ビズリーチ、創業者ファンドを開始 —— 資金と採用力でベンチャーを支援

労働市場と企業をつなぐ転職サイトや、企業と従業員をつないで人材採用の業務を可視化する「ハーモス(HRMOS)」を運営するビズリーチ(BizReach)が、スタートアップ企業の経営者を支援する「ビズリーチ 創業者ファンド」を開始した。

ビズリーチ

2009年の創業から拡大を続けるビズリーチ。従業員数は1300人を超えた。

撮影:佐藤茂

同ファンドの第1号案件として、ビズリーチは音声をAI(人工知能)が解析するクラウドIP電話を開発するレブコム(RevComm:東京・渋谷区)に投資した。出資額は非公開だが、出資比率は「マイノリティ出資」だという。今後はさらにAIやブロックチェーンを活用した事業を展開するベンチャー企業などへの投資を拡大していく。ビズリーチ・社長の南壮一郎氏(42)がBusiness Insider Japanの取材で明らかにした。

国内ベンチャーキャピタルによるスタートアップ企業への投資が拡大する一方、有能な人材確保の難しさは多くの創業者にとっては大きな壁だ。『中小企業白書』でも、「質の高い人材の確保」は「資金調達」に加えて、ベンチャー企業が創業期や初期の成長期に直面する課題として挙げられるほどだ。

創業者ファンドを通じてビズリーチは、人材採用領域で築き上げてきたデータベースと知見を活用して、ベンチャー企業へのマイノリティ出資に留まらず、経営チームを組成するための支援を行っていく。南社長自身も2009年にビズリーチを創業した際に、同社のマネジメント・チームの人材を確保するために苦労をした経験を持つという。

出資と人材の両面で支援

ビズリーチ南壮一郎社長(左)とレブコム会田武史CEO

取材に答えるビズリーチ・南壮一郎社長(左)とレブコム創業者の会田武史氏。(2018年10月)

撮影:佐藤茂

「資金を提供する以上に、僕たちは有能な人材をも提供できる投資をしていきたい。時にお金よりも大切なのが人材であって、スタートアップ企業が創業から成長へシフトする上で、有能な人材で構成される経営チームの存在は必要不可欠だ」と南氏は話す。

「アメリカでは、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティがプロのリクルーターを有していて、出資企業の人材戦略の面で積極的に貢献している。出資と人材の両面で支援することは、僕たちにも日本でできるのではないかと考えた」

レブコム・創業者の会田武史氏(29)は、中央大学を卒業後に三菱商事に入社。自動車の取引を行う部署に配属されたが、小学校4年生からの夢である起業家の道を選び、2017年9月にレブコムを設立。電話営業の通話をAIで解析して、今まで「数打てば当たる」電話営業をより効率的にするAI搭載のIP電話「MiiTel(ミーテル)」を開発した。

1年で経営チーム組成とプロダクト商業化

RevCommのHP

RevComm(レブコム)のホームページ

RevCommのHPより

創業から約半年で、会田氏はビズリーチの人材採用プラットフォームを無償で利用して3名のエンジニアを採用。レブコムのマネジメント・チームを作り上げた。「MiiTel」のベータ版が2018年6月にでき上がると、約30の企業が実験的に導入したという。「MiiTel」の商業化は、創業から1年後の10月にスタートする。

「創業当初、人の紹介やFacebookのメッセンジャーなどを使ってエンジニアを探していたけれど、効率的ではなかった。ビズリーチのプラットフォームを使うことで、半年で数百人の人材にアクセスすることができた」

と会田氏は言う。

2009年4月の創業以来、ビズリーチは転職サイト「ビズリーチ」や20代の転職サイト「キャリトレ」を運営する一方、2017年には中小・零細企業を対象にした事業承継M&Aのマッチングプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」をスタートさせた。現在では、従業員数は1300人を超え、東京本社のほかに大阪、名古屋、福岡、シンガポールに拠点を持つほどに拡大した。

(文・写真:佐藤茂)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中