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アメリカで家を買おうとしている人が希望に沿ったマイホームを見つけることは、当面は簡単ではないだろう。
不動産サイトZillowによると、現在市場に出ている売り物件は、1年前に比べて約3%少ないという。
ミネアポリス、シンシナティ、デトロイトでは売り物件が特に減少している。例えば現在、ミネアポリスで売りに出されている住宅は、前年比18%少ない。
また、成約までのサイクルも短くなり、2010年は一軒あたり平均144日間だったのが、現在は平均103日となっている。シアトル、デンバー、サクラメントなど、人気の高い都市ではではたったの54日だ。さらに、全国の住宅価格は過去1年間で7%上昇している。
需給のひっ迫には、いくつかの要因がある。まず、売り物件が不足気味の不動産市場では、物件所有者の多くは、売却後に新たな家を買うのが難しいと考え、家を手放さなくなる。
Zillowのシニアマネジメントエコノミスト、スカイラー・オルセン(Skylar Olsen)氏は、「売り物件が少ないと、市場に出る物件はさらに減る」と語る。同氏はまた、売り物件の下位3分の1をめぐる競争が特に強まっていると付け加えた。
オルセン氏によると、住宅オーナーのうち約510万人は、住宅の現在評価額よりも抱えている住宅ローン残高が多い。売ってもローンが残るため、これらの人々が家を売却する可能性は低い。
「下位3分の1の物件では、ローンが資産価値を上回るケースがそうでない物件の2倍に達する。新築住宅の建設ペースは金融危機前どころか1980年代の比較的落ち着いた水準にさえ回復しておらず、市場の物件はなかなか増えない」(オルセン氏)
住宅建設のペースは最近になって回復しつつあるが、土地や労働力のコストはなお高水準にある。金融危機前まで、過剰に建設を進めていた多くの住宅建設業者にとって、バブル崩壊の傷は深い。
「業者が競い合って建設した結果、市場が弱った」とオルセン氏。「建設業界は物件建設を抑えて高い利益を得ようとするようになった。物件を多く建設することに魅力を感じない大手業者も増えた」
Mike Black / Reuters
現在、初めて住宅を購入する人の平均年齢は33歳で、ミレニアル世代(ここでは18歳から34歳)は、初めて家を購入するアメリカ人の56%を占める。今の不動産市場の状況が、アメリカで数が最も多い層であるミレニアム世代の住宅購入に影響を及ぼすのは間違いない。
[原文:It's especially hard to find a home to buy right now ― and it could get worse for millennials]
(翻訳:梅本了平)