「ヤマトショック」をバネに、ネスレ日本が“置き配物流”に挑む理由 —— MACHI ECO便を10月1日開始、都市圏130カ所で

ネスカフェ

ネスレ日本は、佐川急便と共同で宅配サービス「MACHI ECO便」を10月1日から開始する。9月26日、発表した。

ヤマト運輸

ヤマト運輸は2017年、ネスレ日本との契約を打ち切った(ネスレ日本社長の高岡浩三氏)という。

Toru Hanai / Reuters

MACHI ECO便は、各地域に置かれた「ECO HUB」と呼ばれるストックポイントから、商品のラストワンマイルを配送するサービスだ。

それぞれのECO HUBは地域の住民など一般の人々が運営し、商品の管理・配送を担う。個人宅か店舗、もしくはネスレ日本が提供する宅配ロッカーがECO HUBとなる。

ecohub

ECO HUBの構想。すでにECO HUB事業者が対価を得て宅配することも計画に入っている。

10月1日のスタート時点では、利用者はネスレ日本の定期便サービスを利用している人が対象。当面はECO HUB(対応店舗やロッカーなど)へ商品を受け取りに行くと、代金が5%割引になるサービスとして開始する。

また具体的な計画として、ECO HUB運営者などが宅配業務を担って対価を得る仕組みの整備も進めている。

「ヤマトクライシス」で配送方針の転換

ネスレ社長高岡浩三氏

記者会見に登壇した、ネスレ日本社長の高岡浩三氏。

ネスレ日本社長の高岡浩三氏によると、ネスレ日本がこの宅配サービスを開始する背景には、いわゆる「ヤマトクライシス」(ヤマトショック)に端を発した配送コストの増加があるという。

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高岡氏によると、ネスレ日本のオーガニックグロース(為替変動などを除いた前年同期比の伸び率)は2018年上半期、2011年の高岡氏の社長就任以来、初めてマイナス成長(-1.8%)に転じた。

その理由として、「昨年、基本的に(ネスレ日本の)eコマースの配送を全部手がけていたヤマト運輸が、アマゾンに集中しなければいけないということで、“ネスレさん申し訳ない”と、配送契約が打ち切りになった」と、ヤマトクライシスに言及した。

ECの配送を佐川急便や日本郵政などに切り替えたものの、「需要に追いつかず配送ができない状況が発生」する、物流問題に直面しているという。

MACHI ECO便拠点は、東京・大阪で計130カ所からスタート

ドルチェグスト

ネスレ日本の2018年上半期の営業利益は対前年同期比で14%減となった。

配送コストが2倍〜3倍に膨れ上がっている現状」(高岡氏)の中で、今回打ち出したのが、ラストワンマイルを一般の人々に担ってもらうMACHI ECO便だ。

10月1日から、東京6区(港区・品川区・千代田区・中央区・新宿区・渋谷区)で100カ所、大阪4区(北区・中央区・福島区・此花区)で30カ所、計130カ所でサービスをスタートする。

MACHI ECO便を導入することにより、現在と比較してコストはおおよそ半分になるという。2025年までに、利用者100万人を目指す。2019年内には全国にも展開していきたい(高岡氏)という。

佐川急便と共同出資で「株式会社MACHI ECO」設立予定

MACHI ECO

「MACHI ECO便」の宅配ロッカーは、送られてきたQRコードを読み込んで扉を開ける。

高岡氏は、MACHI ECO便はネスレの商品に限らず、他社商品にも拡大していきたいと語る。

ファンケル、P&G、お茶専門店・ルピシアの商品も配達できるようにする仕組みを現在、整えているという。

「(ネスレ日本の)eコマースは基本的に定期購入が100%。1社だけだと広がっていったときに(配送の)ボリュームが賄えない可能性が出てくるため、同じようなスキームを持った会社に声がけしている」(高岡氏)。

来年中を目処に、佐川急便と共同出資で「株式会社 MACHI ECO」も設立する予定だ。ネスレ日本のEコマース本部 ダイレクト&デジタル推進事業部 部長の津田匡保氏によると、「独立した会社として運営することで、(物流の)プラットフォームになる」との意図もあるという。

津田氏は、店や家に自動販売機の代わりにECO HUBのロッカーを設置することで、空きスペースの活用につながったり、集客効果も見込めるとみる

高岡氏は「物流における、人手不足や環境問題といった社会問題を解決するイノベーションになるのでは」と意気込む。順調に立ち上がれば、メーカー発・課題解決型の物流サービスの事例として、非常にユニークなものになりそうだ。

(文・写真、西山里緒)

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