マイクロソフトは同社ブランドのSurfaceシリーズの「Pro」「Laptop」「Studio」の新モデルと、ヘッドホンを発表した。
出典:マイクロソフト
米マイクロソフトは日本時間10月3日、新製品発表会をアメリカで開催。同社のPCブランドであるSurfaceシリーズの複数の新モデル、そして新たなアクセサリとしてノイズキャンセル機能をもつ「Surface Headphones」を公開した。
ブラックモデル登場の「Pro 6」と「Laptop 2」
高級感あふれるブラックモデルも登場した「Surface Pro 6」。
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キーボード取り外し式の2in1型タブレットの人気機種の最新型「Surface Pro 6」は、CPUに最新のインテル第8世代Coreプロセッサーを採用し、現行モデルである5代目Surface Pro(以下、Pro 5)と比べて約67%の高速化を実現している。
そのほか、公開されているバッテリー連続駆動時間は約13.5時間、背面カメラは8メガピクセルなどとPro 5からハードウェア的な性能の大きな変更はないが、Pro 5では存在していた超低電圧CPU「Core M」や4GBメモリー搭載モデルといった「低価格仕様」は、Pro 6からはなくなっている。
また、本体カラーにブラックが追加されており、写真などを見る限りではマットで高級感ある外観に仕上がっているようだ。
米国価格は899ドルから。日本マイクロソフト直販サイトでも既に予約が始まっており、価格は12万9384円(税込)から、発売日は10月16日の予定。
キーボードの外れない「Surface Laptop 2」にもブラックモデルが登場。
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さらに、キーボードが外れないクラムシェル型Surfaceの第2世代「Surface Laptop 2」も登場。Pro 6と同様にインテルの第8世代Coreシリーズを採用し、現行モデルより85%の高速化を実現している。
Laptop 2もPro 6と同様にCPUの世代変更以外に大きなアップデートはなかったが、カラーバリエーションが変更。Pro 6と同様のブラックモデルが追加され、一方グラファイトゴールドは削除になった。全体で計4色の構成だ。
Pro 6と同様に日本での展開も決まっており、直販価格は13万6944円からで、10月16日発売予定。
クリエイター向け「Studio 2」は最大2TBのSSDを搭載
最大で2TB SSDが選択できるようになった「Surface Studio 2」。
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クリエイター向けの一体型PCであるStudioシリーズも「Surface Studio 2」としてリニューアル。
Studio 2の最大の目玉はグラフィック性能とストレージだ。GPU(グラフィック専用プロセッサー)は、GTX 1060またはGTX 1070モデルが用意された。
ストレージに関しては、現行モデルが最大で128GB SSD+2TB HDDのハイブリッドドライブだったのに対し、Studio 2では1TBもしくは2TBのSSDのみが用意されている。
高性能なグラフィック性能と大容量かつ高速なSSDを搭載することにより、より高速な性能や反応速度が求められるVRやMR(Mixed Reality)の実行、開発に注力した形だ。
直販価格は以下のとおり。米マイクロソフトの直販サイトでは予約ページが公開となっており、出荷日は全モデルともに11月15日となっている。
- 1TB SSD+16GBメモリー 3499ドル(約39万8000円)
- 1TB SSD+32GBメモリー 4199ドル(約47万7000円)
- 2TB SSD+32GBメモリー 4799ドル(約54万5000円)
音声AIコルタナ内蔵「Surfaceヘッドホン」がついに登場
Surfaceブランド初のヘッドホンとなる「Surface Headphones」。
出典:マイクロソフト
最も意外な発表だったのが、Surfaceブランド初のワイヤレスヘッドホン「Surface Headphones」だ。
Surface Headphonesの最大の特徴は同社のアシスタント「コルタナ」を内蔵している点。装着時に「ヘイ、コルタナ」と呼びかけ、例えば「次の会議はいつ?」と聞くと、Outlookなどカレンダーに登録された「会議の予定」を教えてくれるといった具合。
本体には音声を取得するための4つの指向性マイクと、さらに4つのノイズキャンセル用マイクを備え、ユーザーはスムーズに音声コマンドを入力でき、さらに13段階のノイズキャンセルで雑音が多い場所でも快適に音声や音楽を楽しめるという。
同社の製品ページによると、Surfaceとの接続に最適化されているものの、他社製スマートフォンなどとBluetoothを使ったワイヤレス接続も可能とのこと。スペック表のサポートOS欄にWindows 10に加え、iOS、Android、macOSの名前が列挙されているが、現時点でmacOS向けのCortanaアプリは存在しないため、どのOSでも同等の機能が使えるかは不明だ。
グーグルの「Googleアシスタント」、アマゾンの「アレクサ」も自社製やソニーやボーズなどのオーディオメーカーのヘッドホンにアシスタント機能を内蔵した製品を発表しており、マイクロソフトもそれに追従した格好だ。
なお、Surface Headphonesの価格や発売時期は、現時点では明らかになっていない。
Surfaceを月額24.99ドルで使う「サブスク」登場の衝撃
そして今回の新発表で新製品以上に重要かもしれないのは、Surfaceの月額制サブスクリプション「Surface All Access」が登場したことだ。これは、PC業界にとって激震になる可能性がある。
詳細が不明な部分も多いが、公式サイトによると、Surface All Accessは、特定のSurface製品(Go、Pro、Book、Laptop、Studio)とOffice 365の2年契約をセットにして、月額制(24.99ドル〜/約2840円〜)で利用できるようにしたもの。購入にはDellのプリファードアカウントを使うほか、FAQには、まず「アメリカのMicrosoft Storeのみでの展開」になると書かれている。
「金利0%の分割払いで買う」ことと同じだと思うかもしれないが、iPhone XSシリーズなどの10万円をはるかに超えるスマホが飛ぶように売れる理由の1つが「分割払い」前提の料金設計にあることは、多くの人が気づいているはずだ。
また月額制が定着すれば、将来的には2年後に新しいSurfaceを刷新していくようなプログラムも当然考えられるだろう。月額制で囲い込まれることは、買い替えの機会を逃すという意味で、マイクロソフト以外のメーカーには多かれ少なかれ痛手になる。
Surface Studio 2とヘッドホンはどうなる?
今回になった端末はヘッドフォンを除き、どれも高価格なハイエンド端末であり、現行モデルと比べると4GBメモリーやCore Mプロセッサーといったより低い性能のモデルが削除されている。
これは同社が2018年6月に発表した軽量お手頃な新端末「Surface Go」との差別化を図るためと予想できる。
なお、Studio 2の日本での発売時期や価格は現時点で明らかになっていないが、他モデルは日本に上陸しており、恐らく遅かれ早かれ何らかのアナウンスが日本マイクロソフトからあるだろう。
ただし、Surface Headphonesについては日本でのCortanaの機能が限定的になっていることを考えると、当分の間は「日本は蚊帳の外」といった状況が続く可能性はある。
(文・小林優多郎)