アメリカで今、最も成長著しい小売業者「プライマーク」が、オンラインで商品を売らないシンプルな理由

プライマーク

プライマークはアメリカで今、最も伸びている小売業者だ。

AP Photo/Steven Senne

  • 全米小売業協会の雑誌『Stores』がカンター・コンサルティングの売り上げデータを使ってとりまとめたところ、ヨーロッパの低価格アパレルチェーン「プライマーク(Primark)」は今、アメリカで最も成長著しい小売業者だ。
  • 現在、アメリカ国内に9店舗を展開しているが、オンラインでは売っていない。
  • 超安値で提供するプライマークのビジネスモデルは、eコマースには向いていないと同社幹部は言う。

プライマークは今、アメリカで最も成長著しい小売業者だ。だが、プライマークで買い物をする機会のないアメリカ人は多い。

ヨーロッパに拠点を置くこの低価格アパレルチェーンは、アメリカでの販売拡大を目指していて、2015年以来、東海岸沿いに9店舗を展開している。全米小売業協会の雑誌『Stores』がカンター・コンサルティングの売り上げデータを使って、アメリカ国内の売り上げが1年前と比べてどれだけ伸びたかとりまとめたところ、プライマークは103%増と、アメリカで今、最も伸びている小売業者であることが分かった。

しかし、プライマークはオンラインで商品を販売していない。同ブランドのウェブサイトは、純粋にどんなアイテムがあるかチェックするためだけのもので、実際に購入するには店舗へ行く必要がある。

同社幹部によると、プライマークは自身の成長を妨げるつもりはないが、そのビジネスモデルはeコマースには向いていないのだと言う。

プライマークは2013年、eコマースを試したことがある。商品をASOSのウェブサイトで販売した。このテスト販売は長期的な提携に発展すると期待されていたが、12週間で終了した

同社幹部がeコマースに否定的なのは、プライマークが超安値で商品を提供しているため、利益率がごくわずかなためだ。オンラインで売れば、送料や返品にかかるコストを受け入れるか、その分を商品価格に上乗せしなければならない。

「我々の商品価格で、自宅配送をサポートするためのコストを支えることはできない」

プライマークの親会社アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ(Associated British Foods)の財務担当、ジョン・バソン(John Bason)氏はウォール・ストリート・ジャーナルに語った

プライマークは量を販売することで利益を出し、その価格の安さで消費者の財布のひもを緩めさせるのだ。

そして、これはうまく機能しているようだ。プライマークの一般的な客は一度に大量に購入する。店の入口に置かれたカゴは、その食料品店のような買い物体験の象徴だ。

「消費者はプライマークで、他の多くの小売業者とは異なる買い物の仕方をする」

バーンスタイン(Bernstein)のジェイミー・メリマン(Jamie Merriman)氏は2015年、『エコノミスト』に語った

「それはほとんどコストコでの買い物だ。コストコでは"量"を重視する」

その結果、プライマークはその1店舗あたりの販売量で競合他社を圧倒している。バーンスタインの2015年のデータによると、H&Mがイギリスで1平方メートルあたり年間平均5250ドル(約59万8000円)相当の服を販売する一方、プライマークは約8200ドル相当を売っている。

オンライン販売を回避するその戦略に懐疑的なアナリストもいるが、そうすることでプライマークは、eコマースにかかる高いコストからうまく逃れられていることも事実だ。

リテール・コンサルティング会社のAlixPartnersによると、実店舗がオンラインで販売するのは、店舗で1つ1つ販売するよりも実際、高くつくという。加えて、オンラインで購入されたアイテムの方が返品されやすい。

Coresight Researchによると、オンラインで購入された服の30~40%前後が返品され、こうした返品にかかるコストは実店舗の返品よりも6倍高くつくという。

[原文:The fastest-growing retailer in America doesn't sell clothes online, and there's a simple reason why]

(翻訳、編集:山口佳美)

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