バークシャー・ハサウェイのCEOウォーレン・バフェット氏。
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- バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)のCEOウォーレン・バフェット氏は、四半期の業績見通しを出すアメリカ金融街の習慣を長きにわたって批判してきた。
- しかし、S&P グローバル・マーケット・インテリジェンスのレポートによると、2017年に業績見通しを出したS&P 500企業の割合は、2008年以来、最も高かった。
- こうした運用は止めようとの声が高まる中、2018年に入って、見通しを示す企業は減っている。
ウォーレン・バフェット氏は以前から、短期主義は企業にとってマイナスだと主張してきた。だが、2017年、多くの企業はこれに賛同しなかったようだ。
S&P グローバル・マーケット・インテリジェンスが9月27日(現地時間)に公表したレポートによると、2017年にS&P 500企業が四半期の業績見通しを出し回数は444回と、2008年以来、最も多かった。
業績見通しは、四半期ごとの決算報告に欠かせないものとなっている。ただし、きっちりとした報告が求められるその結果とは異なり、投資家に詳しい見通しを示すことは法的に義務付けられてはいない。しかし多くの企業が業績見通しを出すことで、アナリストや株主に対して、会社の展望を示している。
ところが、バークシャー・ハサウェイのCEOウォーレン・バフェット氏は、これを避けてきた。事実、同社の決算報告は型破りで、バフェット氏や他の幹部のコメントもない。バフェット氏の言葉が聞けるのは、株主に向けた年次書簡と株主総会のみだ。
バフェット氏は2016年、業績見通しは「多くの違法行為につながりかねない」とCNBCに語った。なぜなら、会社は業績見通しを下回ることが分かれば、その不足分を補填する方法を見つけようとするかもしれないからだ。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏やブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンク(Larry Fink)氏、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ(Mary Barra)氏を含む複数の他のCEOたちもこのトピックについて2016年、「Commonsense Corporate Governance Principles」と題した公開書簡を発表。市場は四半期決算の業績見通しに取りつかれ過ぎで、株主にとってプラスにならない限り、企業は見通しを出すべきではないと述べた。
アメリカのトランプ大統領も、この問題について8月にツイート、「四半期ごとの決算報告を止め、半期ごとのシステムに移行すべき」とする、あるビジネスリーダーの言葉を引用した。
バフェット氏、ダイモン氏、そして200人近いBusiness RoundtableのCEOたちは、この問題について6月に改めて言及した。ウォール・ストリート・ジャーナルの論説記事で、彼らは四半期決算は長期的な投資を遠ざけると述べた。
そして、2018年のトレンドを見る限り、企業はこの見方を取り入れ始めた可能性がある。S&Pのデータは、第1四半期と第2四半期に出された業績見通しの数が前年に比べて減ったことを示している。また、9月24日に公表されたFactSetのレポートによると、企業が第3四半期に見通しを出すペースは、これまでの平均を下回っているという。
2008年以降、業績見通しを出すS&P 500企業の数は増加していた。
S&P Global Market Intelligence
(翻訳、編集:山口佳美)