アメリカではまだまだ閉店が続きそうだ。
AP
- アメリカは他の国に比べて、まだまだ1人あたりの小売りスペースが大きい。
- 投資・調査会社のコーウェン・アンド・カンパニー(Cowen and Company)の50ページに及ぶ最新の報告書によると、それはつまり、アメリカはまだ大量閉店の「序盤」にいるということだ。
- 閉店する店が増えれば、何百という業績の良くないショッピングモールは姿を消すことになるだろう。
- 一方で、一部の評価の高いショッピングモールはその売り上げを急速に伸ばしそうだ。
アメリカの小売業界は、記録的な閉店ラッシュに揺れている。ここ数年で数多くの企業が倒産し、何百というショッピングモールが姿を消した。
しかし、アメリカの小売りスペースの規模は依然として他の国を大きく上回る。コーウェン・アンド・カンパニーがまとめたデータによると、それはつまり、アメリカはまだ大量閉店の「序盤」にいるということを示している。
同社の報告書によると、アメリカの1人あたりの小売りスペースは約23.5平方フィート(約2.2平方メートル)。カナダは16.8平方フィート(約1.6平方メートル)、オーストラリアは11.2平方フィート(約1平方メートル)だ。
1人あたりの小売りスペース(単位:平方フィート)。
Cowen and Company, ICSC, Cushman & Wakefield
「アメリカの1人あたりの小売りスペースは非常に大きく、オーストラリアの2倍以上、イギリスの4倍以上と、大半の先進国を大幅に上回っている」
コーウェン・アンド・カンパニーのアナリストは50ページに及ぶ最新の報告書で書いている。これらのデータは「非生産的な小売店が減少していく過程の序盤にあることを示している」という。
大量閉店が続けば、何百というショッピングモールが姿を消すことになる。
報告書は、商業不動産会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield)を引用し、アメリカ国内にあるショッピングモールの数は、現在の1150カ所から今後数年以内に850カ所以下に減るだろうと指摘する。
小売店の閉店は、CランクやDランクのショッピングモールに最も大きな打撃を与えるだろう。こうしたモールではすでに客足が減り、入居率が落ち、販売効率が低下している。
だが、 小売業界全体が将来に希望を持てないわけではない。
多くの小売店やショッピングモールが閉店する一方で、評価の高い一部のモールでは急速に売り上げが伸びそうだ。
「小売業者が主な大都市圏にあるトップクラスのモールに投資し、そうでない2番手、3番手のモールを犠牲にし続けることで、ショッピングモールの明暗はさらにはっきり現れてくると我々は見ている」と、コーウェン・アンド・カンパニーのアナリストは書いている。
そして、シアーズ(Sears)やトイザらス(Toys R Us)といった小売業者が何百という店舗を閉店させる一方、1ドルショップやアルディ(Aldi)、リドル(Lidl)といったディスカウントスーパーなどが業績を伸ばしている。
(翻訳、編集:山口佳美)