ローソン、銀行を始める—— 強いセブンを前に勝算はあるか?狙う現金とキャッシュレス

ローソンの小会社、ローソン銀行が2018年10月15日にいよいよサービスを開始する。すでに全国で2万4500台のATM(現金自動預け払い機)を設置してATM事業を伸ばし、北米とインドネシアを中心とする海外事業の拡大をも図るセブン銀行がコンビニ・バンキング市場を闊歩する中で、ローソン銀行はどうビジネスの差別化をしていくのか?

ローソン銀行

撮影:佐藤茂

ローソンは9月10日、都内で記者会見を開き、ローソン銀行の事業方針を発表。会見ではローソン社長の竹増貞信氏とローソン銀行社長の山下雅史氏が壇上に座り、事業骨子と検討を進めるキャッシュレス決済事業について説明した。

開業当初のローソン銀行のコア事業は2つある。一つ目がATM事業で、2つ目は預金やクレジットカード、インターネットバンキングなどのリテール事業。そして、両氏は、現在は検討中だという「キャッシュレス決済プラットフォーム」の構築を目指していくと加えた。

世界各国のキャッシュレス化率は上昇を続けており、隣の韓国ではクレジットカードを主体として96%まで上がった。アリペイやWeChat Payの利用が急拡大する中国のキャッシュレス化率は60%、カナダが56%で、スウェーデンは52%まで上昇しているという。「現金大国」の日本でもキャッシュレス化の流れは加速しているが、その率は約20%。2025年までには40%に拡大する見通しだ。

ATMのコモディティ化

ローソン・竹増貞信社長

2018年9月10日、ローソン銀行の事業方針を発表するローソン社長の竹増貞信氏。

撮影:佐藤茂

「日本の8割はキャッシュで、需要は減ってはいるけれども、当面はなくならない。ATMは中核事業だ」と竹増社長。「ATMではセブン銀行が先行しているが、ATM事業はコモディティ化していく。コンビニATMはインフラだから、セブン銀行だろうがローソン銀行だろうが同じになっていくだろう」と続けた。

セブン&アイ・ホールディングスの店舗ネットワークを駆使するセブン銀行。年間の経常収益(一般企業における売上高に相当)は約1280億円で、時価総額は4000億円を超える。セブン銀はATMの設置数を増やす一方、利用者を増やすために金融機関に限らず多くの企業との提携を拡大している。

例えば、セブン銀は2017年8月にソフトバンクカード、同年10月にLINE Pay、そして2018年3月にはJCBプレモのATM利用を始めている。同行は現在までに、提携する銀行の数を124、信用金庫は258、信用組合は127に増やした。さらに、提携する証券会社は11社で、生命保険会社を8社までにしてきた。

ローソン銀行の山下社長は、「すべての銀行がセブンを選ぶわけではない。ローソンと一緒にATMに限らない広い範囲の提携を考える地銀は存在する」とした上で、「3年で黒字を確保することは絶対条件。ATM事業ではプレイヤーの数は減っていく。(既存の金融機関には)ATM事業を委託しようとする動きが出てきている」と述べた。

決済プラットフォーマーとしてのローソン銀行

ローソン銀行・山下雅史社長

ローソン銀行社長の山下雅史氏。

撮影:佐藤茂

ATM事業を中核に据えながら、ローソン銀行は数年内に、スマートフォンやタブレットなどが主体となる、未来のキャッシュレス社会における新たな決済プラットフォームを築き上げる方針だ。国内ではクレジットカードやプリペイドカード、電子マネー、QRコード決済などの事業者が乱立する中、ローソン銀行は地方銀行などとの連携を強め、ローソン店舗と消費者をつなぐ基盤をつくり、地域経済の活性化を進めていくという。

10日の会見では、詳細は述べられなかったが、竹増社長は「ローソンペイは視野に入っている。決済システムをサポートするところに入って行こうと思っている。現在、消費者が決済コストを負担している。より安い決済を提供していきたい」と意気込みを語った。

10日に開業したローソン銀行の95%株式はローソンが保有し、三菱UFJ銀行が5%を持つ。従業員数は8月末時点で135人。

(文・佐藤茂)

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