約1兆7000億円の作物に受粉、ミツバチを守る巣箱のネットワーク

ミツバチの巣箱

Brian Peterson-Roest

  • 非営利団体ビーズ・イン・ザ・ディー(Bees in the D)は、デトロイトにミツバチの巣箱のネットワークを作り、ミツバチの減少を食い止めようとしている。
  • ミツバチの数はここ10年ほどで激減した。アメリカ農務省は、ミツバチは毎年、約150億ドル(約1兆7000億円)相当の作物に授粉していると推定している。
  • 2年前に設立されたビーズ・イン・ザ・ディーは現在、102個を巣箱を管理している。半数はデトロイト市内にあり、遠いものはカナダに設置されている。
  • 共同創業者兼CEOのブライアン・ピーターソン=ロースト氏は、今はミツバチがいないエリアにミツバチを連れてくるために「ハチのハイウェイ」を作っているとBusiness Insiderに語った。

ミシガン州デトロイトの非営利団体ビーズ・イン・ザ・ディー(Bees in the D)は、市内にミツバチの巣箱を設置してミツバチの数を増やすとともに、ポリネーター(花粉を運ぶ動物)の重要性を地域住民に啓蒙している。

2年前に6つの巣箱からスタートした同団体は、現在、ミシガン州とその近辺で102個の巣箱を管理していると共同創業者兼CEOで小学校教師のブライアン・ピーターソン=ロースト(Brian Peterson-Roest)氏は語った。

同氏は、旅行でニューヨークを訪れた後、夫のブライアン・ロースト=ピーターソン(Brian Roest-Peterson)氏と一緒に同団体を設立。マンハッタンのバッテリー・パークのあちこちにミツバチの巣箱が設置されていることに気づき、デトロイトのミツバチ保護をサポートしたいと思い立った。

アメリカ農務省の推定では、ミツバチは毎年、アーモンドやズッキーニを含む約150億ドル相当の作物の授粉を行っている。

だが、ここ10年ほどでミツバチの数は激減した。大きな原因はコロニー(群れ)の働きバチの大半がいなくなってしまう蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder)。アメリカ環境保護庁(EPA)によると、数年前に比べると蜂群崩壊症候群は見られなくなったが、懸念すべき事態であることに変わりはない。

同団体の巣箱の約半分はデトロイト市内に設置されているが、巣箱はデトロイトの西方や北方、さらにはカナダにも設置されている。

「巣箱の数は爆発的に増えた。人々がミツバチやポリネーターの重要性に目を向け始めたからだと思う。とても励みになる」とピーターソン=ロースト氏は語った。

同氏は、主にミツバチの健康面に重点を置き、病気や寄生虫をチェックしていると語った。また、100個以上の巣箱を管理しているので、教育プログラムで使用する巣箱を交換することができ、同じ巣箱を長時間にわたって使わずに済んでいる。

巣箱は、コンベンションセンターの上、ホテルの屋上、アウトドア・アドベンチャーセンター、生花を栽培・販売する店「デトロイト・アブルーム」(Detroit Abloom)などに設置されている。

巣箱をチェックするビーズ・イン・ザ・ディーのメンバー。

Brian Peterson-Roest

ビーズ・イン・ザ・ディーが管理する巣箱は増え続けている。しかし、害虫のせいで、ミツバチが越冬できるようサポートすることは依然として難しいとピーターソン=ロースト氏は述べた。

「残念なことだが、長い冬を乗り切れたのが巣箱のハチの50%だったとしても運が良い」

ビーズ・イン・ザ・ディーは取り組みの拡大に向けて、「ハチのハイウェイ(bee highway)」を構築していると同氏。これは巣箱のネットワークで、ミツバチがどこにいても、食料、水、すみかに容易にアクセスできるようにすることが目的だ。

地図を使って巣箱のない空白エリアを特定したら、巣箱を設置して、デトロイトと近隣のアナーバーなどにある「前線基地」の間のギャップを埋める。

ハチのハイウェイ・プロジェクトの計画にあたっては、ミシガン州運輸省と協力していきたいとピーターソン=ロースト氏は述べた。

「野生の花がある自然を残すことで、ミツバチを助けることができる地域はまだまだ多い。何らかの取り組みを始める手助けができればと考えている。燃料を使って草を刈る代わりに、草を伸ばしたままにすればミツバチが飛んでくる」

ピーターソン=ロースト氏によると、ハチのハイウェイ・プロジェクトはまだ初期段階にあり、同団体はビジネスパートナーと資金を探している。

デトロイトは、ミツバチに有害な薬剤があまり散布されていない公園や庭園などの緑地が多いため、都市養蜂(urban beekeeping)に適していると同氏は指摘した。

またデトロイトの多くの場所には野生の花や植物が手付かずで育っていて、こうした場所はミツバチにとって、薬剤がたくさん散布されている場所よりも危険が少ないと語った。

ピーターソン=ロースト氏によると、自宅の敷地内にミツバチの巣箱を置きたいという人は少ないかもしれないが、野生の花を植えたり、自分たちがどれほど殺虫剤に頼っているかを意識するなど、ミツバチのための環境を整えるために住民ができることはほかにもある。

[原文:A ‘bee highway’ is being created in Detroit, and it could help offset the dangerous decline of honeybees

(翻訳:遠藤康子/ガリレオ、編集:増田隆幸)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中