ヨットも"所有"から"シェア"へ? ミレニアル世代は、スーパーヨット業界も変える

ヨットでくつろぐビキニ姿の女性

ミレニアル世代の優先順位は、これまでとは違う。

Kuznetcov_Konstantin/Shutterstock

  • スーパーヨットの所有者の年齢層は、今後20年以内に10~15歳若返りそうだ。イタリアの造船所、ロッシナビ(Rossinavi)とモナコ国際大学による調査で明らかになった。
  • モナコ・ヨット・ショーのメディア向け資料によると、ミレニアル世代のスーパーヨット・オーナーは、物質的な所有よりも体験を、贅沢な快適さよりも冒険や人付き合いを、所有するよりもチャーターすることを好む。
  • こうした、これまでとは違うミレニアル世代の志向は、デザインや販売戦術面で、ヨット業界に変化をもたらす可能性がある。

ミレニアル世代は、スーパーヨット業界にも変革をもたらすのだろうか?

イタリアの造船所、ロッシナビがモナコ国際大学と協力して行った調査によると、世界のビリオネアの上位100人のうち20%は50歳以下で、スーパーヨットの所有者の年齢層は20年前に比べて10~15歳若返っている。そして、その年齢層は更に低くなることが予想されている —— 現在の年齢層の中央値は45~55歳だが、20年以内に35~45歳に下がるという。

しかし、変化しているのは年齢層だけではない。マインドセットもだ。

モナコ・ヨット・ショーのメディア向け資料によると、この新しい世代のオーナーたちは、ヨットを「色あせることのない情熱というよりも、たまの気晴らし」と見なしている。ビジネス上の利益追求に忙しい彼らにとって、ヨットは目まぐるしく変わるライフスタイルの1つの要素に過ぎないのだ。

マホガニー製の内装に葉巻、贅沢な快適さ、広々とした客室よりも、ミレニアル世代のスーパーヨット・オーナーは冒険、水上スポーツ、屋外空間を優先する。彼らにとっては、何か新しくて、驚くものを持つことが全てで、物質的な所有よりも人生経験の方が優先順位が高い。

「彼らもスーパーヨットを使いたいとは思っているだろうが、資産として所有することにはさほど興味がないだろう」と、モナコ・ヨット・ショーのメディア向け資料には書かれている。「それどころか、所有を制約と見なす可能性もある」

モナコ・ヨット・ショーのコミュニケーション・アンド・メディア・マネジャーのJohan Pizzardini氏は、スーパーヨットを所有することに縛られたくないミレニアル世代にとっては、チャーターする方が魅力的に映るとCNNに語っている。

「彼らは冒険心旺盛だ」と、Pizzardini氏は言う。「新しいミレニアル世代からは、『今週、ボートを1艘チャーターしたいです。そして、来週はどこか別の国にいたいので、また別のボートが欲しいです』といった要望を受けます」

「例えば、彼らはサルデーニャで船上の週末を過ごし、仕事に戻って、翌週にはイビザで週末を楽しんだりする。夏に2週間かけてクルーズをするという従来の楽しみ方とは異なるコンセプトだ」

ミレニアル世代がヨット業界をゆっくりと変化させている

「新しい顧客がヨット業界に入ってきたことで、スーパーヨットの使われ方は変化している」と、Pizzardini氏はCNNに語った。

このことはヨットのデザインからも明らかだ。自社の調査をもとに、ロッシナビは業界初の"ミレニアル向けにデザインしたスーパーヨット"という新たなカテゴリーを発表した。

モナコ・ヨット・ショーの資料によると、ミレニアル世代の要望に応えるために、ヨット・デザイナーがジム、スパ、水上スポーツ、仲間で楽しむための屋外スペースに注力するにつれ、フォーマルなダイニングルームやサロンの存在感は薄れていきそうだ。

そして、Business Insiderが以前CNNをもとに報じたように、スーパーヨットをカスタムオーダーする顧客はもはや、船内にオフィスを作ることを求めていない。彼らは、航海中にリラックスできることを望んでいる。

所有するよりもチャーターを好むスーパーヨット・オーナーが増える中、ヨット会社は彼らにヨットを売るために、戦術を変える必要がありそうだ。

見込み客との関わり方も、ソーシャルメディアを通じて、よりスピーディーかつ親密なコミュニケーションを取ったりと、変わっていくだろう。

「ヨットを所有するというこれまでの考え方が、カーシェアリング・サービスと同じように変化していくのを我々は見ることになるだろう。従来のタクシーよりも便利で、車を所有することの現実的な代替となったように」と、モナコ・ヨット・ショーの資料には書かれている。

しかし、それは劇的な変化というよりも、進化のようになるだろう。

「調査によると、ミレニアル世代の行動は(これまでの世代とは)異なるため、製品のリパッケージは必須となるだろう。しかし、ヨットそのものはあまり変わらず、ヨットを所有するという考えも当分はなくならないだろう」と、モナコ・ヨット・ショーの資料には書かれている。「我々と同じように、彼らも独自の製品が欲しくなるだろう。物事は変化するが、人間の本質は変わらない」

[原文:Millennial superyacht owners are on the rise — and their preference for experiences over things may be turning yachting into a ride-sharing service

(翻訳:Yuta Machida、編集:山口佳美)

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