N高が中等部開校——「学校合わない」中学生20万人に“社会に出るための武器”を

ネットを使った通信制高校「N高等学校(N高)」を運営している学校法人・角川ドワンゴ学園が、中学生向けの「N中等部」を開校すると発表した。学校に違和感を持っていると想定される中学生は全国で約20万人。N中は彼らにとって新たな選択肢になり得るのか——。

選べる通学頻度、プログラミングや小説創作の授業も

N中等部

「N高」が急成長を続けるドワンゴ学園が来春「N中等部」を開校する。一体どのような学校なのか。

出典:N中等部ホームページ

N中等部の開校予定は2019年4月。現在の法律では義務教育期間中の年齢の生徒を対象にした通信制中学は認められていないため、自身の中学校に在籍しながら通うかたちだ。ただし、在籍する学校の校長の判断により、N中等部への通学日数が在籍中学校の登校日数として認定される場合もあるという。

キャンパスは東京都内を予定しており、定員は約40名通学頻度は週1日・3日・5日のいずれかを選択する。

国語・数学・英語はN高でも使われている「N予備校」という映像授業に基づいた学習アプリで学ぶ。小学校の復習から大学受験レベルまで幅広く対応しているため、自身のペースで勉強できるのが特徴だ。理科と社会は担任のサポートを受けながら自主学習することになるが、代わりにプログラミングマインドフルネスボーカロイドの楽曲制作やKADOKAWAグループの強みを生かした文芸小説創作など、個性的な授業が用意されている。

9月13日、記者会見に登壇したカドカワ社長で角川ドワンゴ学園の理事を務める川上量生(のぶお)氏は、N中等部開校の理由を、こう説明した。

「N高は予想以上に良い反響をいただきました。その中で、生徒や保護者から『中学時代からN高があればよかったのに』という声が上がったんです」(川上氏)

N高は11都市にキャンパスを持つほど支持された

N中等部

提供:学校法人角川ドワンゴ学園

2016年に“ネットの高校”として開校したN高は、今や在籍生徒数7024人に(2018年9月時点)。ネットを駆使した授業で効率よく高校卒業資格を取得できるほか、ファッション、漫画家、漁師、酪農などさまざまな職業を体験できる課外授業もあり人気を博している。

「ドワンゴの一級のエンジニアが教える」(川上さん)というプログラミング授業の成果か、第30回国際情報オリンピックの日本代表として出場し銅メダルを獲得した生徒も。東京工業大学、筑波大学、慶應義塾大学など有名大学への合格実績もあり、2019年4月には全国11都市にキャンパスを拡大する予定だ。

今ではその授業内容に惹かれて入学する生徒も少なくないが、N高はもともと不登校など既存の学校になじまない生徒を対象につくられた学校だ。それはN中等部でも変わらない。

文部科学省が2016年に発表した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」をもとにドワンゴ学園が算出したところによると、学校に違和感を持っていると想定される中学生は全国に約20万人。彼らに新たな学びの選択肢を提供することが、N中等部の大きな目的だ。

選択肢を増やして、全員を救う

川上量生

記者会見する川上量生さん。

撮影:竹下郁子

不登校の生徒などが通うフリースクールは、生徒の中学校復帰準備や居場所になることを目標に掲げていることが多い。N中等部ではそれらにプラスして「社会に出ていくための武器」を与えたいという。

「例えば中等部で大きな柱にしたいと考えているのが、N高のウリであるプログラミング授業です。日本の一流IT企業に就職できるくらいの学習コースを用意していますが、生徒によって適性もあるのでこれで全員を救うことは出来ない。だからライトノベルを書く講座を用意するんです。全員に同じ教育をするのではなく、選択肢をどんどん増やしていく。これはN高やN中等部に共通する基本的なコンセプトです」(川上さん)

集団説明会は9月29日から始まる。入学テストは作文、面接、そして算数または数学、国語、英語の筆記などがあるが、最も重視するのは「生徒自身の意欲」だそう。「今後は通信制中学が実現できるよう努力していきたい」(川上さん)と話した。

経済協力開発機構(OECD)の最新の調査によると、日本のGDPにおける小学校から大学までの教育機関に対する公的支出の割合は、加盟国の中で最も低い。一方で10月には堀江貴文氏が主宰する、既存の通信制高校と連携した学校「ゼロ高等学院」の開校も控えており、今後も学びのかたちは多様化していくと見られている。子どもたちに少しでも多くの、そしてより良い選択肢を与えられるよう、社会全体で考えていく必要がありそうだ。

(文・竹下郁子)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み