専門家は分かっていない、脱北者が語る北朝鮮

金正恩委員長

Reuters

  • 北朝鮮で20年間暮らした後に脱北した金永日(Kim Young-il)氏は、専門家は北朝鮮政府による誤解を招くようなプロパガンダにばかり焦点を当てていると語った。
  • これらの専門家は、金氏のような脱北者の証言を軽んじているため、北朝鮮の生活がどのようなものなのか、的確に言い表すことができない、と金氏は言う。
  • 「北朝鮮の公式発表は全て間違っている」。

北朝鮮の日常生活はほとんど分からない。専門家でさえ、ほとんど知らない。

ある脱北者によると、政府によるプロパガンダは国民に広く浸透しており、北朝鮮の専門家と自称する人でさえ、プロパガンダに影響されていることにしばしば気づいていない。

1997年、金氏は北朝鮮を脱出した。当時、北朝鮮は4年におよぶ飢饉と経済危機に見舞われており、人口2200万人のうち、24万〜350万人が死亡したという推計もある ── ただし、北朝鮮政府は食料も十分で豊かな時期だったと主張している。

現在39歳の金氏は非営利団体PSCORE(People for Successful Corean Reunification)を設立し、北朝鮮の人権問題に対する関心を高め、南北統一を促進し、脱北者が韓国での生活に適応できるよう支援している。

金氏は独裁政権から逃れたが、北朝鮮の人々の生活は何も変わっていないとBusiness Insiderに語った。

人々は騙され、しかもそれを受け入れざるを得ない。韓国では大学で多くの人が北朝鮮の研究を専攻している。金氏はその状況を「バカげている」と見ている。

金氏は、専門家は北朝鮮について研究し、北朝鮮では複数の派閥が権力争いを行っており、それにより政権が崩壊する可能性があるといったレポートを韓国政府に送っていると語った。

だが金氏から見れば、そうした情報は間違い。

「どの派閥も同じ。唯一の一族と取り巻きがいるだけ。金正恩氏がすべての権力を掌握している。重要な派閥など1つもない。名ばかりで、何の力も持っていない」

さらに金氏は続けた。

「専門家は2つの派閥が北朝鮮を支配していると言う。だがすべてを支配しているのは独裁者とその親族だけ」

韓国では、実力者は自分に忠実な人物に仕事をさせることができるが、北朝鮮ではそうはいかない。なぜなら、誰がどこで仕事をするのかを決めるのは政府の上層部だからと金氏は語った。

「北朝鮮では自分のもとで働いている人物が、自分を監視しているスパイなのかどうか誰にも分からない。誰が信頼に値するのかも分からない。誰もが互いに監視し合っているから派閥を作ることはできない。皆が互いに不信感を抱いている」

さらに、脱北者としての彼の経験を専門家は軽んじていると金氏は語った。

「専門家は脱北者の証言に何の価値も見出していない。専門家は北朝鮮政府の公式文書に注力したがっている」

だが公式文書や公式発表は「真実ではない。プロパガンダ」と金氏。

「北朝鮮の公式発表はすべて嘘。私が北朝鮮で過ごした20年間、干ばつが起きるたびに、ニュースは実り豊かな季節が訪れたと伝えていた。公式発表はすべて嘘」

[原文:What North Korean experts don't understand about the country, according to a defector who lived there for 20 years

(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)

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