「やっぱり」Zaifの67億円流出を“想定内”という利用者の不信感

zaif01

仮想通貨取引所のZaifを運営するテックビューロ(大阪市)から67億円相当の仮想通貨が流出した問題。Zaifの利用者の中には、コインチェック流出の被害者もいる。利用者たちは、Zaifの流出に「やっぱり」「こんなもんでしょう」と“想定内”だと口にする。「(これをきっかけに取引から)撤退するかも」と業界への悪影響を懸念する人もいれば、「全員が仮想通貨を使うようになる」と業界の健全化を期待する人もおり、仮想通貨をめぐる利用者の意見はさまざまだ。

相次ぐ「業務改善命令」への不信感

zaif

2年ほど前にZaifの口座を開設した、エンジニアの男性(48)。9月19日、テックビューロから取引停止のメールを受け取った。「やられたんだな」男性は直感的にそう思った。「Zaifは業務改善命令が出っ放し。何度も(業務改善命令が)出ていたのに、改善されていない」と感じていたからだ。今回の流出も「こんなもんでしょうね」と冷静に受け止める。

男性は、複数の取引所で口座を保有し、数百万円単位で仮想通貨を売買し、利益を得ていた。コインチェックの事件でも被害に遭った。相次ぐ流出に「新しく仮想通貨を使おうとする人が出てこないのでは」と業界への影響を懸念し、男性自身も「(取引から)撤退するかもしれない」と話した。

Zaif利用者の会社員女性は「やっぱり」

zaif

「ちょっと怖いな」。Zaifで10万円相当のコインを保有していた会社員の女性(30)は、普段からZaifのシステムに不安を感じていた。

取引を始めたのは、2017年の5〜6月ごろ。「朝起きたらお金が増えている」などと、Zaifで1000万円相当の取引をする友人から勧められた。「ビットコインを持つには、もう遅いと言われたので、コインはZaifトークンを選んだ」(女性)。価格が大幅に、かつ急激に変動。「価値にすごい幅があって、精神的についていけなかった」。売り買いを見ていても、「なんとなく不安定。Zaifは不具合も起こっていて、いつかは発生するだろうと思っていた」(同)。今回の流出について、Zaifからメールがきた時も、「あ、来たか」と想定内だったという。

「仮想通貨が当たり前の社会に」

上記の女性は、仮想通貨の相次ぐ流出にも、「実はまだ興味があって」と明かし、「将来的には、仮想通貨は全員が使うものになる」と大きな期待を寄せる。「さまざまなデジタル化が進み、仮想通貨は(国を越えて)すごく便利だから」。ただし、「(それを担う)取引所がどこかはわからない」(女性)のが現状だ。

コインチェック事件の後、金融庁や業界団体が市場を健全化する動きを強化した。「(事件が起きると)逆に世間から注目をされ、危機管理とつながることで、今後の基盤になってほしい」と“応援”している。

再発防止を国に求める

仮想通貨

撮影:今村拓馬

テックビューロは、2018年1月、セキュリティ対策室を設置、「コールドウォレット優先化」を掲げていた。しかし、利用者にとってみれば、「外から見ても、セキュリティが強いか弱いかは、わからない。確かめる証拠がない」(上記の男性)。

再発防止のために、男性は金融庁の対応を求める。「金融庁が確定的なセキュリティを示し、取引所に指導する場合は、即時の営業停止にでもしないと、再発防止は難しいのでは」と男性。上記の女性も「(事件が相次ぎ)もはや会社や業界だけでの問題じゃない。金融庁がもっと動くべき」と考えている。

「仮想通貨の業界では、大手しか残れないのでは」。セキュリティのコストを考え、そんな意見を口にする男性もいた。国の規制が強まりすぎると新規参入は難しくなるとの指摘はあるが、あまりにも被害が続けば、参入へのハードルが高くなるのは当然の流れだ。

本当に、仮想通貨は「健全に」発展していくのだろうか? 利用者たちの信頼も揺れている。

(文・木許はるみ)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中