ミレニアルのクリエイターに学ぶ、アンテナの張り方——共通点は「人」を介した情報

ミレニアル世代は、どのように情報を集めているのだろう。いつも面白い企画を発信しているミレニアル世代のクリエイターたち3人に、アンテナの張り方を聞いた。

3人の情報収集の場はリアルな場所やSNS上。それぞれ手段は違うけれど、「人」を介して情報を収集することが共通点だ。3人は、ツイッターでの情報を集めるコツや、なぜ人を通じて、情報を得るようになったのか、明確な転換点を明かしてくれた。

イベント

9月25日に都内で開いたイベント。3人のクリエイターに、三浦さんが話を聞いた。

Business Insider Japanが9月25日に開いたイベントのテーマは、「ミレニアル世代のクリエイターに聞く アンテナの張り方」。登壇者は、以下の3人、モデレーターはクリエイティブエージェンシーGOの三浦崇宏代表。

1987年生まれ、栗林和明さん(@kri1226

kuribayashisan.001

1995年生まれ、マドカ・ジャスミンさん(@mdk_jasmine

 ミレニアル

2006年集英社入社、林士平さん(@SHIHEILIN

 ミレニアル

司会はGO代表の三浦さん(@TAKAHIRO3IURA

ミレニアル

3人のアンテナは?

栗林さんは、Twitter、Facebook、YouTubeが「僕の世界」という。ツイッターの使い方は、独特だ。

ミレニアル

港区のリアルな情報を発信していた、マドカさんは、やはりツイッターが重要な情報源。

ビジネスインサイダー

林さんは日頃から漫画家との付き合いが多く、リアルな場所が情報源。

ミレニアル

ちなみに、三浦さんの情報収集の方法は、人との食事。

1日4回、必ず誰かと食事をして、その中から、情報を得るようにしている。朝と昼、夜は2回、計4回の会食と、さらに、午後にお茶をすることが、たまにある。

共通点は「人」。この媒体だから見る、はない。

ミレニアル

左から、栗林さん、マドカ・ジャスミンさん、林さん。

3人に共通しているのは、ネット、リアルの場のどちらでも、「人」を介して情報を得ていること。「この媒体だから」という判断で、情報を収集しない。

林さんは、「時代の肌感は大事だと思いますが、人からのシェアを介して、ニュースを見ています。でも、ニュースの中身は覚えていても、どこのメディアかは覚えていません」と話す。マドカさんも、フォローしている人のシェアを通じて、ニュースに触れている。

媒体から人へ—— 。栗林さんは、情報収集の方法が明確に変わった時期がある。

「4、5年前は、専門分野のメディアを見ていました。雑誌やウェブ媒体など10個くらい。明確にやめたのは、Facebookメッセンジャーと(チャットツールの)Slackが出てきた時」。メッセやSlack上で、「情報共有する場ができて、その場がニュースフィードになったから」という。

スクール水着でテキーラ、発想はどこから

情報を収集した上で、彼らの企画力・発想力は、どこから来るのか。

マドカさんは20歳の時に、渋谷駅のハチ公前でスクール水着を着て、テキーラを配る企画をした。別の機会には、新宿で看板を掲げ、人に下着を買ってもらう企画もした。

「(下着の企画は)当時の彼氏と別れて、下着を見ると思い出すので嫌だったから。新しい下着を買いたくても、自分で購入するのも何か違う。(スクール水着の企画は)スクール水着を20歳で着たくて、でも単に着るのはつまらない。じゃあ、企画にしよう、というノリ」だ。企画力の源は「自分の欲望」という。

一方、栗林さんは、自身が企画し、話題を集めた「忍者女子高生」というプロモーション動画を事例に、「忍者と女子高生、というまだやられていない事を組み合わせるようにしている」とした。そして、林さんは「ヒットメーカーと言われる人も、売れていないものも出している。手数を多くする事。実験の場、冒険できるポジションに自分を置いておく事」をポイントに挙げた。

炎上は「議論」に置き換え

ミレニアル

モデレーターは、三浦さん。3人の炎上対策を聞いた後、自らの炎上への備え方を明かした。

クリエイターらの情報発信に付いて回るのが、炎上の不安だ。3人は、炎上をどうとらえているか。

「炎上を、議論と言い換えるとポジティブかもしれません」というのは林さん。「漫画家のコメントが炎上していることもあるが、今の炎上はみんな楽しそうですね」と理由を話す。

炎上を経験しているマドカさんは、「自分の場所じゃないところで、戦争が始まる」という感覚だ。「炎上の最初は、私へのヘイトになってくるんですが、だんだん、それに対する擁護意見に対して、私との関わりが薄れていく。他人事みたいになって、燃えている、綺麗だな、みたいな感じ」。

栗林さんも、「消える早さがわかっているので、あまり意識していない。ただ、燃料は注がないようにシミュレーションをしている」という。

あの広告に学ぶ炎上対策

三浦さんは、炎上の恐れを入念に想定し、クライアントに伝えているという。

「これくらいのネガティブな意見が出る可能性がある、ということ、最悪こういう事態になります、ということを想定し、クライアントに伝えています」(三浦さん)。2018年7月に自社で手掛けた「黒塗り広告」は公文書の改ざん問題を彷彿とさせ、話題になった。この際、三浦さんは、「ある程度、燃えると思います。駅から広告をはがすように言われたら、はがして、お詫びをホームページで出して、『議論が盛り上がったので、広告がほしい方はこちらからpdfをダウンロードして、各自で貼ってください』という、炎上を逆手にとった企画を用意していた」と明かした。

情報の波に埋もれず、情報に踊らされないように、クリエイターたちのアンテナの張り方を参考にして、日頃の情報収集のあり方を変えてみるのもありかもしれない。

(文、撮影・木許はるみ)

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み