話す前に考えよう。
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新しい職場で初日に発した言葉は、同僚に与える印象を大きく左右する。最悪の場合、自分の将来をも危うくすることがある。
「失言すれば、その印象が尾を引き、試用期間後に解雇されることもあるだろう」
キャリアアドバイスのサイト「Careerealism.com」を立ち上げ、『Careerealism: The Smart Approach to a Satisfying Career』の著者、J.T.オドネル(J.T. O'Donnell)氏は話す。
職場環境の専門家のミシェル・ケリガン(Michelle Kerrigan)氏は「周囲に好印象を与えて、職場に溶け込みたいと思う心理は当然」とした上で、「多くの人は話を聞くべき時に、話をし過ぎる傾向にある」と指摘する。入社初日に言うべきではない20のことを挙げた。
「前の仕事では……」
誰もそれについて知りたいとは思わない。
マナー講師であり、『Don't Burp in the Boardroom』の著者、ロザリンダ・オロペッサ・ランドール(Rosalinda Oropeza Randall)氏は、新しい職場で仕事をするにあたって、積極性と共に謙虚さも忘れてはならないとくぎを刺す。
「全部知っているわけはないのだから、学ぼうとする態度が大事です」
「電話での印象と違いますね」
『Well Said! Presentations and Conversations That Get Results.』の著者、ダーリーン・プライス(Darlene Price)氏は、「その人があなたの想像と違うからといって、驚きや失望、困惑をほのめかすことから会話を始めてはいけません。代わりに、『こんにちは、お会いできて嬉しいです。顔とお名前が一致しました』と伝えましょう」と話す。
「大好きです!」
すでに雇われている立場なら、周囲の人々に好かれようと無理をする必要はない。労働環境の専門家で、『Tame Your Terrible Office Tyrant: How to Manage Childish Boss Behavior and Thrive in Your Job』の著者リン・テイラー(Lynn Taylor)氏は、「同僚に好かれることは良いことだが、必要以上に好かれようとする努力はエネルギーの無駄だ」と話す。あなたらしくしていれば、自然と良い印象を与えられる。
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「いつ昇給しますか」
「せめて90日の試用期間を終えてから、発言してはどうでしょう」とランドール氏。
「金曜は早めに帰らないといけません」
「入社後に、または着任早々に、突然この種の爆弾を落とすのは、コミュニケーション能力の欠如を表しているのと同じです」とオドネル氏は話す。
「周囲の人は、あなたの向上心や向学心、熱意に期待しているのです」
「ちょっと待って……今、人事関係の書類を記入しています」
初日は多くの部署に連れて行かれるだろう。ただ、事務処理を差し置いてでも、直属の上司の指示が一番だと考えた方が良い、とテイラー氏は言う。
「初日は人事部のスタッフやさまざまなマネジャー、同僚が寄ってきます。しかし、そのことで一番重要な人物から遠ざかってはいけない」
「誰と会い、誰を避けるべきですか?」
こういった質問は、社内の人間関係について同僚に聞いているようなものであり、自分でキャリアをダメにしているようなものだ、とランドール氏。
「部署内のそれぞれの人と会い、時間をかけて世間話をしてみましょう。自分自身で判断してください」
「私が習ったやり方ではありません」
「ポジティブな会話を心がけるべきです」とオドネル氏は話す。雇用主は、あなたが柔軟で、新しい方法で仕事をする学ぶ姿勢を見ているものです。
「自分の専門性は人に見せびらかせたいと思うことがある。そんな時に、この言葉をうっかり口にしてしまう。適切に表現しなければ、それはネガティブに聞こえ、批判的な発言となるのです」
「……という噂を聞きました。本当ですか?」
ゴシップ好きという印象を持たれたくはないだろう。会社や新しい同僚、辞めた会社の噂について尋ねたり、広めたりするのは避けよう。
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「会社携帯をアップグレードしてもらうには、どうすればいいですか?」
会社から支給された携帯が旧型であったとしても、おそらく同僚が使う携帯も同型であろう。そんな状況で機種変更を要求すれば、一部の人はあなたを面倒な人間と考え、距離を置くだろう。
「会社から与えられたものの取り扱いは、十分気をつけるべきだ。古い机、椅子、または古い装飾品......仕事ができる、できないを道具のせいにしてはいけない」とランドール氏。
「それって意味ないですよね」
新しい会社での仕事のやり方を理解できない、もしくは賛成できなくても、簡単に結論付けてしまわない方が良い。その言葉で、周囲の人間は時に、あなたをネガティブな人と思うことになる。
「物事を決めつける前に、フィードバックを得ることです」とオドネル氏は言う。自分にとって意味がないと言う代わりに、なぜ会社がその方法を維持しているのかを尋ね、会社の観点から理解するようにしよう。
「昔の上司は無知でした」
「前の上司が無能だったとしても、ネガティブな悪口や比較が歓迎されることはめったにない」と、ケリガン氏は指摘する。そしてこの種の発言は、あなたの印象や、プロとしての「ブランド」を傷つけることになる。結局、あなたが無能だと思われてしまう。
「あなたのイメージが一旦悪くなると、それを変えるのは難しい。ポジティブなブランドを築き、維持する努力が必要です。」
「ヘトヘトです」
パワフルに働くことも重要であるとテイラー氏は話す。あなたの態度や労働倫理が精査されるのも、入社後の期間です。
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「いつが予定日ですか?」
「もし、妊娠していない女性にこう聞いてしまったら取り返しがつきません。それは侮辱以外のなにものでもありません」とプライス氏は言う。
「また、この質問 (真実か否かにかかわらず)は、初対面でするには個人的すぎます。女性自身がそれを話題にする場合を除いて、業界やビジネスに関する専門的な話題から離れないでください」
「結構です。今日はお弁当を持ってきました」
その日、弁当を持ってきていたとしても、一緒にランチをとろう。新しい同僚や上司と仲良くなる絶好の機会。
「今度の日曜、教会にあなた方を招待したいです」
「食卓に政治と宗教の話を持ち込むべきじゃない」というルールはオフィスにおいても同様だ。
「一般的に、このテーマは職場において、快く受け止められることはありません」とランドール氏は言う。「同僚から避けられても仕方ありません」
「私の意見では……」
「入社初日の基本ルールとして、『語らず、質問する』をあなたの信条としよう」とオドネル氏は話す。聞かれた場合を除いて、上司の意見を聞くまでは、自分自身の意見は心の中にとどめておいたほうが良い。
「彼/彼女って素敵!」
なぜこれが不適切であるかを説明する必要はないだろう。
「どんな従業員割引がありますか?」
「この種の質問は、会社の基本方針とマニュアルに委ねよう」とランドール氏。サービスについて尋ね、要求することは、とても身勝手だ。
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「働いてる(Working hard)?それとも、少ししか働いていない(Hardly working)?」
同僚が別の同僚をからかっているのを目にしても、参加しない方が良い。
「彼らはお互いにカジュアルな関係にまで達している……あなたはまだそうではない」とオドネル氏は言う。
「最初は堅苦しく感じるかもしれませんが、丁重に、礼儀正しく。あなたは、そこで素晴らしい仕事をするためにいるのだということを、証明しなければなりません」
[原文:22 things you should never say on your first day at work]
(翻訳:本田直子)