セブン&アイ、稼ぎ頭の米国事業で収益好調 —— 国内はレジ横と冷凍に勝機あり

セブン&アイ・ホールディングスは10月11日、2018年度の第2四半期決算(2018年3月〜8月)を発表した。 国内コンビニ事業が頭打ちと言われるなか、日本の小売り市場を牽引するセブン&アイは、いかに収益の拡大を図っているのか。同社の戦略を再考した。

セブン&アイのロゴ

売上高を牽引するのが海外コンビニ事業、利益の柱は国内コンビニ。セブン銀行の金融事業は、2番目に太い利益の柱になった。

REUTERS/Yuya Shino/File Photo

年間売り上げ6兆円超、時価総額4兆4000億円、約15万人の従業員が働くセブン&アイ。売上高にあたる営業収益の一番の稼ぎ頭は、海外コンビニ事業で、全体の4割(第2四半期)を占める。次いで、総合スーパーのイトーヨーカ堂と食品スーパーのヨークベニマルのスーパーストア事業が3割弱、店舗数が2万店を超える国内コンビニ事業は売上高の15%を占めている。

営業収益で2017年度から大きく変化したのは、海外コンビニ事業の急拡大だ。セブン&アイは33億ドル(約3740億円)を注ぎ込み、アメリカの中堅コンビニエンスストア、スノコLPからコンビニとガソリンスタンド約1100店舗を手中に収めた。2018年1月に買収を完了させると、同社の海外コンビニ事業の営業収益は、前年から4割以上増加している。

海外コンビニと金融で国内を補完

セブン銀行のATM

みずほ銀行のATMに隣接するセブン銀行のATM(東京)。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon

営業利益では、国内コンビニ事業がセブン&アイ全体の利益の64%を占めている。第2四半期には、この最大のコアビジネスの利益が2.5%弱減少する一方で、買収戦略で拡大した海外コンビニ事業が、鈍化する国内事業を補完した。

セブン&アイにとって3番目に大きな利益をもたらす事業が金融だ。ATMの設置台数を増やし続ける(約2万4700台を設置済み)セブン銀行を主軸とする金融関連事業は、6カ月間で1000億円を超える営業収益をもたらす。利益率も高く、第2四半期には金融事業の利益は、海外コンビニ事業の利益(363億円)に次ぐ、290億円に迫った。

アメリカではeコマースの拡大が既存の小売り業界を激変させているが、セブン&アイが展開する百貨店事業も厳しい経営環境下にある。百貨店事業は約2860億円の営業収益(第2四半期)を計上するが、同事業の営業利益は1億円を下回る。「構造改革」は、同社の百貨店事業を語る上で過去数年間、恒常的に聞かれる言葉になっている。

国内コンビニが頭打ちと言われる理由は何か?セブン&アイが毎月発表する「月次営業情報」を見てみると、セブン-イレブン・ジャパンの国内チェーン店舗数は、2018年3月から8月までに310店増え2万596店。チェーン全店の売り上げはこの6カ月、前年を3%〜5%上回って推移した。しかし、客数を見ると、3月と8月は前年同期比で辛うじてフラットだったが、4月から7月までは前年を下回っている。

焼き鳥と冷凍食品を集客力に

セブン-イレブンの冷凍商品

セブン-イレブンの冷凍商品

セブン-イレブンのHPより

客数の伸び悩みはセブン-イレブンに限った課題ではない。

ファミリーマートは国内で約1万5600店あるが、客数は3月から7月までの間、前年を下回って推移している。チェーン全店の売上高も前年同月比でマイナスだ。国内で約1万2550のローソンと約140のナチュラルローソンを運営するローソンでも、客数は3月から9月までの7カ月で前年割れが続いている。

セブン&アイの経営の舵をとる井阪隆一社長は4月、国内市場の厳しさを前年度の決算会見で述べている。集客力向上を図るためにセブン-イレブン・ジャパンが打ち出した戦略が、冷凍食品の売り場の拡大とレジの横に並ぶ商品(カウンター商品)の開発だ。

セブンは新しいレイアウトを店舗に導入して、冷凍食品の売り場とカウンターのスペースを広げた。チャーハン、肉うどん、ドライカレー、豚の生姜焼き、ナポリタンスパゲティ、五目あんかけ焼きそば、ルビーグレープルーツ……。冷凍食品のアイテムを増やす一方で、レジ横では「焼き鳥」「とり天」「ハッシュポテト」の販売を始めた。

会社帰りに立ち寄る客が夕食のおかずとして注文する揚げ物惣菜や冷凍食品は、売り上げ増加につながっているという。新レイアウトは第1四半期に導入を開始し、2018年度は既存店で600店、新店で1100店舗に導入する計画だ。

ファミリーマートでも類似した動きが見られる。ファミリーマートを運営するユニー・ファミリーマートホールディングスは9月の営業報告の中で、「炭火焼きとり」や「中華まん」を大々的にリニューアルし、集客につなげていると述べている。ファミマやローソンでも、「焼き鳥」などの惣菜はコンビニ客の消費意欲を増す必須アイテムになっているようだ。

2018年度(2018年3月〜2019年2月)、セブン&アイは通期の営業収益予想を6兆6830億円(前年度比10.7%増)、営業利益を4150億円(6%増)としている(2018年10月11日現在)。苦戦するスーパー事業や百貨店事業の改革をスピーディに進めながら、セブン&アイは選り好みが激しいコンビニ客を惹きつけるきめ細かい商品開発が一層必要になってくるだろう。

(文・佐藤茂)

(編集部より:セブン&アイが10月11日に発表した第2四半期決算の内容を加え、記事を同日15:15に更新しました)

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