トランプ大統領とジャック・マー氏。
AP
- アリババの会長ジャック・マー氏は、米中間の貿易戦争はアメリカの100万人の雇用創出を手伝うとした同社の約束を破たんさせるだろうと述べた。
- これは、マー氏が中国メディア新華社のインタビューに応じた際の発言で、トランプ大統領が2000億ドル(約22兆5000億円)相当の中国製品に更なる関税をかけると発表した2日後のことだ。
- マー氏はまた、貿易は武器としてではなく平和のための手段として使われるべきだと述べた。
先日1年後の退任を発表したアリババのジャック・マー会長は19日(現地時間)、トランプ大統領の対中貿易戦争はアメリカに100万人の雇用を生むとした同社の約束をふいにさせるだろうと述べた。
新華社のインタビューで、マー氏は最近の米中の関税応酬が、アメリカ国内での雇用創出というトランプ大統領が就任前に強調していた約束を実行不可能なものにしていると発言した。
「この約束は、米中の友好的なパートナーシップと冷静な貿易関係を前提としたものだ」
マー氏は言った。「この前提は今日、もはや存在せず、我々の約束を実現するのは不可能だ」
これまでもトランプ政権の保護主義に批判的だったマー氏だが、改めて、貿易は武器としてではなく、国家間に平和をもたらす手段として使われるべきだと語った。
同氏のこの発言は、米中の貿易戦争がさらにエスカレートした翌日に出たものだ。トランプ大統領は17日、2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を課すと発表。その翌日、中国は600億ドル相当のアメリカ製品に報復関税を課すと発表した。
二国間に対話はなく、この貿易戦争がすぐに収まる気配はない。
アリババのそもそもの約束は、アメリカのスモール・ビジネスにアリババを通じた中国市場へのアクセスを提供することで、アメリカの雇用拡大を手伝うというアイデアに基づくものだ。多くのアナリストが懐疑的だったが、トランプ大統領は自身の経済政策がアメリカを救う証拠として、これを強調した。
中国の報復関税や自国企業に対する"非アメリカ"による代替の要請を考えると、この楽観的な約束は今、さらにあり得ないものとなっているのかもしれない。
アリババの共同創業者でもあるマー氏は9月上旬、その会長職を離れ、今後は慈善事業に注力すると発表している。
(翻訳、編集:山口佳美)