前澤友作氏。
SpaceX
- イーロン・マスクとスペースXは、最初の月周回飛行の乗員を前澤友作氏と発表した。
- 前澤友作氏は日本人起業家でアート・コレクター。計画が予定通り進めば、前澤氏は、スペースXが火星の植民地化を目指して開発しているビッグ・ファルコン・ロケット、いわゆるBFRで月飛行を行う。
- 前澤氏は宇宙船の全シートを購入、さまざまな分野から選んだ6〜8人のアーティストとともに月を目指す。
- ミッションは月には着陸しない。前澤氏とアーティストたちは月を周回する。
イーロン・マスク氏とスペースXは、同社初の月周回飛行の乗員を発表 ── 日本人起業家でビリオネアの前澤友作氏だ。
「やっと、月に行く! と発表できた」と前澤氏は9月17日(現地時間)夕方、述べた。
前澤氏はまた、月に向かうスペースXのビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)の最初のシートをすべて購入したと語った。前澤氏は、月飛行に6〜8人のアーティストを連れて行くことを計画している。アーティストはまだ決まっていない。アーティストは、地球に戻った後、月飛行からインスピレーションを受けた作品を発表する。
「もし私から一緒に行こうと言われたら、イエスと答えて、私の招待を受けてほしい。どうかノーと言わないで」と前澤氏は語った。
スペースXは前澤氏が月飛行にいくら支払ったかは明らかにしていない。だが、すでに手付金を受け取ったと語った。
「彼は宇宙船とロケットに多額のお金を払っている」とマスク氏は17日、語った。
前澤友作氏。
SpaceX
前澤氏は2017年、バスキアが1982年に描いた作品を1億1000万ドル(約123億円)で購入。同氏は、バスキアが宇宙を飛んだら、どんな傑作を描いたのだろうと考えたことから、アーティストと一緒に月を目指すことを思いついたと語った。
計画が予定通りに進めば、前澤氏とアーティストたちは世界初の民間月飛行者となる。
ミッションは2023年はじめの予定、だがマスク氏は具体的なスケジュールは確定していないと語った。
マスク氏は前澤氏について、信じられないくらい勇敢と述べた。
「危険な旅になる。公園を歩くわけではない」
月を周回するスペースXのビッグ・ファルコン・ロケットの予想図。
SpaceX/Twitter
マスク氏はまた、ビッグ・ファルコン・ロケットのいくつかの設計変更も発表。高さが347フィートから、387フィート(約118メートル)となる。前部にアクチュエーター・フィン、後部に3枚の翼を備える。
ロケット・ブースターの上の宇宙船は、最大100名と150トンの装備を火星まで運ぶ。
スペースXは現在、宇宙船とビッグ・ファルコン・ロケットのハードウエアの試作をロサンゼルス港にある同社施設で進めている。より大きな恒久設備の完成後は、そちらで試作を続ける計画。ロケットの最初の部分はすでに完成しているとマスク氏は語った。
プロジェクトは極めて野心的で、高価。コストは、約20億ドル(約2200億円)〜100億ドル(1兆1000億円)とマスク氏。
「BFRの開発コストは分からない。だいたい50億ドルくらいだと思う」
17日の発表以前、マスク氏は国際宇宙会議2017(2017 International Aeronautical Congress)でBFRについて述べ、完成予想図を発表した。
その後、外観は変更されたが、マスク氏は17日、宇宙船の内部については「いくつかのコンセプト案」を検討している段階と語った。
「無重力はどれほど楽しいだろう」とマスク氏は内部デザインについて質問された時に語った。
「それを考えている」
マスク氏とスペースXの活動を注視している専門家は、最初の月飛行までに、BFRの設計については何度も変更があるだとうと語った。
「こうした変更が起こることは、まさに適切なことだと思う。なぜなら、実際の開発の進捗とさまざまなシミュレーションの結果を反映したものだと信じているから」とサザン・カリフォルニア・スペースフライト・イニシアティブのディレクター、グレッグ・オートリー(Greg Autry)はマスク氏の発表前にBusiness Insiderにメールで語った。
だがマスク氏はこう語った。
「これが設計の最終案」
ビッグ・ファルコン・ロケットの予想図。2018年9月。
Elon Musk/SpaceX via Twitter
マスク氏は、スペースXは2019年末までにBFRの開発を次の大きな段階に進める予定と付け加えた。そして民間企業による宇宙開発競争の進展を歓迎した。
「なぜ2018年にもかかわらず、月に基地がないのか? 基地を作り、月に向かわなければならない。それが定めだ」
[原文:Elon Musk just revealed who will fly to the moon on SpaceX's new rocket ship]
(翻訳、編集:増田隆幸)