グーグルの内情をネタに、同社エンジニアがマンガを出版

軽食はGPA3.9以上の従業員向けです。

Manu Cornet

グーグルには、今こそ良質な笑いが必要かもしれない。

このところ、グーグルは数々の批判にさらされている。最近では、アンドロイドの生みの親アンディ・ルービン氏の退社はセクハラが原因で、しかも多額の退職金が支払われたと伝えられた。

1日には世界中のグーグル・オフィスで従業員によるストも行われた。

振り返ると、今年はじめには国防総省との契約に対して数千人を超える従業員が抗議の声を上げた。

8月には中国で当局の検閲に対応した検索エンジンをローンチする計画が明らかになり、何名かの従業員が抗議の意で辞職。さらにトランプ大統領は自身の検索結果には不利なニュースばかりが表示されるとグーグルを批判した。

こんな時こそ、5月に出版された、同社のカルチャーを風刺したマンガ「グーミックス(Goomics)」がちょうどいい具合に笑いを誘い、ストレスを和らげてくれるかもしれない。

作者はグーグルのソフトウエアエンジニア、エマニュエル・マニュ・コーネット(Emmanuel "Manu" Cornet)氏。アーティストであり、ミュージシャンでもあるコーネット氏はフランス出身、2007年からグーグルで働いている。

「グーミックス」の内容から察するに、同氏はグーグルのカルチャーを鋭く観察することも得意なようだ。

コーネット氏は、上司や同僚をネタにする時は、多少、手加減しているようだが、それでも同氏のマンガはグーグルの内実を明らかにしてくれた。

また同氏は、ユーモアを通して、世界で最もパワフルで、イノベーティブで、おそらく最も理解されていないテック企業での毎日がどんなものなのかも教えてくれた。

だが最も面白いのは、アップルやマイクロソフト、オラクルなど、グーグルの競合企業をネタにした時。

我々はマンガとグーグルでの毎日についてコーネット氏に聞いた。同氏の見解をマンガと一緒に見ていこう。

まず「グーミックス」の作者、マニュ・コーネット氏について。

自画像

自画像。グーグル従業員でイラストレーターのエマニュエル・マニュ・コーネット氏。

Manu Cornet

コーネット氏はBusiness Insiderとのインタビューで、詳しく語ることはできないとしつつも、「グーミックス」の出版についてグーグルからOKが出るまでに、長期間にわたるチェックがあったと述べた。

また、グーグル従業員の誰もがこのマンガを快く思っていたわけではないと語った。同氏によると、会社の評判が傷つくかもしれないと心配する人もいた。

「使われているセリフなどから、私はグーグルが大好きなことが明確に伝わればいいのですが」と同氏。

また「ユーモアのセンスを持ち続けることは、グーグルにとって重要だと思う。長期的には、イメージアップになると思う」と付け加えた。

マンガを描こうと思ったきっかけは本当に分からないが、自分の出身と何か関係があるかもしれないと同氏は語った。フランスでは「アステリックス(Asterix)」のようなマンガが大人気。

コーネット氏の名前はこのイラストの作者として見たことがあるかもしれない。テック大手の組織を風刺した図だ。

テック大手の組織構造風刺画

Manu Cornet/Wikimedia Commons

「このイラストはもう少しで発表するのをやめるところだった」と同氏は語った。

「これはたぶん私のイラストの中で最も知られている。だが実際のところ、私はそれほど面白いとは思わなかった。つまり、私がいかに人々が気に入るイラストを考えられないかということ」

このイラストはニューヨークタイムズで紹介された。また、マイクロソフトのCEOサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏は自著「Hit Refresh: マイクロソフト再興とテクノロジーの未来」(原題:Hit Refresh)に引用し、このイラストを見て、マイクロソフトのカルチャーを変えることを決意したと記した。

148ページ。コーネット氏はグーグル従業員が無料の食事といった社員特典を有効活用している様子を描いた。

「お疲れさま! また明日!」「じゃあね!」

「お疲れさま! また明日!」「じゃあね!」

Manu Cornet

コーネット氏は、時々、社員特典は悪用されていると語った。

同氏は一部のグーグラー(グーグル従業員の愛称)は「軽食、ランチやディナー用の持ち帰りボックスは、家に持ち帰って家族全員で食べるものではないという一般常識レベルのルールを守らない」と語った。

グーグルがコーネット氏にマンガの出版を許可したことは、同社の多くの変化とは関係なく、経営層や従業員がまだ自分自身を笑い飛ばせることのサインかもしれない。

各章のタイトルには、グーグルの親会社アルファベットにちなんで、アルファベットが1文字ずつ付けられている。例えば「F」は「fifteen(15)」のF、同氏によると新人グーグラーである「ヌーグラー(Noogler)」は、最初の数カ月で平均15ポンド(6.8キログラム)太る。

「哲学者のジレンマ」、「大統領のジレンマ」、「グーグラーのジレンマ」。

「哲学者のジレンマ」、「大統領のジレンマ」、「グーグラーのジレンマ」。

Manu Cornet

「S」は「Spoiled(甘やかされている)」の「S」。コーネット氏はグーグラーを表す言葉と語った。

グーグル従業員は、同社が提供する社員特典に対して、3つのステージを経験すると同氏は記した。「喜び」「慣れ」「権利」だ。

「入社して数週間で、もう新人が驚くほど多くのことを当然の権利と考えている」とコーネット氏はマンガの中でジョークを述べた。

「一部の少数の従業員のことだが、その主張の声はひときわ大きい」

「グーグル従業員のほとんどは、与えられているものに満足していると思う」とコーネット氏。「文句を言う人もいる。私はバランスの取れた視点に立ち、たくさん与えられている中で不満を言うことのひどさを描こうとした」

通常の会社(左)、グーグル(右)。

通常の会社(左)、グーグル(右)。

Manu Cornet

あるシーンで、同氏は元CEOエリック・シュミット(Eric Schmidt)氏が昇給やボーナスなどについて発表している姿を描いた。そして、もっと要求している人も描いた。

インタビューの中でコーネット氏は自身の立ち位置について率直に語った。同氏が働いたことがある企業はグーグルのみ。グーグルと同レベルの社員特典を満喫している会社員は世界にほとんどいないことは知っているが、比較できる経験は持っていない。

それでも、グーグルの社員特典を当然のものと考えてはいけないと同氏は述べた。

一部のグーグルカルチャーは現実離れしているとコーネット氏。

「グーグルバスへようこそ」

「グーグルバスへようこそ」

Manu Cornet

Gバスとしても知られるグーグル・バスについては、多くが描かれている。

これまでグーグル従業員は、バスに乗っている間も仕事ができると述べていた。

コーネット氏はイラストで、すべての従業員が通勤中も仕事をしているわけではないこと、さらには、普及しているとは言い難い同社のソーシャルメディア、グーグルプラスを使っているわけではないことを示した。

「J」は「Jargon(専門用語)」のJ。グーグルは専門用語だらけ。

2冊の辞書のイラスト

児童書を理解するための辞書(左)、グーグルでのミーティングを理解するためのグーグル専門用語の辞書(右)。

Manu Cornet

「dog-fooding」といった用語が分からない時、分かったふりをしないことがヌーグラーにとって最善の方法とコーネット氏は記した。

ちなみに「dog-fooding」はグーグル従業員が自社製品を試すことを意味する。

また、同氏はグーグルで使われている無数の略語を解説した。PMは、product manager(プロダクトマネージャー)、TLM(technical lead manager:テクニカル・リード・マネージャー)と混同しないように。

「新たにチームに配属された従業員は、これから開発に携わるソフトウエアのアーキテクチャーについての研修を受ける」とコーネット氏。

「そのソフトウエアがサーチやGメールのような複雑なものなら、専門用語の洗礼を受けることになる」

グーグルの象徴的なビジネス慣習はすべてネタにされた。採用プロセスでさえも。

「無料の軽食は、GPA3.9以上の従業員向け」

「無料の軽食は、GPA3.9以上の従業員向け」

Manu Cornet

コーネット氏はグーグルの採用基準が非常に高いこと、そして実際に従業員として採用される確率の低さを指摘した。

そのマイナス面、少なくとも1つのマイナス面は、一部の従業員の間にエリート意識を作り出すことと同氏。

2011年、グーグルがモトローラを買収した時のことを同氏は次のように書いた。

「一部のグーグラーは自分の学力を自慢し、新しく入ってきた従業員はグーグルの採用基準を満たしているのかと疑った」

グーグルは特許を嫌っていると見られている。特許は自由な考え方や情報の自由な流れを妨げるから。

「特許申請中」

「特許申請中」

Manu Cornet

コーネット氏はこのことに言及したうえで、2014年にグーグルがモトローラをレノボに売却した際、同社がモトローラの特許を保有し続けたことを指摘した。

このマンガの大半は極めて内輪の話。テック業界で働いていない人、あるいはテック業界にあまり興味のない人は理解に苦しむだろう。

だが、そうでなければ、「グーミックス」には19ドルの価値がある。


[原文:A CEO and dad uses a 100-year-old strategy to get control of his schedule in just 15 minutes each night

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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