災害電源になるか?「発電できるキャンプストーブ BioLite」の実力 —— 枯れ枝燃やしてスマホ充電

BioLite

枯れ枝などを燃やして暖をとりながら発電もできるキャンプ用品「BioLite」。

災害時、スマートフォンは情報収集の生命線だ。

北海道胆振東部地震では、NTTドコモが初めて災害用大ゾーン基地局の運用を実施。またKDDIも北海道日高町の沖合に船舶型基地局を配備するなど、携帯電話各社による「通信を途切れさせない」ための新たな取り組みも注目を集めた。

KDDIのオーシャンリンク

KDDIの基地局船、オーシャンリンク

KDDI

一方で通信がどうにか維持されても、肝心のスマートフォンがバッテリー切れで使えない事態も聞かれた。北海道だけでなく、台風20号の直撃を受けた関西でも、一部地域で停電が長引き、電源の確保がままならない状況が原稿執筆時点の9月11日現在でも続いている。

情報収集の生命線である、スマートフォンの電源をどう確保するか。モバイルバッテリー以外の手段として、「発電できるキャンプストーブ」を紹介したい。

枯れ枝で発電できる「キャンプストーブ BioLite」

BioLite_Campstove 2

筆者が持っているのは数年前の旧型モデル。この写真は現行モデルのCampStove 2(キャンプストーブ2)。直販価格は税抜1万7000円。

東日本大震災の後、ほかの多くの人と同じように、筆者も万が一に備えた「電源確保」のための災害グッズを探した。発電と聞いてまず頭に浮かぶのはソーラーだ。市場にはソーラーパネル一体型のモバイルバッテリーなども発売されているが、当然だがソーラー発電は天候や時間帯に大きく影響を受ける。

そこで筆者が手に入れたのは、「BioLite キャンプストーブ」という製品だった。

最初に書いておくと、火を扱う製品だけに余震が伴う「地震」災害には、不向きな面がある。また室内での利用はご法度だし、アウトドアでも周囲に燃えそうなものがないかは注意して扱う必要がある。

BioLite キャンプストーブは、その名の通りキャンプ用のコンパクトな焚き火ストーブに、USB出力端子を備えた発電用のパワーモジュールがセットになったもの。なぜ火を焚いて電気が発電できるのか不思議に思うかもしれないが、パワーモジュールに内蔵する「ペルチェ素子」と呼ばれる特殊な電子部品(板)を使って発電する。

ペルチェ素子:電圧をかけると、片面が発熱し、反対側は逆に冷えるという特性を持った電子部品。熱すると、電気が流れる特性も持ち、この能力を使って火の熱を使って電気を発生させる。

発電の概念図

出典:BioLite

熱が効率的に当たるようにパワーモジュール内のファンを回して、炎をトルネード状に燃焼させる工夫もされている。ファンで空気を送り込むため、アウトドア慣れしていない筆者でも、火おこしが簡単にできる。

一方で(燃焼しやすいため)小枝や木っ端を投入しても割とすぐに燃えてしまうため、焚き火の「燃料」は多めに用意する必要がある。

燃焼開始からしばらくすると、USB端子付近のライトが赤から緑に代わり、これが外部機器への給電が可能になった合図。あとは炎がペルチェ素子に熱をもたらす限り、発電し続ける。

BioLite

ちなみに、「BioLite キャンプストーブ」は焚き火専用のストーブで、炭などの使用は推奨されない。もちろん屋内での使用は厳禁。ここでは耐熱ステンレステーブル上にストーブを設置し、木質ペレットを燃料に使用している。

肝心の発電量はメーカーの説明には5Vで2~4Wの電力を出力とある。実際に手元のメーターで測った出力数は、5Vで400mAオーバーといったところ。筆者がこのストーブを米国のメーカーサイトから直販で購入した当時は、iPhoneで言えばiPhone 4Sくらいの時代で、これでも問題なく充電できた。ただ、急速充電にも対応する最新のスマートフォンを充電するには、かなり心許ない発電量だと言わざるを得ない。実際につい最近筆者が試したテストでiPhone 7は充電できたが、iPhone Xは充電することができなかった(理由は下記)。

BioLite初代モデルの発電

発電量を計測したところ、MAX5V、0.4~5Aという出力だった。最新の「BioLite キャンプストーブ2」では消火後の出力も可能だが、筆者所有の旧型モデルは、燃焼中かつ、ある程度火が強い状態でないと、安定した出力ができない。

ただし、これは筆者が所有する旧型の「BioLite キャンプストーブ」の話。現在は後継モデルにあたる「BioLite キャンプストーブ2」に製品が切り替わっている。日本ではモンベルでも取り扱っており、メーカーによると前モデルの1.5倍程度の発電が可能。さらに前モデルではできなかったパワーモジュール内のバッテリーに蓄電して、焚き火を終えたあとに外部機器を充電するといった使い方もできるようになっている。一旦蓄電してしまえば、あとはモバイルバッテリーのように使えるわけで、その際の出力も最大2.0Aと一般的なモバイルバッテリーと同等だ。

CampStove 2の公式動画。最新モデルではスペック上で2A出力をうたうので、一般的なモバイルバッテリー相当の出力をもっているようだ。

筆者は1995年の阪神・淡路大震災当時、兵庫県西宮市に在住していた。電気は数日、ガス、水道に至ってはかなり長い間(数週間程度かかったと記憶している)使えない体験をした。

季節が冬だったこともあり、たまたま自宅にあったカセットボンベを使用して給水車から運んだ水を沸かし、温かいお茶が飲めたときのホッとした感覚は、今でもはっきり覚えている。

火を使ってお湯を沸かしながら同時に発電できる「BioLite キャンプストーブ」は、火と電気という災害時に得がたい2つを同時に得られる究極のサバイバルアイテムだと筆者は考えている。

ちなみに我が家ではキャンプに持ち出す以外は、いざというときに備えて非常持ち出し袋の横が定位置。最新スマートフォンの充電にも対応できるように、近々「BioLite キャンプストーブ2」へ買い替える予定だ。

BioLite専用のケトルなど

実際にキャンプで使用中の「BioLite キャンプストーブ」。オプションとして専用のケトルポットやグリルも販売されていて、お湯を沸かしたり、BBQなどの簡単な調理ができる。専用のケトルポット内には「BioLite キャンプストーブ」本体を収納できるようになっていて、持ち運びもコンパクトだ。

(文、写真・太田百合子)


太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。

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