アップルが発表した新iPhoneが話題だ。iPhone 6シリーズ以来続いてきた大画面モデル「Plus」のネーミングが消え、大画面モデルは「Max」という新しい呼び方に変わった。
また、シリーズで最高の性能と技術を詰め込んだモデルが「iPhone XSシリーズ」で、普及価格モデルは新シリーズ「iPhone XR」というように、ラインナップの整理も行われた。
実際の性能が従来とどこまで違うのかは実機レポートを待つほかないが、すでに発表済みの性能表だけでも、多くのことがわかる。
iPhone XやiPhone 8に比べて、どんな機能が増えて、サイズや重さはどの程度違うのか。下記にまとめた。
iPhone XS / iPhone XS Max 対 iPhone X ── 1年で最上位機はどう変わった?
最新iPhoneはどれが最も変化が大きいのかがわかるのがこの表だ。iPhone XとiPhone XSは外見が非常に似ており、サイズもまったく同一。容量別価格も、256GBまでは同じだった。従来から「s」シリーズはsなしの素のモデルで外装は基本的に共通なので、今回も“外装は同じ”を踏襲していると考えて良さそうだ。
アップル公式サイトのサイズ比較を合成したもの。8や8 Plusとのサイズ感、画面占有面積の違いもよくわかる。
処理性能を決める心臓部のCPU(SoC)「A12 Bionic」の性能次第ではあるものの、iPhone XユーザーがXSを街で見たとしても、それほど残念な感想は持たなさそうだ。
カメラ機能では背景ボケ(英語でもBokehと言う)が調整できるようになった。F4.0相当ではかなり被写界深度が浅く立体感ある絵だが……。
F16相当まで絞り込むと背景までくっきり見えるようになる。どこまで自然なボケにできるかは、いま世界のスマホメーカー各社が競っている状況だ。
一方でiPhone XS Maxの画面サイズは圧倒的。ほぼiPhone 8 Plusサイズで全面有機ELディスプレイというのは非常にインパクトのある存在になりそうだ。
なお、今回、初めてiPhone XS /XS Maxは2つの回線契約を1つの端末でコントロールできるDSDS(Dual SIM Dual Standby)に対応した。DSDSそのものは国内でも中国メーカーを中心に一般的なものになりつつある。ただし、アップルの場合は、物理的なnano SIM+内蔵のeSIM(半導体SIM)でDSDSと呼んでいる。
DSDS機能についてはまだ判然としない部分が多く、少なくとも秋の無償アップデートまでは使えない。また、日本でeSIM契約ができるキャリアがどれくらいあるのかも、現時点では不明だ。
基調講演で発表されたeSIM対応キャリア。日本の通信キャリアは含まれていないが、GIGSKYは日本向けのプランがある(ただし、日本のキャリアに比べてかなり割高だ)。
Business Insider Japan
iPhone XR 対 iPhone 8 / iPhone 8 Plus
非常に興味深いのがこちらのバリュークラス、いわゆる普及価格帯モデル。この価格帯を担ったiPhone 8シリーズは、XRの仕様を見る限り、いろいろな意味で「旧モデル」の印象が強い。
XRは素材こそiPhone 8と同質のアルミ素材だが、デザインはiPhone XSシリーズゆずりの全画面ディスプレイタイプで、さらに面積自体も6.1インチと大きい(ただし、ディスプレイは有機ELではなく、一般的なIPS液晶)。
また、非常に大きな違いと言えるのはフロントカメラがFace ID対応のTrueDepthカメラになったこと。今後、TrueDepthを使ったアプリが増えて可能性を考えると、iPhone 8とXRは完全に世代が違うモデルという言っていい。
ただし、背面がシングルレンズのカメラになるのは普及価格モデルらしいコストカットと言える。
またCPUはiPhone XSと共通とみられるA12 Bionic(クロックまで共通かは未確認)。普及モデルだからといって、極端に性能が下がらないのはゲームやARアプリなどの体験で差がつきにくいという意味で歓迎すべき美点だ。
最後に、ひっそりと連続通話が8 Plusよりも長い25時間に延びている点は実用性の高さもある。
なお、XRにもDSDS機能が搭載されているが、XSシリーズと同様にnano SIM+eSIMの組み合わせ。秋のアップデートまで使えないこと、日本でのサービス提供キャリアが不明な点も、XSシリーズと同様だ。
Business Insider Japan
(文・伊藤有)