極秘アプリ「Mercari X」がお披露目 ── メルペイは「お金がなくても使えるメルカリ」の実現を目指す

「Mercari Tech Conf 2018」のテーマ

「Mercari Tech Conf 2018」のテーマは“Evolution(進化)”であると語るメルカリ取締役CPOの濱田優貴氏。

メルカリは10月4日、今回が2回目の開催となる「Mercari Tech Conf 2018」を東京・六本木のアカデミーヒルズで開催した。

Tech Confは開発者向けのイベントで、メルカリのシステムが裏でどのように動いているのか担当者がプレゼンテーションを行い、外部の開発者と知見を共有し合うといった趣旨のものだ。

そんなイベントのキーノート(基調講演)では、これまでベールに包まれていた同社の金融事業子会社「メルペイ」について語られた。そこではあらためてメルカリが金融事業に進出した理由が解説されると同時に、社内プロジェクトとしてテストしている“Mercari X”の存在が明らかになった。

メルペイで「お金がなくても使えるようなメルカリ」を目指す

メルペイ

2017年11月20日に設立したメルカリの子会社「メルペイ」。

メルペイの取締役CTOを務める曾川景介氏は「メルペイは信用を創造する」と、同サービスが単なる決済手段ではないことを話す。

これは中国の流通大手・アリババが手がける芝麻(ジーマ)信用などとほぼ同じ考え方だが、シェアリングエコノミーやレンタル、予約、与信などの行為で発生する他人同士での価値交換と信用は密接な関係にあり、これらの取引データから個人の信用をスコア化するというものだ。

メルカリはすでにフリマアプリで得た膨大な個人間の取引データに加え、同社子会社のソウゾウによるシェアサイクル事業「メルチャリ」などの利用データも保有している。個人の信用度を定めるための要素を着実に集めてきた格好だ。

信用をスコアー化

個人間取引などで得られた様々なデータは、その個人の信用スコアーの礎となる。

では、そんな個人の信用度をどのように利用したのか。曾川氏は以下の様に語っている。

曾川氏「メルカリでは“物”の流動性を高めた。ペイではお金の流動性を高める。メルペイでは、お金がなくても使えるようなメルカリを目指す

なお、メルペイの決済システム開発担当者である斎藤祐一郎氏は同イベントで決済処理のマイクロサービス化について解説。その中で斎藤氏は「現在、(メルペイを含めた新決済システムの)リリースまで追い込み中」と発言しており、サービススタートは決して遠くない日になりそうだ。

黒いメルカリ? その名も「Mercari X」

Mercari X

Mercari Xのロゴ。通常のメルカリのロゴは赤い箱が描かれているが、Mercari Xのロゴは黒。

さて、「独自の信用データ」「新しい価値交換システム」といったキーワードで真っ先に連想するのは、やはり仮想通貨などで話題のブロックチェーン技術だろう。

メルカリも他のIT企業と同様に着実にブロックチェーンに対する知見を広げている。その成果の一つとしてお披露目されたのが「Mercari X」だ。

Mercari Xの画面

Mercari Xは現在メルカリ社員内でテスト運用されている。商品一覧画面と思われる中央のスクリーンショットは、現在の公開版メルカリの外観に近い。

とはいえ、Mercari Xは社内テストのみで利用されているコンセプトプロダクトで、現在のところ一般公開の予定はないという。アプリ内では、現在アプリ内の独自通貨を利用し、メルカリのような社員間取引を行っているという。

同社はMercari Xの運用過程で、ブロックチェーン技術のコアとなる暗号アルゴリズムやP2Pなどの周辺技術のリサーチ、セキュリティーに関する研究開発、不正なトランザクションの対処といった技術を会得している。

メルカリのブロックチェーン技術に関する活動状況

メルカリのブロックチェーン技術に関係する活動状況。

また、Mercari X自体は社内プロダクトではあるものの、ブロックチェーンの標準化に関する国際的な会合への参加やエンジニア向けの勉強会の開催も行っており、最新の動向には常に気を配っているようだ。

近いうちにサービス開始されるメルペイのシステムが既存の仮想通貨の仕組みをそのまま採用することは、9月3日時点で金融庁の仮想通貨交換業者登録一覧に同社の名前がないことからあり得ないだろう。

だが、将来的にブロックチェーン技術が同社の描く「物理的な貨幣が必要ない世界」の実現に何らかの形で活用されるのは間違いなさそうだ。

(文、撮影・小林優多郎)

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