華やかなNFLチアリーダー、だがその実態は?
Wesley Hitt/Getty Images
- チアリーダーのパフォーマンスは、NFLの楽しみの1つ。サイドラインから選手を応援したり、ハーフタイムで我々を楽しませてくれる。
- しかし最近では、ハラスメント、不当な賃金、性差別などの問題が浮上し、NFLチアリーダーの待遇に注目が集まっている。
- NFLチアリーダーの実情を見てみよう。
誰もが一度は、NFLのチアリーダーがサイドラインで選手を応援している姿や、ハーフタイムにパフォーマンスしている姿を見たことがあるだろう。
しかし、彼女たちの仕事が実際、どんなものなのかを考えたことはあるだろうか?
最近では、ハラスメント、不当な賃金、性差別などの問題が浮上しており、NFLチアリーダーの待遇に注目が集まっている。
彼女たちの仕事は実際にはどんなものなのか、Business Insiderは元NFLチアリーダー4人に話を聞いた。
彼女たちは、賃金、ソーシャルメディアへの投稿、リーグ内に波紋を呼んでいる選手との交流に関する規則などについて率直に語った。
我々がインタビューした4人にとっては、現役時代の体験は極めて素晴らしいものだったようだ。
彼女たちの言葉をもとに、NFLチアリーダーの実態を見てみよう。
ほとんどのNFLチームにはチアリーダーがいる。
Wesley Hitt/Getty Images
試合中のサイドラインやハーフタイム・ショーでチームを応援。
Gregory Shamus/Getty Images
楽しそうに見えるでしょう?
David J. Phillip/AP
しかし最近は、ハラスメント、不当な賃金、性差別などの問題が浮上しており、NFLチアリーダーの待遇に注目が集まっている。
Christian Petersen/Getty Images
出典 : The New York Times, USA Today, and The Guardian
NFLチアリーダーとは実際、どんな世界なのか?
Kevin C. Cox/Getty Images
始まりは1954年、ボルチモア・コルツがNFLチームとして初めてチアリーダーを採用。
AP
以来、多くの人の憧れの対象となり、チアリーダーになるための競争は激化した。
Pascal Rondeau /Allsport
毎年、数千人がオーディションに挑む。
Astrid Stawiarz/Getty Images
パスする人もいれば、
Astrid Stawiarz/Getty Images
ダメだった人もいる。多くの人がそう。
Astrid Stawiarz/Getty Images
チアリーダーには賃金が支払われるが、公的にはパートタイムの仕事とみなされる。
Mike Ehrmann/Getty Images
賃金やガイドライン、規則はチームによって異なる。
Rob Carr/Getty Images
チアリーダーは全試合に参加することはもちろん、
Ronald Martinez/Getty Images
イベントや練習にも参加しなければならない。
CBSラジオのイベントでパフォーマンスを披露するシアトル・シーホークスのチアリーダー。2015年1月31日。
Maury Phillips/Getty Images for CBS Radio
だが実は、その時間や労力に対して適切な対価が支払われていなかった。
Thearon W. Henderson/Getty Images
シンシナティ・ベンガルズ、タンパベイ・バッカニアーズ、ニューヨーク・ジェッツのチアリーダーたちも、チームに対して訴訟を起こした。
Andy Lyons/Getty Images
伝えられたところによると、チアリーダーの賃金は1試合につき75~150ドル、イベント出演は1時間あたり50ドル。だが、NFLで統一されているわけではない。
Scott Cunningham/Getty Images
出典:Time
2014年のレイダーズに対する集団訴訟を担当した弁護士のシャロン・ヴィニック(Sharon Vinick)は、チアリーダーたちは自分たちの意見を主張することに怯えていたと語った。
Graham Flanagan/Business Insider
「彼女たちは、踊れることは非常に幸運なことだと告げられている。そして、踊りたくなければ踊らなくても良いとも告げられている」
Ezra Shaw/Getty Images
「だが、クォーターバックの男性たちと比べてみて欲しい。彼らも非常にラッキーだが、何百万ドルもの報酬を得ている」とヴィニックは語った。
Ezra Shaw/Getty Images
2010年から2014年、ヒューストン・テキサンズのチアリーダーだった双子の姉妹、ドレスディン・ワーネルとシュイラー・ワーネルは、1試合の賃金は約200ドルで、それに加えて、移動、練習やイベント出演に対しても賃金が支払われたと述べた。
Dave Einsel/AP
2人は、テキサンズでの経験は概ねポジティブなものだったと語った。
ドレスディン・ワーネル(左)とシュイラー・ワーネル(右)。
Graham Flanagan/Business Insider
2人の賃金は、オークランド・レイダースのチアリーダー、通称「レイダレッツ」の1シーズン分の報酬1250ドル(約14万円)よりは高い。
Don Feria/Getty Images
一方、弁護士のヴィニックは、マスコットが1シーズンに得る賃金は約4万~6万ドル、それに加えて福利厚生も付いてくることを示唆するレポートがあると述べた。
Joe Robbins/Getty Images
そして出場回数が最も少ない選手、つまり「控えの選手」の年俸は10万ドル。
Grant Halverson/Getty Images
「1250ドルはスタンドでホットドッグを販売している人よりも少ない」とヴィニックは述べた。
Michael Reaves/Getty Images
生活するために十分な賃金では決してないと2000年代前半にテネシー・タイタンズとアトランタ・ファルコンズのチアリーダーだったジェニファー・オモハンドロは語った。
Graham Flanagan/Business Insider
賃金は「間違いなく最低限」だった。だがチアリーディングは「素晴らしい経験」だったと彼女は語った。
2001年、テネシー・タイタンズ時代のオモハンドロ。
Scott Halleran/Allsport
2015年と2016年、フィラデルフィア・イーグルスのチアリーダーだったレイチェル・スワーツも同じ意見。「自信にあふれた」経験だったと語った。
Graham Flanagan/Business Insider
「私と同じようなポジティブな経験ができていない女性の話がたくさん耳に入ってきて、非常に残念」とスワーツ。
Michael Perez/AP
さらにNFLのチアリーダーには、従うべき規則がいくつかある。
Kevin C. Cox/Getty Images
ソーシャルメディアについての厳しい規制もそのうちの1つ。
Maddie Meyer/Getty Images
実際、ニューオーリンズ・セインツのチアリーダーは、ワンピースの水着を着ている写真をインスタグラムに投稿したことで解雇された。
写真には、解雇されたチアリーダーは写っていない。
Sean Gardner/Getty Images
スワーツは、彼女自身、そして同僚のイーグルスのチアリーダーたちは、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックのアカウントを持っていなかったと語った。「どれも許可されていなかった。そして、それは主に私たちを守るためだった」と彼女は語った。
フィラデルフィア・イーグルスを応援するスワーツ。
Matt Rourke/AP
ソーシャルメディアの利用は一般的に禁止されている。だが、デンバー・ブロンコスのような一部のチームは、チームと公式に連携したアカウントからの投稿を許可している。
Doug Pensinger/Getty Images
NFLチアリーダーに課せられた規則の中で最も知られているものが、選手との交流は厳禁というもの。この規則を破った場合、即時解雇となることもある。
Maddie Meyer/Getty Images
「選手は、フィールドで私たちの目の前を走っているが、私たちが選手の近くにいるのは実際、その時だけということもあった」とオモハンドロは語った。「彼らはプロフェッショナル、アスリートとしてすべきことを行い、私たちも私たちがすべきことを行った」。
Nick Laham/Getty Images
そしてフィールドの外では、チアリーダーは選手と距離を保つことを要求された。
Michael Steele/Getty Images
「例えばレストランで食事をしている時に選手が何人か店に入ってきたら、私たちは出て行かなければならない。選手は私たちと同じ部屋にいることさえ望まないから。そんな風にまで言われた」とドレスディン・ワーネルは語った。
Elsa/Getty Images
「私たちは解雇されるが、彼らはされない」とシュイラー・ワーネル。
Graham Flanagan/Business Insider
また厳しい体重制限を課せられたと語るチアリーダーもいる。ぜい肉がついていないかを確認するためにジャンプさせられたり、理想体重よりも3ポンド(約1.4キログラム)オーバーしたことで、出場を禁止されたという証言もある。
Rick Stewart/Getty Images
ヒューストン・テキサンズの元チアリーダーは、コーチに「痩せデブ」と呼ばれ、細く見せるために粘着テープを貼られたことをきっかけにチームを訴えた。
アンジェリーナ・ローザ(中央)は彼女のコーチ、アルト・ゲリーが細く見せるために彼女のお腹に粘着テープを貼ったと述べた。
Drew Angerer/Getty Images
ローザは、ヒューストン・テキサンズはチアリーダーに最低賃金や残業代を支払っていなかったとする訴訟を含めて、2件の訴訟に関わっている。コーチのゲリーは辞職した。
出典:Fox 4 News、BBC
パフォーマンスに加えて、ファンとの交流を求められることもあり、
Al Bello/Getty Images
Business Insiderが話を聞いた4人の元チアリーダーは、全体的には、所属していたチームは彼女たちに危険な思いをさせないという点では良い仕事をしていたと述べた。
Wesley Hitt/Getty Images
そして、4人にとってチアリーダーとしての経験は概して極めてポジティブなものだったようだ。「本当に勇気づけられた」とスワーツは語った。
AP
だが、チームにより状況は異なる。厳しい視線を浴びたチームが良い方向に変わるかどうかは、時間が経たないと分からない。
Justin Edmonds/Getty Images
※敬称略
[原文:NFL cheerleaders reveal what it's really like to have their job]
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)