メンタルヘルスに苦しむ全ての人に…… 「水の怪物」フェルプスが自身の経験を踏まえて送るアドバイス

マイケル・フェルプス

オリンピックで通算23個の金メダルを獲得し、リオデジャネイロ大会を最後に現役を引退した競泳界のスーパースター、マイケル・フェルプス氏。

Mark J. Terrill/AP

  • オリンピック金メダリストのマイケル・フェルプス氏は、競技生活を引退して以来、メンタルヘルスに対する意識向上や、水の保全活動、子ども向けの水上安全活動に力を注いでいる。
  • フェルプス氏はBusiness Insiderに対し、今もメンタルヘルスの問題に直面していると語った。同氏は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの前からこれを公に語り始めていた。
  • 「OKな状態じゃなくてもOKなんだ」とフェルプス氏は言う。
  • そして、小さな子どもの相手をするのは疲れるとしながらも、「それも楽しい」と語った。

アメリカでは、「歯磨きをしているときに君のことを思い出すよ」と声をかけられることもあるというマイケル・フェルプス氏。オリンピックで史上最多となる金メダルを獲得したアスリートとして知られる。

「分かってる、ちょっと変だよね。でも、それは(彼らが)気を付けてくれているということ。良いことだ」

フェルプス氏はBusiness Insiderに語った。

同氏はアメリカの消費財メーカー、コルゲート(Colgate)の「#EveryDropCounts」という水の保全活動のグローバル・アンバサダーを務めていて、歯を磨いているときは蛇口を閉めようといった水の無駄遣いを止める簡単な方法を人々に紹介している。

元競泳選手が水に関する問題に関心を寄せるのは、ある意味、自然なことかもしれない。しかし、フェルプス氏が現役引退後に取り組んでいる課題は、水問題だけではない。

同氏はメンタルヘルスについてもしばしば語っていて、自身の"うつとの戦い"もオープンにしている。メンタルヘルス上の問題を何年も放置したことで、危険な行動に及んだこともあるという。こうした戦いについて語ることで、同じような苦しみを抱えている人が周りに助けを求めやすくなることを願っている。

「これをオープンに話せることをありがたく思っている」

フェルプス氏は言う。「本当に話しづらい話を人に話せるようになったんだからね。こうした話をすることで、他の人の役に立ったり、その命を救うことができるかもしれない」

助けを求める

表彰式でのフェルプス氏

Adam Pretty/Getty

2016年のオリンピックの前、フェルプス氏は自身がもう何年もメンタルヘルス上の問題と向き合っていることを週刊誌スポーツ・イラストレイテッドのティム・レイダン(Tim Laydan)氏に明かした。

最悪の場合、ベッドから起きる上がることができなかったと言い、特にオリンピックが終わった後に症状が悪化したと、デビッド・アクセルロッド(David Axelrod)氏のポッドキャスト「アックス・ファイルズ(Axe Files)」で話している

2012年のオリンピックの後、「死にたかった。ただ死にたかったんだ」とフェルプス氏はアクセルロッド氏に語った。

2014年、フェルプス氏はメリーランド州で、運転中にスピードの出し過ぎと車線を越えて走行しているとして停車させられた。アルコール検査で基準値を上回り、最終的に飲酒運転で有罪となった。これが2度目だった。

そして、フェルプス氏は助けを求めた。

「最初はセラピーに行くのが嫌だった。『ノー、僕は大丈夫だ。そんなの必要ないよ』ってね」

フェルプス氏は語った。「でも正直、行って良かった。行きたくないときでも、無理にでも行って本当に良かった。行った後はすごく気分が良くなったからね」

人それぞれ、さまざまなケースがあるとしながらも、フェルプス氏はメンタルヘルス上の問題を抱えている人にとって、それを話せる誰かがいることが一番重要だと言う。

「コミュニケーションは常に大事だ。ものすごい効果があるんだ」

フェルプス氏は言う。「心の中に貯めて置かず、外に出すってことだからね。貯めておくと、心がむしばまれていくんだ。自分にとっては、20数年で多くのことを貯め込み過ぎた。そんなこと、しなければよかったと思うよ」

「OKな状態じゃなくてもOK」

子どもと歯磨きをするフェルプス氏

Colgate

競技生活を引退した今、フェルプス氏は自身の精神と肉体両方の健康に力を注いでいる。1週間のうち6日か7日はからだを動かしていると言い、大抵は朝、5時半から7時の間に起きて、子どもたち —— ブーマー(Boomer)とベケット(Beckett) —— が起きてくる前にワークアウトを済ませている。泳ぐこともあれば、ウォーキングをすることもある。

これまでになく読書もしているという。中でもお薦めは、エックハルト・トール著『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』やマーク・マンソン著『The Subtle Art of Not Giving a F-ck』、ダン・ハリス著『10% HAPPIER —— 人気ニュースキャスターが「頭の中のおしゃべり」を黙らせる方法を求めて精神世界を探求する物語 —— 』だ。

それ以外の時間で、フェルプス氏は自身の関心のある問題に関する活動をしている。メンタルヘルスについて語る他、オンライン・セラピーの「Talkspace」と提携したり、モバイル・テクノロジーを使ったメンタルヘルスの評価に取り組む「Medibio」の取締役を務めている。

14歳以下の子どもの死因第2位が溺死であることを踏まえ、マイケル・フェルプス財団を通じて、子どもの健康と水上安全を呼びかける活動もしている。消費財メーカーのコルゲートとは、水の保全は環境問題であり、この社会の全ての人に関わる、対処可能な問題だというメッセージを広めようとしている。

「誰かが水を無駄にしているのを見たり、聞いたりすると、イライラするんだ」

フェルプス氏は言う。「僕たちは、1滴1滴が大事なんだというメッセージをできるだけ大きな声で広めようとしている」

こうした活動をしていないとき、フェルプス氏は自身の子どもたちと大半の時間を過ごしているという。小さな子どもの相手をするのは、あの「水の怪物」マイケル・フェルプスをもってしても疲れるということに、多くの子を持つ親は安心するかもしれない。

「基本的に、僕はいつでもブーマーの後を追いかけているんだ。楽しいよ」とフェルプス氏。

下の息子ベケットはまだハイハイをしているようなもので、どちらの子どもの相手をするかによって動きが全く違うと言う。

「どんなに大変でも、どんなに疲れていても、すごく楽しいよね」

そして、自身のメンタルヘルスについて、フェルプス氏は目の前の瞬間を生きること、コミュニケーションを取ることを忘れないよう心がけていると語った。これは全ての人に送るアドバイスでもあると言う。

「絶対に孤立しないこと、自分の殻に閉じこもらないこと —— これが僕の一番言いたいことだ」

フェルプス氏は言う。「常にオープンに、質問をして、話すこと。そして、OKな常態でなくてもOKなんだってことを忘れないことが大切なんだ」

[原文:Michael Phelps is speaking up about mental health issues — here's his advice for anyone who is struggling]

(翻訳、編集:山口佳美)

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