人生を振り返ると「あの時、違う行動をしておけば……」という後悔が浮かんでくる。
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後の祭りとはよく言うが、人間、過去を振り返って後悔することが多い。
すべての出来事は理由があって起こり、後悔をすることに意味はないという信条を持った人たちもいる。
しかし、わたしたちは人生を振り返ると、「あの時もっと違う行動をしておけば……」と、過去を引きずることが多くある。「もし……」という収まらない疑問が、頭の中で繰り返し浮かんでくる。
「メロドラマのように聞こえるかもしれませんが、どれだけ幸せであろうと、わたしぐらいの年齢になれば後悔は数え切れないほどあります」
Quoraのユーザー、ガリー・ティール(Gary Teal)氏はそう語る。
「記憶から完全に消し去ることはできない数十年分の小さなミスや、人生を困難にしてしまった大きな失敗などが挙げられます」
Mind Hacksのヴォーン・ベル(Vaughn Bell)氏は、人の後悔には2通りあると指摘する。やらなければよかったと思うことと、やっておけばよかったと思うことだ。
「この2つの違いは、基本的に心理的なものです。なぜなら、同じ後悔をいずれかの方法で表現できるからです。たとえば、学校を中退した時の後悔を以下の2通りで表すことができます。行動を起こしたことを後悔する場合は『学校を中退しなければよかった』、また行動を起こさなかった場合は『学校に通い続ければよかった』。どちらも実質的には同じことなのですが、行動を起こしたことに対する後悔の念は、行動を起こさなかったことに対する後悔よりも一般的で、より強いものです。しかし、行動を起こさなかったことに対する後悔の念は、長く続く傾向にあります」
Quoraユーザーのブラッドリー・ヴォイテク(Bradley Voytek)氏は、典型的なアメリカ人の後悔についての全米調査が、「13のよく見られる後悔」を発見したと指摘する。それらは、恋愛、家族、教育、キャリア、お金、子育て、健康、その他、友人、スピリチュアリティー、コミュニティー、娯楽、そして自分自身だった。
Quoraユーザーによって年代順にまとめられた、以下のもっとも一般的な後悔をチェックしてほしい(回答は明確にするため編集している)。
恋愛
Dmitriy Shironosov on www.shutterstock.com
「わたしのことを愛してくれた人と恋愛しなかったことを後悔しています。その時に恋愛することは簡単だったのに。バフィー・セントメリー(Buffy Sainte-Marie)の昔の曲のようになってしまったことを悔いています。『あなたは自由、だけどわたしは縛られている。わたしは愛していない人を愛さなければいけない。わたしには多くの術がないの。わたしを傷つける人を愛する術がないの』」
家族 − 子供
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「覚えている限りでは、わたしはずっと子供が欲しいと思っていました。しかし、若い頃、わたしは愚かにも、キャリアなどの成し遂げるようなこととは違い、結婚と子供は自然とやってくるものだと思い込んでいたのです」
「だけど、それはやってきませんでした。多くの人と付き合いましたが、家庭を持つことが最優先などとは考えたこともありませんでした。そして、30代後半になってから子宮ガンになり、一生子供を産むことができない身体になってしまいました」
「わたしは産みもしていない子供のことを毎日何度も考えます。姪っ子と甥っ子とはとても仲良くしているし、小児病院で定期的にボランティアをしたりしています。しかし、他人の子供と一緒にいるのは何か違います。養子を取るか、養母になりたいと思っています。いつか、それが実現可能な経済状況や家庭環境になればいいなと思います」
「しかし、それも何か違います。『子供がいなくてラッキーだね。子育てはとても大変よ。かくかくしかじか……』などと言われると腹が立ちます。確かに大変かもしれませんが、人生においてやりがいのある多くのことは、それ相応の労力がかかるものです」
「母性本能の強い女性にとって、出産の機会に恵まれず、自分の子供を育てることができないとわかった時の後悔は、想像を絶するものです。それは、棒グラフで表せるようなものではありません。わたしは、人生の他の後悔には気持ちの整理がついていますが、こればかりは辛いものがあります」ーキャロライン・ジェロンカ(Caroline Zelonka)氏
家族 − 両親
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「わたしは20代のうちにもっと両親と時間を過ごせばよかったと後悔しています。わたしは母を2000年に亡くしましたが、一度も母といい関係を築けなかったことに悔いが残ります」
「彼女はとても要求が多く、厳しくて、若い男の目からすると、とても理不尽でした。しかし、歳を重ね中年になっていくにつれ、今日わたしが持つ多くの理想は、彼女がわたしに押し付けたものだということがわかりました」
「辛いことがあると、時々母に電話したくてたまらなくなります。そして数秒後に、彼女はもうこの世にいなくて、話すことができないことに気づくのです。わたしがどれだけまだ母を必要としているかに気付かされます」
「死と交渉することはできません。それは最期で、多くの場合突然で、親密です。母との最期の夜は、シカゴのホスピスでした。わたしは疲弊していて、母に帰っても問題ないかと尋ねたのです。母はすぐにわたしに休むべきだとささやき、気をつけて運転して帰るよう言いました。わたしは母の指をナースコールボタンの近くにそえて、母のおでこにキスをしました。帰ることに、いくらか安心した気持ちになったことを覚えています」
「その時帰宅したか、その数時間後に帰宅したかで違いがあったとは思いません。母はどちらにせよ亡くなったでしょう。しかし、今日思い返してみれば、その数分がどれだけ貴重なものだったかを理解していなかったと思います。その閉じたドアをもう一度開けることはありませんでした」- ジム・ワグナー(Jim Wagner)氏
教育
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「わたしが10代後半で、大学で何の授業を取るかを決めていた時、自分の夢を追いかけていればよかったと思います。もし、就職のことを心配せず、自分の才能、情熱、夢を信じていれば、わたしの人生は今頃まったく違っていたと思います」
「自分に正直になり、自分の夢に敬意を払うことに遅すぎることはないと気づきました。しかし、20年前の自分に話すことができたらとも思います。もしできるなら、若かりし頃の自分に、学費の高い大学に入学する前に、すべての選択肢を調べ上げなさいと忠告するでしょう。大学進学は、学生ローンを背負い、就職活動の群れの中に居場所を作っただけだったからです」
「自分に仕事の保証なんてものは存在しないと伝え、大学のために蓄えた貯金をスモールビジネスに使う方がよっぽどマシだと説得します。そうすれば、ビジネスを持つことで本当の教育が得られ、たぶん、いい生活ができていたでしょう」
「大学は家を買うような大きな投資です。焦らず、やりたいことがわかって、そこから何を得たいかがはっきりした時に初めて追求するべきです。もし若い頃に戻れるならば、自分の魂に耳を傾けて、脚本を書き始めているでしょう。もし周りのいうことを聞かず、自分の心に耳を傾けていれば、この世界に何かしらの大きな価値を与えることができたかもしれません」- ステイシー・グレワール(Stacey Grewal )氏
キャリア
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「わたしは、自分のやりたいことを追求する勇気を持たなかったことを後悔しています。20代前半の頃、とても得意だったのにもかかわらず、不安を感じすぎて、職業として舞台役者にチャレンジすることができませんでした。今の仕事は好きですが、もし他にそれ以上のものがあるならば、それは挑戦しなかった舞台だと思います」
「20代の頃に何人かのプロの舞台役者の生活を見ることがありましたが、リスクを嫌うタイプだったため怖くなりました。また、当時は学業の成績も良かったため、比較的安全なキャリア重視の教育と高い学位の閉鎖的な空間にいることを選択したのです。今の安全なポジションに至るまでには、何年ものハードワークを必要としました。ですが、舞台の世界ではどうなっていたのだろうとよく考えます。もし自分のやりたいことを信じて、そのまま続けて、経験を積んでいれば、そのフィールドでも同じレベルに至っていたのではないでしょうか?」- ポール・クリップ(Paul Klipp)氏
お金
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「もし25歳の頃の自分に話すことができたら、『お金のことを心配しすぎるな。チャンスを掴め。1年休暇をとって、世界を旅しろ。遅すぎることはないが、あとになるほど厳しくなる。子供がいなくてもだ』と、伝えるでしょう」
「『もしこの仕事を辞めて、収入を失ったら、次は決して見つからない。』という声に耳を傾けないことだ。次の仕事は見つかる」- ガブリエル・フライドマン(Gabriel Friedman)氏
子育て
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「わたしは1つだけ後悔していることがあります。子供が小さかった頃に、あまり一緒に時間を過ごさなかったことです」
「わたしは典型的な“タイプA”の人間で、一生懸命働いて経済的な安定を得ることが、わたしの優先すべきゴールであり、責任であるという誤った信念を持ったワーカホリックなアメリカ人男性でした」
「しかし、わたしは間違っていました」
「失った時間は戻っては来ませんが、わたしは子供に(そしてこの話題になった時には誰にでも)その選択をしたことを申し訳なかったと伝え、わたしの過ちを繰り返さないよう伝えます。(もちろん優先順位を正したあとは、行動を改めましたが。)」
「幸運にも、38年以上も連れ添っているわたしの妻は、親切で思いやりがあり寛大だったおかげで、子供は問題なく育ちました。しかし、過去の写真を見ていると、目に見えてわたしが欠けていることがわかります」
「もし、子供を持つことを選択するのであれば、彼らはあなたの優先事項でなければいけません。スポーツや学校のイベント、家族で出かけるなど、色々とありますが、子供と一緒に過ごさなかった時間は、あなたの子供とあなた自身に大きなあつれきを生むことになるでしょう」- ティム・オープリー(Tim O'Pry)氏
メンタルヘルス
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「人が積み重ねる後悔は多くの場合、メンタルが原因です。文字通り、何百万人もの人が未診断の軽度の鬱病と共に生活していて、それらは20代の時に発症し、30代になれば深刻化して健康を衰弱させます。わたしの場合は、初めにドラッグとアルコールで自己治療を図ったことから発症し、のちに不向きなキャリアを選択したことで悪化しました。ネガティブな感情は徐々に内面を支配するようになり、自分を労わらなくなるようになります。よって行動を起こさなくなり、その多くはのちに後悔することにつながります。自己不信は無気力と麻痺状態の悪循環なのです」
「回復する人もいれば、しない人もいます。わたしの場合は、何かが深刻に間違っていることに気づき、回復し始めました。心の病は社会的に悪いイメージを持ち、わたしたちが自分の中で何が起こっているかに正直になろうとすることを妨げます。専門家の助けを求めることも重要です。しかし、ほとんどのことは自分で行わなくてはならず、それは自分の体調を認め、回復への行動を起こすまで始まりません」−マイケル・ウェストン(Michael Weston)氏
身体の健康
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Quoraユーザーのリタ・ララ(Rita Lara)氏は、"The Top Five Regrets of the Dying: A Life Transformed by the Dearly Departed"からの引用をシェアした。
「多くの人は健康が自由を与えてくれることを、失うまで気づきません」
友人関係
Flickr/Nicola
ララ氏は以下の引用をシェアした。
「友人と連絡を取り続けていればよかったと思います」
「多くの人(死にゆく人)は、死と直面するまで、旧友の恩恵を本当の意味で理解しません。そして、彼らを探し出すことは常に可能ではないのです。多くの人は生活で忙しくなり、よき友人関係をないがしろにしてしまいます。努力に値する友人関係に、時間を割かなかったことに対する深い後悔は多くあります。人は誰でも死ぬ時に、友人を恋しく思うのです」
慈善活動
Flickr/Ed Yourdon
「明らかに助けが必要な他人を見かけた時、『すでに遅刻しているから』『時間のかかることに巻き込まれたくないから』と自分の判断を正当化して、立ち止まらず、その人を助けなかったことがあります。その時のわたしたちの間に見た光景は、いまでも心につきまとっています」− アン・カスカラーノ(Ann Cascarano)
孤独
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「若かった頃、わたしはとても自信過剰で精神的に不安定でした。わたしは何もかも分かっていると思い込んでいて、実際は何も分かっていないかもしれないと怯えていました。そのおかげで、人生の多くのことに対して孤独に取り組む傾向があり、もっと経験豊富な年上の方の助けを求めることをしませんでした」
「もちろんすべてのアドバイスがいいアドバイスとは限りませんし、すべての相談相手があなたのことを心底思ってくれているとも限りません。でもそれでいいのです。助言を求めることは、人生において他のことと同じです。やればやるほど上手になるのです。正しい質問ができるようになりますし、自分の状況には適していないと感じるアドバイスは気にかけないようになります。最終的には信頼できる良き——もし、ラッキーならば数名の——指導者を見つけることができます」アンディ・ハーマン(Andy Hermann)氏
旅行
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「わたしのただ1つの後悔は、24歳になるまで旅行をしなかったことです。それからは、地球上の多くの場所を目にしてきましたが、24という歳は人生の中でもっともわたしの人格を形成した歳でした。なぜなら、旅行をしたことがそれ以降の旅人としてのわたしの人生を方向付けたからです。もしもっと早めに旅に出ていれば、今の私の自信や経験、知恵などの面において、5年は先をいっていたと真面目に思います」- ジェシー・ジェームス・リチャード(Jesse James Richard)氏
心配ごと
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「コーネル大学で行った調査で、わたしたちは何百人もの高齢のアメリカ人に「後悔に関する質問をしました。不倫や怪しい儲け話、薬物依存などが出てくることを予想していたのですが、彼らの回答の多くは不意をつかれるものでした」
「心配ばかりせずに、人生を過ごせばよかった」
「コーネル・レガシー・プロジェクト(Cornell Legacy Project)で1200人の高齢者が、自身の人生を振り返って何度も繰り返して言うことは、『もっと心配をせず、生きるだろう』や、『何に対しても心配しすぎたことを後悔している』というものでした。後年の人生の視点から、多くの人が、もし、人生をやり直せるならば、将来のことを心配して過ごした時間を取り戻したいといいます」
「彼らのアドバイスはいたってシンプルで率直なものです。心配することは、限られた貴重な人生の時間を大いに無駄にします。心配を軽減、もしくは取り除き、自分自身を訓練することは、より幸せを感じるためにできるもっともポジティブなことの1つだと、彼らは指摘します」
「この高齢者のメッセージは、調査結果とも一致しています。研究を行う科学者によると、心配の重要な特徴として、実際のストレス要因が存在しないにも関わらず発生すると言います。というのは、具体的な心配事がないのに心配するということです。このような、わたしたちや愛する人たちに悪いことが起こるかもしれないという思いを巡らせる心配というのは、具体的な問題解決とはまったく違います」
「インタビューをした高齢者によると、後悔を軽減する非常に重要な方法として、問題解決に具体的に取り組む時間を増やし、心配にかける時間を大幅に取り除くことが挙げられました。前者は人生の質を向上させる一方で、後者にかける時間は、地球にいるこの短い時間を無駄にする以外の何物でもありません」- カール・ピレマー(Karl Pillemer)氏
自分自身
Flickr/Mateus Lunardi Dutra
「他人の期待に応えようと頑張る必要はありません」
「全世界で自分以上に愛情を注ぐ価値のある人間などいません。もっとそのことを自分に言い聞かせるべきでした」
「他人の期待に応えようとした時間を、すべて取っておければよかったのに」
「失ったお金はいつでも取り戻せます。しかし、たった5分でさえ、失った時間は一生返ってくることはありません。」- ジェームス・アルトゥーカ(James Altucher)氏
[原文:People shared their biggest regrets in life, and some of their answers are heartbreaking]
(翻訳:Wizr)