格を使った検証設備のほか、無人レジや3Dボディスキャナー、3Dホログラムのような最先端のテクノロジー機器を導入した。

また、ソリューション構築に際しては、KDDIの傘下企業でIoT通信プラットフォームのソラコム、アマゾンウェブサービス(AWS)の導入・運用で世界トップクラスの実績を持つアイレット、約130名のデータサイエンティストを抱えるKDDIとアクセンチュアの合弁企業アライズ アナリティクスなど、多様なプロフェッショナル集団のサポートを受けられる。

KDDI_digital_gate_cooler

KDDI社員の提案でKDDI DIGITAL GATE内に設置された決済機能付きスマート冷蔵庫。今後も“共創”に関わるすべての人が新たなアイデアを持ち寄り、進化していく。

KDDI DIGITAL GATEは、東京・飯田橋に本拠を置くKDDI社員のサテライトオフィスとしても機能する。施設内には社員の提案により、キャッシュレス無人コンビニ(決済機能付きスマート冷蔵庫)が試験的に導入されるなど、「担当業務と直接関係ないことでも、アイデアにつながる取り組みは自由に企画提案できる場になっているので、社員も盛り上がっている」(オープニングイベントに参加したKDDI社員)という。

「地球上での月面作業」「食料自給率50%」を実現

KDDI DIGITAL GATE施設内

KDDI DIGITAL GATEの壁面に用意された工具類。「素早く検証、改良を繰り返す」開発拠点の象徴と言えるだろう。

KDDI DIGITAL GATEの開設に合わせて、「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」も渋谷から虎ノ門に移設された。

ムゲンラボは、新しいサービスを推進するスタートアップとともに、パートナー企業のアセットやノウハウを活用しながら社会にインパクトのある新たな事業共創を目指すプラットフォーム。2011年の設立以来、支援してきたスタートアップは61社を数え、事業共創を見据えたパートナーを含むサポート企業は35社に増えた。

2018年5月には、IoT/5G時代の新たな事業の共創を目的に「次世代プログラム」を開設し、参加するスタートアップを募集。今回のKDDI DIGITAL GATE開設と同時に、採択企業を発表した。

地球上での月面作業」「犯罪ゼロのまちづくり」「移動コストゼロの会議」「食料自給率50%」「事故のない安全安心な登山」という、いずれも極めて壮大なアイデアを提出して採択されたTelexistence、アラヤ、Synamon、Momo、ヤマップの5社は、パートナー企業との共創に着手する。2019年3月には成果報告も行うという。

KDDI ∞ Labo長の中馬和彦氏は、「これからKDDI DIGITAL GATEに集まる企業や人材との出会いもシナジーを生む可能性があると考えている。オープンイノベーションの場として、あらゆる壁を取り払って、新たな価値を生み出せたら」と語った。

(文・川村力)

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