プレゼン力が格段にアップするたった4つのチェックポイント

私は、人前で話す機会がよくあります。参加者が少ない場合は数人、通常は数十人から100人程度に対して、過去には3000人以上の前でプレゼンしたこともありました。

先日も企業から依頼を受けて100人程度の前で「KPIマネジメント」についてプレゼンする機会がありました。

プレゼンの様子

getty / GEN UMEKITA

これらのプレゼン資料や文章を作成するときに、作成前と出来上がった時の2回必ずチェックする項目があります。それが「TMCE」チェックです。TMCEは私のオリジナルの習慣です。この習慣をプレゼンや文章作成が苦手な人に紹介すると、簡単に資料作成レベルがアップします。今回は、簡単にプレゼン資料作成力をアップするTMCEチェックのポイントを紹介したいと思います。

TMCEはTarget、Media、Contents、Expressionの4つの単語の頭文字です。具体的には、

  • T:Target:ターゲット、誰に
  • M:Media:メディア、どのようなメディアを使って
  • C:Contents:コンテンツ、何を
  • E:Expression:表現、どのように

つまり今回のプレゼンで、「誰に、どのようなメディアを使って、何を、どのように」伝えるのか?の4ポイントを資料作成前と後の2回チェックしましょうということです。とても簡単です。

プレゼンがうまい人、資料作りがうまい人は、意識、無意識に何らかのチェックをしています。

T:態度を変えて欲しい人は誰か明確にする

ポイントを説明していきましょう。

まず「T:ターゲット」です。プレゼンの目的は、「ターゲットに期待するアクションをしてもらうこと」です。少し難しい表現ですが、これを「態度変容」と言います。例えば、プレゼンを聞いたターゲットの方に発注して頂く。承認を頂く。ファンや仲間になってもらう。アンケートに良い回答をしてもらう。などです。

なので、「T:ターゲット」のステップでは、その「態度変容」をして欲しい人を明確にするということです。

プレゼンの対象者が多くても、本当に「態度変容」してもらいたい人は限られていることがほとんどです。そのターゲットを絞るほど、実際の資料作成やプレゼンのレベルアップにつながります

少なくとも社内の人なのか社外の方なのか、上司なのか同僚なのか、年長者なのか年少者なのか、既存顧客なのか新規顧客なのか、その案件を決済できる立場の方なのか担当者なのか、1人なのか複数なのか、社会人なのか学生なのかということをイメージ、あるいは把握することが重要です。

こんなことくらいと思うかもしれませんが、ターゲットを設定、確認せずに資料を作成する人が少なくありません。

可能であれば、もっと細部まで確認、イメージします。例えば、ターゲットが同じ学生でも就職活動中の東京の有名私大の文系学生と入学直後の地方の情報系の高専生では、興味関心が異なる可能性が高い。同じく経営者でもベンチャーの経営者と100年の老舗企業の経営者でも決済するポイントは違います。全ては、態度変容して欲しいターゲット設定から始まります。

M:ターゲットが親しんでいる方法を組み合わせる

次はM:メディアです。ターゲットに伝える方法のことです。

例えば、同じプレゼンツールを使う場合でも、自分がプレゼンするのか、リアルなプレゼンではなく資料だけ送付するのか、ターゲットの方はライブで見るのか、PCのモニターを通じて見るのか、スマホを通じて見るか、を考慮する必要があります。

紙とタッチパネルの両方を用いたプレゼン。

どのような方法で伝えるか。

getty / Flashpop

ターゲットがよく使う、慣れ親しんでいる組合せで伝えることが重要です。

例えば紙メディアは徐々に廃れていますが、いまだに主婦にはチラシが有効だと言われています。感度の高い人たちはTEDなどの影響もありダイアログ方式、パワーポイントなどの資料なしで口頭のみで説明することも好まれつつあります。その後ビデオにしての展開も考えなければいけません。

C:何を伝えたいかが練れているか

3つめのC:コンテンツは、資料の目次のことを指す言葉ですが、「伝えたい中味」つまり「何を伝えたいのか」と言うことです。これはターゲットに「態度変容」して欲しい内容から逆算して作成することが必要です。

例えば、決裁者に商品購入の承認をしてほしい時は、商品購入のメリットに加えて、決裁者が不安に思っている内容への回答が必要になります。

しかし、コンテンツをいたずらに増やしては落第点です。

例えばエレベータピッチなどがイメージしやすいでしょう。エレベータピッチとは、ベンチャー企業の経営者が投資家と偶然エレベータに乗り合わせた際に、投資家から「御社は何をされているのですか?」と質問をされた際の回答のこと。十数秒の間に、投資家に自社の事業を説明し、投資家に投資を決めてもらうわけです。

つまり投資を決めるという態度変容するためのポイントを数行もしくは箇条書きで説明できる必要があるのです。「何が言いたいのか分からない資料」とは、ここが練れていないケースが大半です。

E:ターゲットに共通する言葉を見つける

プレゼンの様子

どのような資料を作る際でも使えるTMCE。

getty / Flashpop

最後のE:表現も重要です。ターゲットの人たちが慣れ親しんだ用語や言葉を使うことです。

例えば、同じ決裁者でも技術がバックランドの人と営業がバックグランドの人では、使う言葉も大きく異なります。同じ理系学生でもよく使う「単位」が異なります。ピコ、ナノ、オングストローム、テラ、聞きなれた言葉が異なるのです。聞き慣れた言葉を見つける、つまり共通点を見つけると話を聞きたくなるのが人の常です。

決裁者の年齢によっては、字の級数を大きくする必要もあります。私は現在54歳ですが、数歳年上の先輩方の中には、字が見づらくなってきたと言う方々も出てきています。

プレゼンする側は、決裁者へのせっかくの説明の機会なので、つい詳細まで説明したくなるのです。決裁者の立場で考えると、短くて決済ポイントが明確な資料が良いのです。決裁者は日々、さまざまな案件を決済するので、「結論は何か」「私が判断しなければならないことは何か」、そして、その判断により「どんなリスクを考慮しておかなければならないのか」を知りたいのです。ところが往々にして資料には、これらの点が不明確で、結論をもらえないことも多いのです。

私は、どのような資料を作る際でもこのTMCEの整合性を確認します。この4つをチェックするだけで、資料のレベルがアップすること間違いなしです。


中尾隆一郎:株式会社FIXER取締役副社長。大阪大学大学院工学研究科修了。リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、現職。株式会社「旅工房」社外取締役も兼任。

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