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中小企業が世界に勝つための3つのルール——日本は、前向きに“ガラパゴス化”しよう

国内最大級の中小企業トレードショー「産業交流展」。その目玉の1つが、世界で通用するレベルの革新的で将来ある製品や技術、サービスを選ぶ「世界発信コンペティション」だ。同コンペティション「製品・技術部門」の審査員長を務め、制御工学の専門家でもある川田誠一・産業技術大学院大学学長に、日本の中小企業の実力、今後の課題などをうかがった。

「こんなとんでもないことを形にしたんだ」

東京の街並み

GettyImages

世界発信コンペティション「製品・技術部門」の審査委員長になって、今回で3度目です。その前身の賞の時代も含めると、審査には8年間関わってきました。毎年、「こんな『とんでもないこと』を考えついて形にしたんだ」と感銘を受け、「今年はどんなものに出合えるのだろう」とわくわくしながら審査を行っています。

応募内容は大学での研究成果を応用したような最先端のものから、職人芸に基礎を置く伝統的なモノづくり系まで、幅広い。最近は、AIやIoTをテーマにしたものが増えてきています。

図1

出典:東京都産業労働局(データは2014年)。中小企業及び小規模企業の範囲は中小企業基本法の定義による。

日本の経済の中心地は東京であり、その東京にある99%の企業は中小企業で占められています。その中から「われこそは」と名乗りを上げた企業の製品や技術が審査対象となります。

その多くは企業向けの製品や技術。一般的には知られていないけれど、実はその分野で世界シェアNo.1の企業や、これがないと大手自動車メーカーの製品が成り立たない、という部品を作っている企業など。

中には、どうしても技術者目線になってしまう製品や技術もあります。顧客の心理がわかるデザイナーが一枚噛んでくれると、同じものが消費者向けの製品やサービスに転換することもある。そうした仕事が得意なデザイナーの方々にとっても、楽しいイベントだと思います。

強い中小企業のポイント1:仕組みで動かない

川田誠一氏

産業技術大学院大学学長の川田誠一さん。1982年、大阪大学大学院機械工学専攻博士課程を単位取得退学し、大阪大学工学部助手に。翌年、工学博士(大阪大学)。86年、東京都立大学(現:首都大学東京)工学部助手に転じ、助教授、教授を歴任。2006年、産業技術大学院大学教授・産業技術研究科長に就任、2016年から現職。

賞は公募制になっており、応募はいわゆる中小企業に限られますが、その“中小”という言葉にとらわれないでほしいと常々思っています。

私は売上高や従業員数といった規模ではなく、「仕組みで動くか否か」という基準で企業を捉えています。仕組みで動く企業は、業績が安定し、経営者に誰がなっても大過なくやっていけますが、その仕組みを維持するために、官僚のような社員が大きな顔をするようになり、イノベーションや新規事業が起こりにくくなります。

一方、仕組みで動かない企業は、この人がいなければ駄目、という唯一無二の経営者や技術者がいて、業績は不安定ですが、新しい可能性に満ちています。

仕組みと規模の大小は関係なく、仕組みで動く中小企業もあれば、仕組みで動かない大企業もあるということです。

ここに応募してくるのは、仕組みで動かない中小企業ばかり。いわば、スタートアップの思いを持ち続けているベンチャーです。

強い中小企業のポイント2:見返りを求めずに挑戦する

産業技術大学院大学のキャンパス内にある「夢工房」にて。

産業技術大学院大学のキャンパス内にある「夢工房」にて。学生たちが自由に発想を練り、PBLや演習・発表等を行う場。ショーケースに並ぶのは、学生の試作品。

審査対象となるのは製品や技術なのですが、その裏には必ず人間のドラマがあります。何より心打たれるのは、何度失敗しても諦めず、大きな見返りがあるとも限らないのに、高い志を持続させ、自分がこれと決めた開発に取り組んでいるイノベーターやアントレプレナーたちです。

例えば、2017年、世界最高レベルの光吸収特性と耐久性を持つ太陽熱吸収体の開発に成功したナノフロンティアテクノロジーという企業が受賞しました。その開発者兼社長は女性で、しかも個人事業主なのです。こうした人に対しては、審査員という立場を超えて、崇敬の念を抱かざるを得ません。

強い中小企業のポイント3:課題解決の視点を持っている

物流倉庫内

2017年の東京都ベンチャー技術大賞を受賞した、アイオイ・システムはピッキング作業の課題を解決する製品を生んだ。

GettyImages

最近の傾向として、単なる「いいモノ」や「優れた技術」を売りにしているだけでは、受賞に至ることは難しい。現実のビジネスがまさにそうですが、そのモノや技術が人間にどういう価値をもたらすか、というサービスの視点がますます重要になってきています。

その点、同じく2017年の受賞企業のひとつ、アイオイ・システムが開発したプロジェクション・ピッキングシステムは画期的な製品でした。

受賞企業一覧

製造工場や物流センターでは、従来は、作業の正確性と効率化のため、ランプと数字表示の付いた表示器で、ランプで作業者を場所に誘導し、取り出す商品の数を表示するなどの工夫がありました。

今回開発の製品は、映像認識技術と情報伝達技術を融合させ、従来の作業をより効率的に、更に新しい価値を付加することが可能になりました。

設置場所が自由になったこと、ポカミス(人によるうっかりミス)の防止、作業工程を順次表示すること、さらに作業者の熟練度は問わないといった付加価値を実現。従来の熟練を必要とした作業が“初心者はもちろん誰にでも・簡単に・ミスなく”が可能になりました。まさに物流作業効率の革新の実現です。

少年の心を持った経営者に出会える場

2017年の世界発信コンペティション授賞式の様子。

2017年の世界発信コンペティション授賞式の様子。

面白い技術に出合えるのもそうですが、出展者の方々との交流も目玉です。中でも、当コンペティションに応募してくるような、“大企業的な仕組み化”されていないベンチャーのブースにはぜひ立ち寄ってほしい。

ここでしか出合えない製品や技術を目の当たりにできますし、何よりちょっと頑固でいささか変人かもしれませんが、少年の心を持った唯一無二の開発者とじかに話ができます。そこでしか聞けない“秘話”を耳にすることができるかもしれませんよ。

“ガラパゴス化”は悪いことではない

川田誠一氏

「面白い施設があるんですよ」と大学内の夢工房を案内する川田学長。何に使うんだろう?と思わせる試作品や、3Dプリンター、工作機械などがあちこちに。

日本のものづくり産業はガラパゴス化していると揶揄する声がありますが、ガラパゴス化は悪いことではないと私は思っています。当コンペティションの審査を行っている際も、「こんなものをつくってどうするんだろう。お金になるのだろうか」と、審査員同士、顔を見合わせてしまうことがあります。でも、開発者、発案者の方たちの好奇心、探究心、粘り強さには本当に頭が下がる。

すぐに実用化しそうなもの、買い手がつきそうなものは、驚きを伴う新製品につながることはありません。でも、日本のガラパゴスからは世界を驚かせる製品や技術が必ず出てくる。その一端を見に来ませんか。


中小企業による国内最大級のトレードショー「産業交流展2018」が、2018年11月14日(水)〜16日(金)に東京ビッグサイトにて開催されます。他にない技術を知るだけでなく、高い専門性を持った人との交流の場でもあります。ぜひお越しください。詳しくはこちらから

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