グーグルスマホ「Pixel」日本上陸が確定 ── iPhone対抗の肝は「おサイフ」対応である理由

Google Pixel Coming Soon

六本木ヒルズに置かれたGoogle Pixelの日本上陸を告知するモニュメント(2018年9月19日撮影)。

撮影:伊藤有

グーグルは9月19日、自社ブランドのスマートフォン「Pixelシリーズ」の日本投入をSNS上で発表した。発売日などの詳細は未発表だが、同社は特設ページではメールアドレスを登録しておくと、最新情報を受け取れるようになっている。

投入されるのは「Pixel 3」か?

Google Pixel Japan Website

公開されているグーグルの特設サイト(画像をクリックすると該当ページへジャンプ)。

出典:グーグル

同社はアメリカ・ニューヨークとフランス・パリで10月9日(ニューヨーク現地時間)に新製品発表会を予定している。そこでは新型スマートフォン「Pixel 3」シリーズなどが発表されると見られており、このタイミングで日本に旧機種(Pixel/Pixel 2)が投入されるとは考えにくい。

正確な製品名をあえて告知してないとはいえ、本国の発表を前に日本での展開を予告するのは異例中の異例。これは、9月12日の日本経済新聞電子版が報じた「グーグルスマホ、10月にも日本に」の記事を受けてのものと思われる。

なお、記事内ではNTTドコモとソフトバンクの2社がグーグルと交渉中と報道されているが、「Googleの新製品を扱う予定はあるか?」というBusiness Insider Japanの質問に対し、両社広報は以下のようにノーコメントとしている。

NTTドコモ 広報部:取扱いについて決まったものはございません。

ソフトバンク 広報室:うわさや憶測に基づく報道に関してのコメントは控えさせていただきます。

グーグルの最新ハードとOSが日本に上陸する意味

Android 9 Pie

バッテリーの最適化や通知機能の改善が施されている最新OS「Android 9 Pie」。

出典:グーグル

Pixel 3の詳細なスペックは現時点では不明だが、例年であれば同社の最新OS「Android 9 Pie」が搭載され、発売後も同社によるセキュリティーアップデートや数回のOSアップデートが受けられると見られている。

日本でグーグルが直接扱ってきた端末と言えば、SIMフリーおよびドコモとソフトバンク(ワイモバイル、旧イーモバイルを含む)などで販売されたNexusシリーズが思い出される。

NexusシリーズはPixel同様に素早いソフトウェアアップデートの提供と素のAndroidに近い構成にすることにより、リファレンスモデル(各種開発の基準となる端末)として、とくにAndroidアプリの開発に携わるデベロッパーなどに親しまれてきた。

しかし、2015年発売の「Nexus 5X」「Nexus 6P」を最後に、同社が2016年に自社製スマートフォンおよびタブレット・PC端末をPixelにリブランドして以来、日本での展開はなかった。

Essential Phone

記事執筆時、技術適合認定を受け技適マークを表示してAndroid 9.0を利用できるスマートフォンはEssential Phoneのみ。

出典:楽天

なお、9月11日には、楽天やインターネットイニシアティブ(IIJ)が同社の格安SIM事業において、Android 9.0にいち早く対応した米エッセンシャルの「Essential Phone」の取り扱いを発表されたばかりだが、Essential Phoneは2017年にグローバル発表された製品で、最新のハードとOSの端末とは言えない。

開発者にとってはなんとも歯痒い状況が続いていたわけだが、新型Pixelの登場によりAndroidアプリの一定の開発環境改善が見込めるだろう。

Pixelの日本仕様対応とその他が気になる

Google Lens

新型Pixelでも使えると思われる「Google Lens」。被写体の情報を検索するサービスだが、観光バスの窓越しで写した建造物でも検知できるほどの高精度を誇る。

PixelはNexusと違い、最新OSが試せるリファレンス機というより、より一般ユーザーに対しGoogleアシスタントやGoogle Lensといった同社の人工知能や機械学習の成果、各サービスを快適に利用できることに重点を置いて企画・開発されている。

そのため、日本において同社が最近注力しているキャッシュレス分野のサービス「Google Pay」の対応も期待される。

日本版Google Payはポイントカード系サービス除き、Suicaや楽天Edy、nanaco、WAONを使うためには端末側が“おサイフケータイ”に対応している必要がある。Apple PayでiPhoneの利用シーンを拡大しているアップルに対し、各種報道のように同社が「iPhone対抗」を狙うのであれば、おサイフケータイ対応は必然的な要素だと思える。


Google Pay

グーグルは各種街頭広告やキャンペーンを行なうなど、「Google Pay」を積極的にPRしている。

撮影:小林優多郎

また、冒頭のSNSでは「新しいスマートフォンがやってくる」と投稿されているが、特設サイトには「Google PixelおよびGoogleのハードウェアの最新情報」と書いてある。

日本未発売のPixelスマートフォン以外のハードウェアと言えば、現時点でも大型のスマートスピーカー「Google Home Max」や翻訳機能内蔵イヤホン「Google Pixel Buds」などがある。それらの日本展開も同時に期待したい。

(文・小林優多郎)

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